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食べ残しと鼻紙と吸いさしと抜け毛と。なんでも要らないものが積み重なって、20リットル二袋の汚物と化す。漏れてしまわぬようしっかりと括って、外に放り出せば、そのうち誰かが持ち去って燃やしてくれる。
ゴミを漁るようにして心を覗く。わたしの心。すべてが腐敗して毒ガスを放っている、とは言い過ぎか。とにかく、あまり良いものじゃない。しっかりと括って、外に放ると有害なのでここに置く。わたしはゴミ屋敷だ。持ち去ってはもらえない。当然、燃やされることも。

詩を書いている。言葉は火。ゴミを焼く。わたしはゴミを溜めては火をつける。瘴煙が空を濁らせ、灰が地を濁らせ、一ト時そうであってもやがて澄む。風に拭きとられて、ああ、澄んだと見えるが、それでも僅かに世界はよごれたのかもしれない。これまで無かった臭い、化合物を降らすのかもしれない。やはり、わたし一人によごされる世界でもあるまいよ。詩人なら、一言で星を塗り変えることもあろうが。

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