こし・いたお

140字小説の鬼

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  • 140字小説

    削って削って、磨いて磨いて仕上げた140字小説です。

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    10秒足らずで読める物語にて、爽快な落ちをお届けします。

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    数万字に及ぶ小説を書いたのは「不死者の決戦場」が初めてです。創作初期の作品です。文字数が多くなると誤字や脱字が多発します。僕だけだと数百字の短い物語でさえ、誤字が発生しても気付けないことがあります。ましてや数万字ともなればもう…そこで力を貸してくれたのがMさんでした。Mさんは続編の「凍てつく魂の地下迷宮」でも力を貸してくれました。二作品ともMさんの力なしでは未完成のままだったと思います。Mさん、その節は大変お世話になりました!!

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固定された記事

140字小説【届け!!】

「特技はありますか?」それは私がお見合いの時にした夫への質問。「肩だけは強いんです。遠投なら誰にも負けません。役に立ったことは一度もないですけどね」そう言って笑…

こし・いたお
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こし・いたお
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「探さないで下さい」僕はそう書き置きして家を出た。昨夜、5歳の娘に見られてしまったからだ。「ねーねーママ、パパがね、こうして紙を中指と薬指の間に挟んでから、クル…

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こし・いたお
2週間前
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140字小説【届け!!】

140字小説【届け!!】

「特技はありますか?」それは私がお見合いの時にした夫への質問。「肩だけは強いんです。遠投なら誰にも負けません。役に立ったことは一度もないですけどね」そう言って笑った夫の顔が一周忌に蘇り泣いた。あの時、夫と共に川で流された娘は岸へと戻れた。夫が最後の力を振り絞り、投げてくれたから。

140字小説【おいしくなーれ】

140字小説【おいしくなーれ】

息苦しさで目覚めた。私は安さに釣られ怪しい美肌エステサロンにやってきた。裸で黒いシーツの上に仰向けになり、上から黒いシーツを掛けられラップで包まれた。「食っていいか?3時間たったぞ」「ちゃんと薄切りにしたの?そのままだと3日かかるよ」彼らは人食いで、これは昆布締めだと気づいた私。

140字小説【過去から届いたメッセージ】

140字小説【過去から届いたメッセージ】

自暴自棄になった私は腕のいい殺し屋に仕事を依頼した。苦しませずにターゲットを消すという噂だ。報酬を支払い消えるのを待っていた私。仕事は失敗に終わった。殺し屋は過去へ行き、過去の私を消そうとした。しかし過去の私がこう言ったらしい。「まって!私は売れっ子作家になるまでは死ねない」と。

140字小説【調べてはならない歴史】

140字小説【調べてはならない歴史】

私はマッチングアプリで知り合った男と会う約束をした。歴史を調べるのが趣味らしい。「私の好きな日本史だといいな」なんて期待しながら待ち合わせ場所に向かう私。突然、インフルエンサーの親友から電話がきた。「会わないで!正体が分かった。そいつは私の黒歴史を調べ上げネットに晒したクズよ!」

140字小説【予期せぬ調査結果】

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「奥さん、旦那さんの浮気調査の結果ですが…」最近、急に飲み会が増えた夫。浮気を疑った私は探偵に調査を依頼した。「旦那さんは野良猫とご飯を食べたり戯れあったりしてました」「よかった、相手は猫なんですね」「相手は猫ですが…旦那さんも猫でした。人間に化けた猫又」「いやぁ ぁ ぁ ぁ!」

140字小説【ウチにも居た】

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僕はハエトリソウを衝動買いした。貝殻のような葉を素早く閉じて獲物を捕獲する。妻に見せると「うちにも可愛いのがいるのに」という。数日後、仕事で夜遅くに帰宅した僕は、シャワーを浴びると幼い娘の布団に潜り込んだ。パパっ子でいつも一緒に寝ている。娘の手に指を乗せると素早くぎゅっと握った。

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私はキャンプが大好き。でも虫が嫌いな私は虫よけスプレーが欠かせない。週末、私は親友とキャンプ場にやってきた。今回は今一つ信用できない男たちも一緒だ。だから特別に高価な虫よけスプレーを用意した。「あれ?女の子たちは?」男たちは目の前にいる私たちが見えていない。やっぱり悪い虫だった…

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僕はお祭り会場行きのバスを待っていた。あと数分でバスが来るのに男二人が掴み合いの喧嘩を始めた。僕が一人を、もう一人をガタイのいい青年がおさえてくれた。「離せ!」と興奮する男を宥めているとバスがきた。バスは一杯で乗れるのは一人。青年は僕にウインクすると素早く乗り込み扉は閉まった…

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「うわっ!」「凄いわね…何もない所でそんな派手にこけるのは、世界広しといえどあなたくらいよ」僕はただ新しい防犯アイテムを発明したかった。歩くと大きな音のする防犯砂利。それをヒントに発明した透明なバナナの皮。ベランダに置いたことを忘れていた。「防犯カメラでいいのに」妻の正論が痛い…

140字小説【もっと遠くへ】

140字小説【もっと遠くへ】

「お願いします」「任せて!なんなら毎日でも送っていくよ!」「あ、いえ…」「次の週末は予定入ってる?夜景の綺麗な店を知ってるんだよね」「前を見て運転して下さい。距離も詰めすぎです」「大丈夫!この車間距離なら前の車が急ブレーキ踏んでも止まれるよ」「いえ、あなたと私の心の距離です!」

140字小説【スポットライトが眩しくて】

140字小説【スポットライトが眩しくて】

国語の授業で自由に詩を書いた。終業のベルが迫る頃、みんなの詩を読み終えた先生。先生は最後に僕の書いた詩をみんなの前で読み上げた。詩人の名は伏せて。「この詩を書いた人は人生の詩人だと思います」「誰?誰?」と詩人探しが始まる。でも知っているのは2人だけ。スポットライトが眩しかった…。

140字小説【来ることを知っていた?】

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少子化の影響を受け廃校になった母校。僕は10年ぶりに足を運んだ。教室には机や椅子、教卓がそのまま残っている。「この辺かな?」6年2組の教室で自分の席を探した。誰も居ない教室で号令をかける。「起立!気を付け!礼!着席!」10年ぶりの日直。黒板の右端には今日の日付と曜日、僕の名前が…

140字小説【頭の固い男】

140字小説【頭の固い男】

「探したよ!どこ行ってたの?」「待ち合わせ場所が逃げてしまって…」「意味不明なこと言わないで!」「君の言ってたクレープ屋さんの前で待ってたよ。でもあの店キッチンカーだろ。営業時間が終了して帰ったんだ…」「で、追いかけたの?頭が固すぎない?」「柔らかかったら延長してくれたのかい?」

140字小説【ずっと気になっていた…】

140字小説【ずっと気になっていた…】

何を伝えたいか分からない文章は読み手にストレスを与える。だから僕は必ず最初に結論を書く。ある日、僕が利用しているSNSに内気なファンから3年ぶりのコメントが入った。「あの、3年前からずっと気になっていたんですけど…どうしてあなたの140字小説は最初に落ちを書いてしまうんですか?」

140字小説【探さないで下さい】

140字小説【探さないで下さい】

「探さないで下さい」僕はそう書き置きして家を出た。昨夜、5歳の娘に見られてしまったからだ。「ねーねーママ、パパがね、こうして紙を中指と薬指の間に挟んでから、クルッと曲げて数えてたよ」娘の報告を聞いた妻は目を輝かせた。帰宅したぼくの目に映ったのは、へそくりを見つけて喜ぶ妻の顔……。

140字小説【運び屋】

140字小説【運び屋】

俺は事故に遭ったらしい。奇跡的に命をとりとめた俺は、見覚えのない女と生活を始めた。俺はその女のことを運び屋と呼んだ。手紙、写真、指輪。毎日のように見覚えのないものを運んできては俺に見せる。女は事故で声を失ったらしい。ある日、俺は思い出した。運び屋は妻で、運んでくれたのは俺の記憶…