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読書記録「シアター!2」

川口市出身の自称読書家 川口竜也です!

今回読んだのは、有川浩さんの「シアター!2」アスキーメディアワークス (2009) です!

有川浩「シアター!2」アスキーメディアワークス

・あらすじ
春川巧が立ち上げた劇団「シアターフラッグ」は、存続の危機に立たされている。

兄の春川司が借金の肩代わりの条件として提示したのは、「2年以内に劇団の収益だけで300万円を返済すること。それができないならば、劇団をたため」と。

返済期間1回目の公演「掃きだめトレジャー」は、最終日のトラブルにより3万円の収益で幕引き。残り297万円を返済すべく、劇団のメンバー一丸となるのだが、ここで新たな障壁を突きつけられる。

借金返済の言い訳にならないよう、現状劇団の経理は兄が担当している。しかし、それはあくまでのこの2年間だけの話。もし2年後も存続する事になったら、誰が帳簿や資金繰りを確認するのかと。

当たり前のようであるが、そうやって今まで有耶無耶にして、赤字が続いてたのも事実。2年以内に借金を返済できるかばかり考えていたが、もし2年後に劇団が残っていたら、また赤字に戻るだけだと。

こうして事務業務で持ち回りになるのだが、慣れない業務や演劇との両立に戸惑い、メンバー間で亀裂が走る。

また、劇団を辞めた旧メンバーによる確執も加わり、新たな危機に直面する。果たして、シアターフラッグの存続やいかに。

読書会のリピーター様から厚かましくも頂いた本。先日1巻目を読み終えた流れで、このまま2巻目を紐解いた次第。

1巻目は「夢を諦めるためには、全力でやり切るしかない」という点が強かった。

対して2巻目は「それでも夢を追い続けるならば、どうすればいいだろうか」に注目している感じがした。

夢を追い続けるってのは、簡単なことではない。

あくまでも「趣味でやっているだけです」というスタンスならまだしも、その道で食べていこうとするならば、なおさらであろう。

ましてや、演劇や芸能の世界で行きたいと言うならば、更にハードルは高くなる。

ドラマや映画に出演している人達なんてほんの一握りで、とにかく脇役でもいいから出演したいと、お金を払ってオーディションを受ける人が大多数らしい。

実際、学生時代の知り合いにも、芸能や音楽系の道で頑張りたいと努力している友人も少なくない。

今どういうスタンスなのかはわからないけれども、バイトしながらって感じではある(いざというときに動きやすい雇用形態となると、どうしても非正規になってしまうそうで)。

私自身、彼らの夢は応援したい方ではあるけれども、それはあくまでも他人事だからという心境なのは否めない。

それに、必ずしも手放しに夢を応援してくれる人だけとは限らないし、いわゆる夢を叶えさせるのを邪魔する、アンチ的な存在も出てくるだろう。

だけど、夢を追うことの大変さを一番分かっているのは、本人自身である。

傍から見たら、いつまで夢を追っているんだって思う状態は、当の本人が一番つらいかもしれない。

自分のあがいている場所が相当底辺であることに改めて気づくと、風穴がみりみりと音を立てて広がったような気がした。

同著 133頁より抜粋

そういうときこそ、同じ夢を目指して、一緒に切磋琢磨できるような人が必要なのかもしれない。

いや、同じ道ではないにしても、その夢を目指すことに真剣に向き合い、応援してくれる人がいることが大事なのだろう。

自分だけだと悪い点ばかり目に留まってしまうことも、他の人から見たらすごい長所で、誇りに思うべきだと気づかせてくれる仲間が。

「芝居を貧乏の言い訳にしないってことはさ。芝居をやっていて貧乏なのは自分に力がないからだってことにガチンコ勝負で向き合っているわけだろ? 痺れた」

同著 185頁より抜粋

自分ひとりだと耐えきれないことも、仲間がいれば乗り越えられる。

その点、有川浩さんがメンバー同士の恋愛模様を絡めて、うまく描いている。

1巻目は抑え気味だったけれども、2巻目からは女性団員の目線から、男性団員の印象とか、これでもあんたのこと気にしているやでってところとか。

逆に、ここまで思いを寄せているのにどうして伝わらないのよっていう、男の朴念仁さとか、もうこれ絶対に好きになるやつじゃんっていう、今回も砂糖多めの甘い、甘い恋愛もまたこの作品の良きところ。

シアターフラッグの結末も気になるところではあるが、登場人物たち一人ひとりの恋愛もどうなるのか、気になってしまう作品でした。それではまた次回!

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