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悪辣の魔法使い

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昔むかし。人を襲い、害をなす悪鬼と間違えられ、小さな瓶の中に封じ込められてしまった、名もない子どもの小鬼。  長い歳月のあと、封印から解き放って救い出し、レイという名前まで付けて… もっと読む
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記事一覧

【創作長編小説】悪辣の魔法使い 最終回

最終回 新しい旅の目的  世界を二度滅ぼしたという、伝説の怪物ウォイバイル。  雪白山。…

吉岡果音
5時間前
8

【創作長編小説】悪辣の魔法使い 第36話

第36話 雪白山  深い緑。日は傾き始め、通常の旅人なら、そろそろねぐらとなるような場所を…

吉岡果音
7日前
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【創作長編小説】悪辣の魔法使い 第35話

第35話 饅頭子  三人の魔法使いと小鬼のレイ、そして鬼のダルデマ。  三人の魔法使いとは…

吉岡果音
2週間前
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【創作長編小説】悪辣の魔法使い 第34話

第34話 最初で最期の宴  旅館の売店には、ド派手な広告文と共に饅頭の箱が並べられていた。…

吉岡果音
3週間前
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【創作長編小説】悪辣の魔法使い 第33話

第33話 目の数と竪琴 『ただし――、怪物の目の数には、くれぐれもお気を付けください』  …

吉岡果音
4週間前
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【創作長編小説】悪辣の魔法使い 第1話

【あらすじ】   昔むかし。人を襲い、害をなす悪鬼と間違えられ、小さな瓶の中に封じ込めら…

吉岡果音
8か月前
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【創作長編小説】悪辣の魔法使い 第2話

第2話 レイオル、そしてレイオル  逃げ出したほうが、いいのかな。  レイは、ぼんやりとそんな可能性を考えてみる。  逃げ足には、自信があった。実際、追いかけてくる町の人間たちから、逃げ切れていた。  なにせ、人間ではなく小鬼。  身体能力は人間よりはるかに優れており、さらに怪物としての特殊能力も、生まれたときから――ボーナスポイントのように――きちんと付与されていた。    イケる。きっと。このレイオルって人間、魔法使いとしての力があるみたいだけど、所詮人間。俺の全力に

【創作長編小説】悪辣の魔法使い 第3話

第3話 旅の目的、俺の存在  窓から差し込む、柔らかな朝日。テーブルの上に運んだお膳には…

吉岡果音
7か月前
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【創作長編小説】悪辣の魔法使い 第4話

第4話 当たり前じゃないものだから、当たり前に  黒い大蛇の姿の怪物が、襲い来る。  レ…

吉岡果音
7か月前
18

【創作長編小説】悪辣の魔法使い 第5話

第5話 半身の契り  木の葉の間から降り注ぐ日の光は、川面で踊るように輝く。  太陽は、…

吉岡果音
7か月前
13

【創作長編小説】悪辣の魔法使い 第6話

第6話 せめて勇者に  ざわ、ざわ、ざわ。  囁かれる、声。人ではない者たちの。  ほと…

吉岡果音
7か月前
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【創作長編小説】悪辣の魔法使い 第7話

第7話 少女救出作戦に、乾杯  旅人たちが宿屋を探し、働き終えた大人たちが酒場に繰り出す…

吉岡果音
7か月前
15

【創作長編小説】悪辣の魔法使い 第8話

第8話 朝の光、夜の光  ホットミルクの乾杯は、甘い秘密。ほんのり大人の味がするような気…

吉岡果音
6か月前
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【創作長編小説】悪辣の魔法使い 第9話

第9話 帽子収集家 「俺も、情報を得たぞ!」  おはよう、より先に出た旅人アルーンの第一声。  食堂のいくつか並べられたテーブルの一角、そこに腰かけながらアルーンは、魔法使いレイオルと小鬼のレイを目掛け、満面の笑顔で手を振っている。 「早いな。しかももう飯を食ったのか」  魔法使いレイオルは、自分の分の朝食の乗ったトレイを、アルーンの座席の前に置いた。 「おはようございます、アルーンさん」  レイオルの隣にちょこんと座る小鬼のレイ。この宿は好きな料理を小皿に自分で