カツセマサヒコ

小説家。書籍『夜行秘密』(双葉社)、『明け方の若者たち』(幻冬舎)など。ラジオ「NIG…

カツセマサヒコ

小説家。書籍『夜行秘密』(双葉社)、『明け方の若者たち』(幻冬舎)など。ラジオ「NIGHT DIVER」(木曜 TOKYO FM 28:00〜)

記事一覧

固定された記事

人の職業を笑うな。

この記事は2014年2月(もう6年前!)に僕のamebaブログに書いたものです。当時はまだ一企業のサラリーマンで、ヨレヨレのスーツを着て満員電車に揺られていました。「記事…

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ここが、物語のプロローグ。YOASOBI 1st Live “KEEP OUT THEATER”ライブレポート

2021年2月14日、“小説を音楽にするユニット”YOASOBIの初ライブが開催された。 “KEEP OUT THEATER(立ち入り禁止の劇場)”と銘打った本公演は、新宿歌舞伎町のド真ん中…

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発熱。その日、世界と、鳴った音。

コロナ禍による非常事態宣言が解除されたすぐ後に、人生で初めての本が出た。 書店に並んでいるところが見たくて電車に乗ってみれば、いつもならもっと過密なはずの小田急…

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2005年、あのバンドが僕をモッシュピットエリアまでぶん投げた #人生を変えた一曲

大学入学を機に、軽音楽サークルに入った。18歳のことだ。モテたかった。中高6年間男子校で、バスケしかやっていなかった。童貞だった。とにかくモテるためには、ギターを…

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常夜灯

こんなにも、うまくいかないものか。 準備の時間がまったく足りない中で実施されたプレゼンは、箸にも棒にもかからず、終わりを迎えた。 そんなこともできないのか! 今…

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お前が“付加価値だ”と思ってるものなんて。

「で、一年目終えて、どうだった?」 「いやー、なんつーか、あっという間でした」 「そうだよなあ。入社前のイメージと、違った?」 「そうっすね。いやー、なんか、思っ…

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拘束する言葉、高く飛ばす言葉

書け、と言われている原稿がいくつもあるし、出せ、と言われている企画がその倍近くある。でも、筆は進まず、脳は動かず、雑念ばかりがせっせと働いており、よくないことだ…

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華麗なるランウェイとその舞台裏の狭間で【 ha | za | ma ファッションショーレポート】

2018年6月8日。アパレルブランド 「 ha | za | ma (ハザマ)」の初となるファッションショー「 ha | za | ma 2018 A/W TOKYO COLLECTION "NOT BAD NIGHTMARE(悪くない悪…

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SNSじゃ世の中は変えられない。

12月14日、衆議院選挙がありました。 投票率は「過去最低」と推定されているそうです。 池上彰の番組を見ながら「皆が動かないから駄目だった」と嘆いている人は、SNSは…

人の職業を笑うな。

人の職業を笑うな。

この記事は2014年2月(もう6年前!)に僕のamebaブログに書いたものです。当時はまだ一企業のサラリーマンで、ヨレヨレのスーツを着て満員電車に揺られていました。「記事を書いてお金をもらう」なんて到底不可能だと思いながら、平日帰宅後や土日に書いていた記事のうちのひとつです。この記事をきっかけに編集プロダクションに声をかけられ、ライターの道に進むことになりました。該当のamebaブログは最近閉鎖し

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ここが、物語のプロローグ。YOASOBI 1st Live “KEEP OUT THEATER”ライブレポート

ここが、物語のプロローグ。YOASOBI 1st Live “KEEP OUT THEATER”ライブレポート

2021年2月14日、“小説を音楽にするユニット”YOASOBIの初ライブが開催された。

“KEEP OUT THEATER(立ち入り禁止の劇場)”と銘打った本公演は、新宿歌舞伎町のド真ん中、新宿ミラノ座跡地に建設中のビルの工事現場が舞台となった。

まさに“夜遊び”のように、立ち入り禁止エリアに特別に一夜限りのステージを組んだ彼らの配信ライブは、チケット購入者数約4万人、同時視聴者数はその2~

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発熱。その日、世界と、鳴った音。

発熱。その日、世界と、鳴った音。

コロナ禍による非常事態宣言が解除されたすぐ後に、人生で初めての本が出た。

書店に並んでいるところが見たくて電車に乗ってみれば、いつもならもっと過密なはずの小田急線や山手線が、やけに空いている。あれだけ企業が渋っていたはずのテレワークもすんなり導入が進んでいくし、PM2.5などの大気汚染は、ここ数週間で劇的に数値が改善されたとキャスターが言った。

人類が何年かけても改善できなかった未来を、疫病が

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2005年、あのバンドが僕をモッシュピットエリアまでぶん投げた #人生を変えた一曲

2005年、あのバンドが僕をモッシュピットエリアまでぶん投げた #人生を変えた一曲

大学入学を機に、軽音楽サークルに入った。18歳のことだ。モテたかった。中高6年間男子校で、バスケしかやっていなかった。童貞だった。とにかくモテるためには、ギターを背負うしかないと思った。マイクを握り、伝説の曲を作って歌うしかないと思った。

ベニヤ板みたいなテーブルの上で、入部届けを書いた。「バンド経験、なし。パート、ヴォーカルかギター希望」。その日中に開かれた新歓コンパは、二次会まであった。精子

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常夜灯

常夜灯

こんなにも、うまくいかないものか。
準備の時間がまったく足りない中で実施されたプレゼンは、箸にも棒にもかからず、終わりを迎えた。

そんなこともできないのか! 今まで何していた! 

会議室に響く上司の声。その目はもう私に、何の期待もしていなかった。

露骨に落ち込みながらデスクに戻るものの、何も手につく気がしない。PC画面を睨んでみるが、役目を果たしたパワーポイントが、「質疑応答」の画面をやる気

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お前が“付加価値だ”と思ってるものなんて。

お前が“付加価値だ”と思ってるものなんて。

「で、一年目終えて、どうだった?」
「いやー、なんつーか、あっという間でした」
「そうだよなあ。入社前のイメージと、違った?」
「そうっすね。いやー、なんか、思ったより、地味じゃないスか?」
「あははは、まあ1~2年目だもんねえ」
「いや、でも、シューカツのときは、『即戦力を求めてます!』とか、『若いうちから活躍できる職場です!』って、言われてたんすよ」
「まあ、そう言うだろうね?」
「それがフタ

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拘束する言葉、高く飛ばす言葉

拘束する言葉、高く飛ばす言葉

書け、と言われている原稿がいくつもあるし、出せ、と言われている企画がその倍近くある。でも、筆は進まず、脳は動かず、雑念ばかりがせっせと働いており、よくないことだけど、「よくあることだから」と諦めて、雑念と付き合っているのが今である。

雑念は雑念止まりで、そこから進展することなく萎んでいくのが平常運転だけれど、今日は珍しく雑念の方がむくむくと展開と推敲を繰り返して、これは金もらって出せる記事じゃあ

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華麗なるランウェイとその舞台裏の狭間で【 ha | za | ma ファッションショーレポート】

華麗なるランウェイとその舞台裏の狭間で【 ha | za | ma ファッションショーレポート】

2018年6月8日。アパレルブランド 「 ha | za | ma (ハザマ)」の初となるファッションショー「 ha | za | ma 2018 A/W TOKYO COLLECTION
"NOT BAD NIGHTMARE(悪くない悪夢)"」が開催された。

その反響は既にSNSを通してご存知かもしれない。入場無料とはいえ、恵比寿ガーデンホール420席を2公演とも満席にし、それぞれ立ち見客を1

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SNSじゃ世の中は変えられない。

12月14日、衆議院選挙がありました。

投票率は「過去最低」と推定されているそうです。

池上彰の番組を見ながら「皆が動かないから駄目だった」と嘆いている人は、SNSはまだ社会を動かすほどの力を持ってないってことを、もっと強く受け入れなくてはいけないようです。

しかし一方で、SNSは人ひとりの人生を変えるくらいの力なら容易に持ってて、それがいつか社会を変える可能性もあるってことも、信じ続けてほ

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