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アンチワーク哲学【ホモ・ネーモ】

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「労働なき世界」を実現するため「アンチワーク哲学」を紹介するマガジン。なぜ、誰1人労働しない世界が可能なのか? を徹底的に考察しています。
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記事一覧

なぜ、アンチワーク哲学は脱強制にこだわるのか?【アンチワーク哲学】

なぜ、アンチワーク哲学は脱強制にこだわるのか?【アンチワーク哲学】

レイプされることを望む人間などいない。もし望んでいるのであれば、それはもはやレイプではないからだ。

だからと言って「人間は本質的にセックスが嫌いな生き物だ」と主張する人はいないだろう。好きな相手と自発的に行うなら、セックスは最高の体験になるのだから。

改めて考えれば不思議である。やっていることは同じなのに、かたや一生残るトラウマ体験となり、かたや人生における最高のひと時のうちの一つの数えられる

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ワーキッシュアクトは労働なき世界への一歩となるか?【アンチワーク哲学】

ワーキッシュアクトは労働なき世界への一歩となるか?【アンチワーク哲学】

労働の廃絶を目指してアンチワーク哲学を提唱する僕だが、「誰も道路を整備しなくなればいい」とか「誰も老人のオムツを替えなければいい」などという破滅的な思想を唱えているわけではない。むしろ、そのようなエッセンシャルな機能が社会から失われつつある状況を打破するためにも、労働の撲滅を訴えているのである。

そういう意味では、エッセンシャルワーカーの人手不足と、それに対する打開策を提示するこの本は、僕の問題

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雑感への雑感。あるいはアンチワーク哲学の補修作業【アンチワーク哲学】

雑感への雑感。あるいはアンチワーク哲学の補修作業【アンチワーク哲学】

のり子さんが、本の感想を書いてくれた。

どうやらかなり共感してくれたらしく「ほとんど同じことを考えてる人がいた」という感想を書いてくれている。嬉しい。そして、共感してくれているがゆえにより鋭い疑問点や懸念点を提示してくれた。それも、多岐にわたるテーマについて触れてくれた。

どれも避けては通れない問題である。今回は一つ一つの論点にアンサーを返していくことによって、より思考を深め、アンチワーク哲学

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金と財務省とBIに関する殴り書き論考【アンチワーク哲学】

金と財務省とBIに関する殴り書き論考【アンチワーク哲学】

この前、僕はぼそっと呟いた。

詳しく説明しよう。

財務省やそれに追従するメディア、あるいは増税大好き某メガネは次のような論調で語りがちである。

いわゆる財政均衡論である。

その結果、国民は消費税やインボイス、社会保険料でじりじりと搾り取られているだけではなく、明らかに必要な復興予算もケチケチ出し渋られている。苦しんでいる人が救われる兆しは一向に見えてこない。

もし本当に財政均衡論が正しい

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アンチワーク哲学 初級者テストができていた【アンチワーク哲学】

アンチワーク哲学 初級者テストができていた【アンチワーク哲学】

少し前に、彦八さんがAIでアンチワーク哲学のテストをつくってくれた。感謝。

みているとなんだか学生時代に戻った気分にあれて、なんかおもしろい。あとけっこうクオリティも高かった。

ちなみに学習素材は『14歳からのアンチワーク哲学』だけらしい。それだけでこれだけつくれるらしい。びっくりである。

※僕はAIは労働を代替しないし、過大評価されていると考えているが、テクノフォビアではないし、使えるもの

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お金は欲求の二重の一致を妨害している【アンチワーク哲学】

お金は欲求の二重の一致を妨害している【アンチワーク哲学】

Aさんが芋が欲しい。芋をたくさん持っているBさんはバラが欲しい。しかし、Aさんは靴しか持っていない。AさんとBさんが取引を成立させるには、欲求の二重の一致が必要であり、それはなかなか成立しない。だから、貝殻や布といったものを価値の媒介として選定し、それがお金になった。お金は欲求の二重の一致という問題を解消した。

これがいわゆる物々交換の神話である。このような物々交換をしている社会はこれまで発見さ

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アンチワーク神話解説【アンチワーク哲学】

アンチワーク神話解説【アンチワーク哲学】

神話をつくった。百パーセント嘘だとされるフィクションでもなく、百パーセント真実だとされるノンフィクションでもなく神話である。本当か嘘か、誰にも断言できない神話である。

ざっくり言えばこんな話。アンチワーク神話とでも呼ぼうか。

さて、これと比較するために、もう一つほぼ真逆の神話を用意した。こっちは、多くの人が「たぶんこういうことがあったんじゃね?」と思ってそうな神話である。

こっちは以下のよう

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むかしむかし、まだ労働がなかったころ【アンチワーク哲学】

むかしむかし、まだ労働がなかったころ【アンチワーク哲学】

お金も、国家もなく、みんなが好きなように耕し、好きなように家を建て、好きなように道をつくり、好きなように分け合い、好きなように食べ、好きなように歌い、好きなように眠っていた街がありました。

誰かが誰かに命令するようなことはなく、みんなが好きなことだけをやっていました。食べ物も家もみんなにいきわたっていて、みんなが平等で、みんなが自由で、みんなが幸せでした。

あるとき、そこに力の強い乱暴な男が生

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なぜアンチワーク哲学は、道徳的なお説教をしないのか?【アンチワーク哲学】

なぜアンチワーク哲学は、道徳的なお説教をしないのか?【アンチワーク哲学】

世間一般で考えられているように、人間の行動原理は金銭欲や権力欲、支配欲、そのほかの三大欲求にだけ突き動かされているわけではないとアンチワーク哲学は考える。むしろすべての行動をこれらの数少ない欲求・欲望(アンチワーク哲学では両者を区別せずまとめて「欲望」と呼ぶ)に還元しようとする考え方は「すべては神の御業」と言い切るに等しい宗教的な態度であるとして批判している。

そうではなくアンチワーク哲学では、

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生産性ってなんですか?【アンチワーク哲学】

生産性ってなんですか?【アンチワーク哲学】

最近ふと気づいた。生産性という言葉は二つの意味で使用されているが、両者の用法が混同されていると。

まず一つ目の意味は、「ダイコン一本を収穫するために費やしたコストの比率」的な意味である(ここでいうコストとは金や労力や資源など)。十時間費やしてダイコンを一本生産するよりも、十時間でダイコンを二本生産したほうが生産性が高い。あるいは、五時間で一本生産する方が生産性が高い。といった意味の生産性である。

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アンチワークマンと労働マン、爆誕【アンチワーク哲学】

アンチワークマンと労働マン、爆誕【アンチワーク哲学】

この世界に黒幕が存在が存在しないことは、1つの不幸である。資本家も、政治家も、「クハハハハ、無意味な労働を押し付けて労働者から搾取してやろう‥」とほくそ笑んでいるわけではない。労働者や、社会のためになると信じながら、労働を強制しているのである。誰が誰を搾取しているのかもわからないのに、誰も幸福にならない。これは明らかにシステムのせいであり、誤った価値観が植え付けられているせいである。

とは言え、

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逆に労働を撲滅しないで、どうやって世の中を成り立たせるの?【アンチワーク哲学】

逆に労働を撲滅しないで、どうやって世の中を成り立たせるの?【アンチワーク哲学】

少子高齢化。環境問題。格差。貧困、いじめ。パワハラ。セクハラ。ブラック企業。医療。犯罪。介護、保育、建築、農業、林業、漁業などエッセンシャルワーカーの人手不足や高齢化。資源の枯渇。

こうした問題は抜本的な解決が図られることなく、常に将来世代に先送りにされてきた。政治家や企業はSDGsのような明らかにやる気のない見せかけの解決策に取り組んでいるフリをし、自分の世代で美味い汁を吸って逃げ切ろうとして

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労働が生まれた日【アンチワーク哲学】

労働が生まれた日【アンチワーク哲学】

経済は物々交換から始まった。万人による闘争を抑え込むために人々は国家という社会契約を結んだ。人間は農業という禁断の果実をかじった結果、狩猟採集生活というエデンの園から放り出された。

こうした神話は想像によって生み出されていて、実際の根拠はないどころか、そのほとんどが反証されている。とはいえ、最新の考古学や人類学の知見を目ざとくチェックする人物など全体の1%にも満たず、神話のイメージはいまだに人々

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行為と労働に関する考察【アンチワーク哲学】

行為と労働に関する考察【アンチワーク哲学】

先日書いた記事にとある質問をいただいたことが、この記事の執筆のきっかけである。

僕はベーシックインカムが実現した未来の世界において、金の必要性に関しての議論が活発化すると見込んでいる。即座に金が廃絶されるとは思わないものの、金が本当に必要かどうか、議論がスタートするはずである。僕は人類社会は最終的に金と決別することが可能だろうという見立てを、この記事で示した。

それに対する質問が以下である。

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