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【大学野球】1回戦 早大5ー4明大(4月27日 早大1勝)を考察・・・骨折で離脱していた宗山選手の気になる点

1.はじめに

 4月27日(土曜)に行われた、早大ー明大(1回戦)の試合について、印象的なポイントや選手、今後のチームの方向性について考察したい。

2.試合の見どころ

【表1】両チームのスタメン

2.(A)互いに開幕カードで勝ち点1を獲得

 早大は、開幕週に立大から2勝1敗で勝ち点1として、リーグ戦前半の山場となる明大戦を迎えた。立大との3連戦は、リーグ戦の登板経験が少ない下級生を中心とした投手陣が奮闘。打線は、リーグ戦開幕直後の硬さもあり得点を奪うのに苦労したが、ようやく3戦目の終盤に打線がつながった。打線が一旦目覚めた事で、重要な今週の戦いを変な緊張感で迎えなくて済んだのは大きい。ここまでの3試合では、1番〜5番打者までは毎試合固定し、6番以降は選手を代えながら臨んでいたが、この試合も5番までは同じメンバーでスタメンを組んだ。

 明大は第2週の開幕カードで、東大から連勝し、順調に勝ち点を1とした。初戦は2回までに16得点を奪うなど、「東大の投手陣から放った安打」の注釈なしでも各打者のスイングが十分に鋭かった。2戦目も序盤から得点を積み重ね、登録メンバーのほとんどを試合出場させる理想的な戦い方ができていた。早大戦に向けての不安点は、開幕戦に先発登板した藤江投手(4年・大阪桐蔭高)が序盤に降板し、以降の試合で登録メンバーに入っておらず、故障の可能性が高いため早大戦も計算できない。また、2戦とも大味な展開での勝利だったため、緊迫した試合に向けて選手の気持ちのギアチェンジが上手くできるか、大きなポイントとなる。

2.(B)両チームから今秋のドラフト候補選手が出場

 今年のドラフト候補選手としては、明大の宗山選手(4年・広陵高)の評価が高い。複数球団が1位指名の可能性がある。また、同じ明大からは走塁技術に長けている小柄の飯森選手(4年・佼成学園高)や威力のあるストレートが武器の浅利投手(4年・興国高)も注目されている。早大は、大型捕手の印出選手(4年・中京大中京高)や打撃技術の高い吉納選手(4年・東邦高)は、下級生時からリーグ戦に出場しており、今後の活躍次第では名前があがってきそうだ。

2.(C)明大は4シーズン連続で早大から勝ち点を獲得中

 早大ー明大のカードは現在、4シーズン連続して明大が勝ち点を獲得。早大の明大からの勝ち点は2021年秋季まで遡り、今の4年生が1年生だった頃だ。早大としては、今年勝ち点を奪わないと明大から勝ち点を獲得した経験のない選手だけになる。そうなると、長いトンネルに入ってしまう可能性が高く、今年は明大から勝ち点を獲得して苦手意識を払拭したい。

3.早大が中盤に逆転を許すも、終盤に代打陣の適時打で再逆転し先勝


【表2】東京六大学野球春季リーグ戦 4月27日(土)
早大ー明大 1回戦 スコアボード
【表3】ボックススコア(早大)
【表4】ボックススコア(明大)

 早大はリーグ戦の登板経験が豊富な伊藤樹投手(3年・仙台育英高)、明大は昨年から頭角を現してきた浅利投手(4年・興国高)の先発。
 早大が序盤に中村敢選手(4年・筑陽学園高)の適時打と敵失で3点を先制。明大は5回に宗山選手と横山選手(4年・作新学院高)の適時打で同点とすると、6回に直井選手(4年・桐光学園高)の適時打で逆転に成功。中盤以降、明大投手陣に抑えられていた早大は8回に代打・梅村選手(4年・早稲田実)の適時打で同点とすると、9回にも代打・松江選手(3年・桐光学園高)の適時打で再逆転。そのまま早大が逃げ切り、5ー4の1点差で先勝した。
 直近4シーズン、早大は明大から勝ち点を奪えていなかったため、序盤の3点のリードは相手のミスからの得点で、非常に良いリズムで展開できた。特に、4回まで毎回先頭打者が出塁し試合を優位に展開し、先発はエース伊藤樹投手だったため、このままリードを守り切るかと思われた。しかし、相性なのか、中盤の明大の集中打は見事で、好機を逃さずに一気に逆転したのは素晴らしかった。終盤に勝敗を分けたのは、リリーフ陣の制球力で、早大は四死球の走者を代打として出場した打者が適時打で得点にし、僅差の試合を勝利した。明大は中盤によく逆転したが、リリーフ陣が無駄な走者を許してしまったのが大きく、大事な初戦を落としてしまった。

4.印象に残ったポイント

 早大は終盤に梅村選手と松江選手の代打2人が、期待に応えて適時打を放った。いずれも浅いカウントからで、打席に入る前からしっかりと準備ができていた。試合に出ている選手だけでなく、ベンチメンバーの集中力も高くなってくると、久々の優勝の可能性も高くなりそうだ。

5.ドラフト上位候補の宗山選手の状態は?

 注目されている宗山選手は、このリーグ戦前の対外試合で死球を受け、右肩甲骨を骨折。リーグ戦には間に合わないとの情報が流れていたが、開幕週から出場して2試合で3安打3打点。この日は2試合目で、キャッチボールから宗山選手の動きを見ることができたが、他の選手がキャッチボールを始めても、なかなか投げずにソフトボールのように下からボールを投げていた。次第に通常のキャッチボールを始めたが、投球時に肘が上がってこない。送球の強さはなく、ややシュート回転。もともと肩には自信のある選手だが、骨折の影響は打撃よりも送球に現れているのを感じた。
 試合前の送球の不安定感は、やはり試合で出てしまった。一つ目は、2回の先頭打者の遊ゴロの1塁送球が逸れて出塁させてしまったプレー。二つ目は8回に同点に追い付かれた後、一死満塁からの遊ゴロを本塁へ送球したが、これもベースから大きく逸れたプレー。この判定はアウトになり、失策は記録されなかったが、いつもの宗山選手のプレーではなかった。
 打撃では、この試合でも好機で安打を放ち、通算安打を98本まで伸ばした。大台の100安打が目前で、骨折の影響は打撃にどれだけマイナスになっているかが注目されてしまうが、試合を通じて見ていると明らかに守備面でマイナスとなっている。
 送球で、これだけ本来のプレーとは異なっているだけに、このままプレーを続けても大丈夫なのか、と感じた。骨折の部位が完治後、送球が元に戻らないのが最も怖い事だ。主将として責任感があるのは、プレースタイルを見れば伝わってくるが、無理をして彼の長い野球人生を棒に振ってしまわないように祈るばかりである。


参照:【表1】一球速報.com

【表2】〜【表4】東京六大学野球連盟HP

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