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毎日、何か書いています。その中で、残しておきたいエッセーなどをここに掲載しています。

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最近の記事

「プリンシプルのない読後感読後感

白洲次郎 著 ワイアンドエフ株式会社 2001.5.17初版第一刷発行    白洲次郎というのは、戦後、占領軍の支配下で吉田茂首相の懐刀として、占領軍と交渉する前面に立って活躍した人だ。その人のエッセイ集だ。1950年代の文藝春秋にコラムを連載していただろう、そのコラムの集大成のような本だ。彼が戦後の日本外交の一部を支えていて、サンフランシスコ講和条約締結の際にも出席しているので、戦前からの軍国日本を支えていた人かと思っていたが、彼は、太平洋戦争については愚かな戦争を仕掛けた

    • 「アベノミクスの7年半で日本は「米国並み」から「韓国並み」になった」  2021/11

       3年前に野口悠紀雄教授が経済誌に投稿された内容を紹介したい。その時読んで、実に正鵠を射ている内容だと思っていたものだったが、現在の状況は全くその通りになっている。教授が検討したデータは2020年までのもので、今ではさらにその傾向が進んでいる。 「アベノミクスの7年半で日本は「米国並み」から「韓国並み」になった」 2021/11   野口悠紀雄(一橋大学名誉教授)  日本の賃金や1人当たりGDP(国内総生産)は、アメリカの6割程度と低い水準だ。表面的に見ると、アメリカ

      • 日本の国会は気楽なもんだ。

         まだ、政党交付金問題と裏金問題が国会で延々と論じられている。ほぼこの通常国会はこれに終始している。メディアもこれに追随しているだけだ。しかし、世界の情勢は風雲急を告げている。これについて全く反応を示さない政治家もひどいものだ。彼らの世界は日本国内だけなのか。日本人の意識だけが彼らの興味の対象なのか。支持率の変化だけが関心の対象なのか。日本の対外的な現状、日本の将来像などについての議論は全くない。こんな政治家に任せておいたのでは、さらに日本の近未来は真っ暗だろう。  今、日本

        • 「世襲国家日本」

           以前、鷹匠の話が新聞に載った。後継者がなく、自分の代でこの技が途切れるという話だった。  一方、最近、政治の世界、芸能界などで二世、三世が目立つ。作家やスポーツ界は能力が必要なので、なかなか二世、三世は難しいだろうと思うが、それでもいる。普通の生活をしている人よりは幼少期から、その道に親しんでいたら、親ほど優れた能力がなくても活動できるのだろう。  その裏で、鷹匠の例を出すまでもなく、日本文化を根底から支えてきた技術などが後継者難で、次々と滅びていく。つまり、「その仕事がう

        「プリンシプルのない読後感読後感

          「日本の教育・研究体系は崩壊しているのか?」

           現在の日本の教育の場で「七五三」と言われている数字がある。それは、高校生の7割、中学生の5割、小学生の3割が授業についていけないという事実だ。  実際に、教育困難校と言われる高校では、掛け算の九九や漢字の書き取り、日本地理など小学校の学習から学びなおすことをしている。  さらに大学では以下のようになっている。  事実上全入状態の大学では総合型選抜(AO入試)や学校推薦型選抜(推薦入試)、受験科目縮減などの軽量化が進み、大学では高校レベルの学力がない学生が増え、補習授業が常態

          「日本の教育・研究体系は崩壊しているのか?」

          「3年に亘ったコロナ対策の総括を(5)」

           もう既に忘れられた事実が数多く眠っている。それを再確認することも総括をするうえで重要な要素になる。  当時、専門家会議の中で、コロナの検査数を絞ることが平然と語られていた。それは陽性になると入院させないといけない。そうなるとベッド数が足りなくなるから、という理由で。その委員は最後まで専門家会議にいたので、当時のコロナ対策のコンセンサスだったのだ。  流行末期には家庭でできるコロナ抗原検査キットの話が出てきたが、そのネット販売が先送りになった。  それは、店頭で薬剤師から

          「3年に亘ったコロナ対策の総括を(5)」

          「地方都市では政治が一大産業」

          先日、ある地方に車で出かけた。大きな街のJR駅前を散策した。規模の大きな通りがあり、広い間口の商店街があったが、ほとんどシャッターが閉まっていた。いわゆるシャッター通りだった。その中で目につく事務所があった。大きな顔写真入りのポスターが貼ってあった。国会議員の事務所だ。  商店街は灯が消えたようになっていても政治家は潤うのだろう、と思って通り過ぎた。  しかし、考えてみると地方に行けば、政治が一大産業になっているのだろう。過疎化が進んでいるところほど政治家の看板、ポスター

          「地方都市では政治が一大産業」

          「3年に亘ったコロナ対策の総括を(4)」

           コロナワクチンが結局、国内生産できなかった。それは何故?  それは、日本の薬事政策に問題がある。製薬企業は新薬開発に1千億円以上の資金を投じる。各国の価格、市場規模などを元に投資計画を立てて製品を投入して、投資を回収する。しかし、日本では、薬価のルールが頻繁に変わる。特許期間中でも薬価を下げる、年間1000億円以上売れた医薬品は特例として50%価格を下げるという。2015年以降のルール改定は50回以上。これでは日本市場で薬価の予見をすることが困難で、またそのルール改定にあた

          「3年に亘ったコロナ対策の総括を(4)」

          「3年に亘ったコロナ対策の総括を(3)」

          日本医師会の弊害が際立った。 諸外国では、ワクチン注射は薬局でもできたし、イギリスでは研修を受けた人たちが積極的に接種する側に回って効率を上げていた。しかし、日本では医師会などの反対で、ほぼ医師のみがワクチン接種をしていた。一事が万事、この弊害が目に付いた。 「かかりつけ医」 コロナに罹った人がまず頼りにするのは「かかりつけ医」だろう。が、実際には診療を拒まれた例が相次いだ。何故だろうか?  各地の医師会や厚生労働省は「かかりつけ医を持ちましょう」と呼び掛け

          「3年に亘ったコロナ対策の総括を(3)」

          3年に亘ったコロナ対策の総括を(2)

           1年前、コロナがいつの間にか治まった。  これだから、日本の支配者層は真剣にコロナ対策を講じないのだろう。きれいに8波まで流行の波を刻んだ国は皆無らしい。他の国は、それなりに対策を講じて医療がパンクしないようになってきたという。日本は、8回も体験していながら、医療がひっ迫して、死者はこれまでで最高を記録したという。  これでも、関係者はコロナ対策は失敗していないと思っていることだろう。  そして、昨年5月8日にコロナを2類から5類にして、インフルエンザ並みに扱うとした。欧米

          3年に亘ったコロナ対策の総括を(2)

          「3年に亘ったコロナ対策の総括を」

          ちょうど一年前の5月8日に新型コロナは5類に移行した。つまり、普通のインフルエンザと同じになった。これまでの3年余りの日本のコロナ対策を今こそきっちりと総括しておく必要がある。 鈴木亘学習院大学教授が新聞紙上で次のように発言した 「日本のコロナ感染者数は世界的にみて桁違いに少なかった。が、感染の波が来るたびに病床がひっ迫した。第3波からは必要な医療措置が受けられずに死亡するコロナ患者が出現し、東京オリンピックの行なわれた第5波では受け入れ先が見つからずに入院待機中

          「3年に亘ったコロナ対策の総括を」

          日本の人口減少に何故、政治家危機感を持たないのだろうか?!

          5月1日にアメリカ大統領バイデン氏は、「なぜ中国は経済的に行き詰まっているのか。なぜ日本は困難を抱えているのか。なぜロシアは? なぜインドは? それは彼らが外国人嫌いだからだ。彼らは移民を望んでいない」などと述べたという。日本が中国、ロシア、インドと同列に論じられたのだが、一面では当たっているのではないだろうか。 先ごろ、民間有識者が「消滅可能性がある自治体」を公表していた。それによると近畿では81自治体がそれに該当するという。全国では744自治体に上る。これは一自

          日本の人口減少に何故、政治家危機感を持たないのだろうか?!

          「台湾の大地震から日本の震災対応のお粗末さを見る」

           ゴールデンウイークに入って、被災地の能登にボランティアがたくさん駆けつけているというニュースが流れた。現在の能登の光景を見ると、1月の地震発生当時と全く変わらない街の姿があり、避難所にいる住民たちは仮設のシャワーが有難いと言っている。 しかし、私たちは、4月4日の台湾の大地震の際の救済の素早さ、復興の速さを見せつけられた。地震発生の4時間後には、体育館にテントが並んで建てられ避難した住民のプライバシーが確保されていた。そして、食事も暖かいものが出て、医療スタッフやマッサージ

          「台湾の大地震から日本の震災対応のお粗末さを見る」

          福島原発廃炉問題から日本の原子力政策を問う。

           廃炉に向けて、一番の難関が1号機から3号機に存在するデブリの取り出しだ。原子炉がメルトダウンし、ウラン燃料が融けて原子炉の外に流れ出してセメントなど融合したもので、合計880トン存在するという。極めて放射線量が高いもので、それを除去しなければ建屋の解体などに着手できない。まず2号機から始めようとしたが、うまくいかず今年1月にその作業を延期することにした。これで3度目の延期だ。  しかも、英国企業が開発した長さ22メートルのロボットアームが使えないことが分かり、釣り竿式の装置

          福島原発廃炉問題から日本の原子力政策を問う。

          「NHKは変わったのか!?原発問題の捉え方」

           NHKは、先月「メルトダウン危機の88時間」というタイトルの放送をしていた。  それは福島第一原発で2011年3月11日に何が起こったのかを再現するドラマを2回にわたって再放送だった。このドラマは震災後5年目の2016年に放送されていたものを今年(2024年)の3月13日に再放送したものだ。当時の原発事故現場に踏みとどまった吉田所長を始めとした職員たちの奮闘と壮絶な事故現場を再現したものだったが、2号炉の格納容器破壊を目前にして職員がつぶやく「東日本は壊滅だ」という想像が幸

          「NHKは変わったのか!?原発問題の捉え方」

          「NKHは変わったか!原発問題」

           最近のNHKは原発問題について、核心を突く良質な番組を作っている。 3月の初めに放送されたETV特集「膨張と忘却  理の人が見た原子力政策」では、2018年に亡くなった国の原子力政策長年関わり続けてきた吉岡斉氏が残した数万点に及ぶ未公開の「吉岡文書」を紐解くことによって、日本の原子力政策の現状を赤裸々に明らかにした。科学技術史が専門の氏は1990年代から国の審議会の委員などを務めた。「熟議」や「利害を超えて議論を尽くすこと」を求め続けた吉岡氏はそこで何を見たのか。国の審議会

          「NKHは変わったか!原発問題」