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視録的運動(シロクテキウンドウ)

スポーツを題材としたクリエイティブやデザイン、ブランディングやキャンペーンなどの中から印象に残ったものを選択し、それらについて考察や感想を記録していく運動です。製作のリファレンス… もっと読む
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記事一覧

『AはBの存在によって意味を持つ』カメラとランナーの間にあらゆる障害物が通ること

技名:「説明しすぎない言い過ぎない伝えすぎない」はいつ使えるのか?

しっかり説明した方がいいのか、それとも意図的に説明を省いて興味をそそらせる方がいいのか・・・簡単に伝えた方がいいのか、複雑なものは複雑なまま伝えた方がいいのか?も同じ種類の議論に思いますが(まず二元論で考えることの是非は一旦置いておきます)、今日はそういう話です。 それってケースバイケースですよね?とひろゆきみたいなやつに言われてしえば終了なんですが、UVU®︎のポップアップ告知のクリエイティブがなぜ"成立"しうるのかを考えてみることは有意義なのではないかと思います。 な

アスリートには"素材"がある——。『マイナースポーツの心得』

SNSを利用したスポーツのStorytellingや、アスリートのBrandingに関して、危機感をもって必要としているのは、日本でいうメジャースポーツの野球やサッカーではなく、それ以外のマイナースポーツであると言えると思います。 日本の場合、野球やサッカーなどのプロ選手は、自身のアスリートキャリアに対するStorytellingあるいはBrandingに対して「斜に構えている」印象がありますが、マイナースポーツを行うアスリートにとって、それは「アスリートキャリアの一部」で

『なぜ超一流アスリートはジョーダンの真似をしないのか?』大谷翔平とマイケル・ジョーダンとタイガー・ウッズ

俺らの大谷翔平と、スポーツブランドのNew Balanceが発表したパーソナルロゴ(大谷翔平シグネチャーロゴ)について、どうなんだ?と考察欲が止まらないので吐き出してみたいと思います。 前提の整理まず大前提として「大谷翔平だから何したって(どんなロゴ作ったって)どっちにしろ大谷翔平」という意味不明なことを言いたいと思いますが、つまり何したって注目は集められると思うので、「(純粋に)ブランディングが成功しているのか」を検証するのは結構難しいと思う、ということです。 大谷翔平

『文字と写真のダンス』デザイナーにとっての玉子寿司

スポーツを表現するにあたって、大体パターンとしていくつかのグラフィックデザインが頭に浮かびます。グラフィックデザインとは?から考え始めてしまうと、当たり前ですが無限の可能性とパターンがあるので途方に暮れそうですが、こと「スポーツ」というものにコンテンツを限定した場合、ある程度の制約が行われると思います。 その中で(スポーツ文脈でデザインする可能性のあるものの中で)これがいちばんデザイナーの腕(センス)が出るなと思うのが、上のようなものです。寿司屋の腕前を知るには玉子頼めっ

『「映像」というより「写真の延長」』写真を拡張した何か

なんの変哲もない映像に見えるけど、なんでこんなにかっこいいと感じるのか。他の映像と何が違うのか。 スポーツのクリエイティブ制作の中でも、"ストーリーテリングする"という意識と、"作品を作る"という意識とでは、若干心がけもアウトプットも異なるように思うのですが、それぞれの違いについて書いてみたいと思います。 リアリティ(温度)富永選手が所属するNebraska Men’s BasketballのInstagramはめちゃくちゃかっこいいんですけど、それがなんでかって考えた時

ひとこと「Let nothing weigh you down.」

前々回は物撮りについて書いたんだけれど、その時に、まあ物撮りとは言えないだけど物にフォーカスを当てたクリエイティブってありますよね、というようなことを書いた気がしています。 ではそれについて書いてみます。 物撮りとは言えないけど、物を伝えたい。 ファーストインプレッションは寄りに決まってるSatisfyというランニングとアウトドアのブランドがあります。

なぜそれは数十秒間も"見れる"のか?「映像の耐久性」

スポーツに限らずです、人に何かを伝えたい時、それが数十秒ないし数分かかってしまうとか、あるいは結構な文字数を持ってしてしか伝えられないこととかって、あるではないですか。もちろん昔から、今の時代は特に人に何かを伝えたいときは「短い方がいい」というのが定説だし、それが広告コピーとか、CMとか、プレゼンテーションとかの文脈で技術として表に立ってきました。何か伝えたいことがあるなら、シンプルに、短く。わかります。でも、そうは言ってもですよ。時間とか文字とかいう質量はその質量を持ってし

『「物撮り」の4カテゴリーについて』プロと素人の差が激しく出る領域

スポーツのストーリーテリングを追求しようと思えば、スポーツ周辺にある「モノ」をいかに魅せるか、はひとつ重要なポイントだと思います。いわゆる「物撮り」という領域ですが、これは写真表現の中でも、プロと素人の差が激しく出る領域だと思います。と、素人が言っています。 私が定めている恣意的な物撮りカテゴリーは以下の4つです。 ベーシック ロケーション勝負 with手 大量 これ以外にも「モノ」に焦点を当てることを狙いとした写真の撮り方はありますが、まあ「物撮り」とは言えない

「90分の試合」というコンテンツを事後で伝えるときこれ以上のフォーマットはないんじゃないか

制作にかけるひと手間 vs 他者の目 道具はいつだって使い方次第 みんながやってないことやろう精神 収まるという美しさ *** 制作にかけるひと手間 vs 他者の目手間がかかっているもの、手間がかかっていないもの。もしくは、手を抜いているもの、手を抜いていないもの。って、ある。それがどのようなジャンルのものであれ、たとえば文章、何かのデザイン、家の掃除であれ食器洗いだって、すべての仕事や作業には必ずその2種類があって、その「差」に他人は気がつくのである。 ただ、手

クリエイターがクリエイターであるためにブランド側が肝に銘じること

コレクションのキャンペーンでドーンと出てきたこれ。スタジオ撮影の写真にグラフィックデザインを加えています。まず、インパクトがすごい。写真と、デザインが、大好み。フォトグラファーはVitali Gelwich 。いわゆる"スポーツ業界"のフォトグラファーではないというのが1つポイントで、日本のスポーツ業界で、例えばファッションや広告でゴリゴリやっているフォトグラファーを起用できるブランドやクラブなどがあるかと言うと結構疑問で、その点はこれからスポーツが「スポーツの域を越える」に

日本代表のジャージを着崩して怒られるアスリートの価値

今年のパリ・オリンピックで、スポーツにおける美的感覚的なもの、なにが美しいとされるか、何がかっこいいとされるか、何がメインストリームとなるか、が一方向性を持って定まっていくような気がしています。タイミングもあるし、パリという街で行われるということも手伝うと思います。2019年の女子ワールドカップ フランス大会もそのような役割を担い、あそこから女子サッカーのムードが決まった印象があります。パリという街は、ファッションの聖地ですから(知らんけど)。 スポーツというものが、裸で行

全スポーツにおけるユニフォームは「衣装」であり「戦闘服」ありアイデンティティの「表現」機能

もう全然かっこよすぎて一生敵わないなと思うわけですけれども、パリオリンピックのアメリカゴルフ代表のユニフォームと、クリエイティブです。USA GolfとJ.LINDEBERGとのコラボレーション。

見る者の「視点を変える」身体性

週2回くらいのペースいけるぞ、と思っています #視録的運動 ですけれども、SNSに上がってるクリエイティブを見てあーでもないこーでもないと語ることはデザインやその他を言葉を用いて説明する/整理するための非常によい特訓になるぞ5回目にして確信しているわけですけれど、だんだん増えてきた購読者の皆様にとっても有意義な拝読体験になることを願っています。 さておき、オーストラリア代表やメルボルンFCで写真を撮っている彼ですけれども、目を引く写真を撮ります。もちろん写真それ自体も非常に