記事一覧
詩 : 天気予報の蝉
雨上がりを知らせてくれていた
蝉の声がなくなった夏
今から限られた短い時間に
どれだけ何が出来るか
やりたいことリストに
想いの胸を弾ませていたんだろう
長い間
暗いけど 暖かく包んで
見守ってくれていた土のおかげで
幸せな時間を送ってこられた
そして 今やっと
目覚ましのベルが鳴り
外へで出ていく
朝が来ると誰より先に鳴き出し
雨が止むことを自慢げに
我先に教えてくれた
やがて時は残酷にも
詩 : 赤い小さな長靴はいて!Ⅱ
「赤い小さな長靴はいて!Ⅱ」
梅雨に近い日に
家族で欲しかった長靴を
買う約束をし
カレンダーに✖(バツ)の印を付けて
楽しみにその日を待った
そしてついに
雨上がりの日に
買って貰った赤い長靴を履いて
小走りにお母さんと一緒に
手をしっかり握り閉めながら
スキップしながら歩いた
目の前に 飛び飛びに溜まった
水溜まりを見付け
ケン ケン パッって
嬉しそうに飛び跳ねる
パシャ!パシャと弾け
詩 : 目の前の路は、今日も延びる
「目の前の路は、今日も延びる」
暑くて汗が
留まらない日でも
寒くて凍える手を
温めながら辛いときも
疲れ切って長すぎると
感じるときも
柔らかい草木が生えて
気持ちの良い時でも
土砂降りでびっしょりと
濡れたときも
電灯のない心許ない
不安を持っていても
朝焼けで何かの光を
見付けられた時も
日頃馴れていても
気分は同じ事は無いときも
手を繋ぎ誰かと
ドキドキしながら歩いたとき
詩 : 丸いブロックに合うのを探してみる
「丸いブロックに合うのを探してみる」
多面な私の心の球面は
単体もしくは複数の球体に
いつも色んな角度から
私という性格を見られる
もちろん隠していたり
私自身が気づかない面も
持ち合わせている事は
判っているつもり
求められれば
意に沿わなくても仕方なく
まるで別人の様に相手に
自分を押し殺し なりすまし
達振る舞う事も無かったわけでなく
生きて行くため
その場さえ 逃げられる処世術で
詩 : 紛い者になってないか?Ⅱ
「紛い者になってないか?Ⅱ」
正しいという基準は
いつも何処にいても問われる
疑問符を付けてしまい
違和感を持つ事に気付かないことが
最近多くなった。
知った振り?
分からないまま
判っている表情で
相槌を打っている?
言われたことへの反応が
全く判らない?
道に迷ったら 元の位置へ
そんな会話をした覚えを思い出し
導く路の行く先を
迷いながら成長する事も覚えて
一緒に歩む事の意味を考え直す
詩 : とおりみち~通り道Ⅱ
「とおりみち~通り道Ⅱ」
自然の中で感じる通り路
水の
獣の
空気の
光の
海流の
岩石から砂の
マグマから土壌の
生きていると感じる通り路
脳波の
言語の
血液の
栄養の
うんちの
おしっこの
汗の
温度の
酸素の
涙の
生きていく為の通り路
喜びの
哀しみの
怒りの
歓びの
成長の
知識の
経験の
恋愛の
瞬間の
友との時間の
家族との会話の
愛しい人と繋がる時間の
#とおりみち #生
作品「ルーズな坂」に対し、朝日新聞HPの『あさひのてらす詩のてらす』[4月分の投稿作品より]より、講評を頂けましたので、お知らせ。
朝日出版社ウェブマガジン あさひのてらす詩のてらす
第50回 2024.5.27
「ルーズな坂」
千石英世[先生]より
仮名と漢字の塩梅に推敲の余地ありと感じました。この塩梅は個人の好みのほかに時代や環境の好みもあってなかなかルール化はできないのですが、そこが、詩の活躍場所でもあるとおもっていいのでは? どうでしょうか?
平石貴樹[先生]より
人生を坂になぞらえることは昔から定番ですが、
詩 : 夏が近いと知らせる風の妖精
「夏が近いと知らせる風の妖精」
春の清々しさから夏らしい
風を感じさせる妖精が
ふっと目の前を通り過ぎて行き
夏が近づいた小川の傍で出会った
螢のことを何故か思い出し
同時にあの日
君と出会った時の事も思い出す
確か あの日も
もしかしてあれは
忘れきれぬ胸の熱さを感じた日のこと
何かを残した記念の日だった
記憶だけが胸に刻まれ
何故か
こんな風が通り過ぎる度に
思い出される
#夏が近い
詩 : 買い物は楽しかったはず
「買い物は楽しかったはず」
美しく見栄え良く飾り付けられた
品物につい別物のように勘違いして
購買欲をそそり立たせられる
これ いくら?
こんな物が並ぶ時期なのね
新鮮な物が揃ってるね
後一個だね型落ちだから安くなるかなぁ?
たわいの無い買い物の
お決まりの駆け引きのコミュニケーション
今ではそんなことして
楽しんでいた事さえ
忘れかけ始めている
店が消えるなんて言ってるけど
人も同じくらい
詩 : 婚活活動の螢
「婚活活動の螢」
何でもわかり合える
思いを持った相手を探すんだと
ワガママな思いを胸に秘め
自分のプロフィールと性格を
小川のあちこちに
羽を草木にこすり付け
マーマングをして回った
短い期間に
少しでも 早く広く動き回り
少しでも 遠くの相手に
ここに居るよと云うアピールを
光の明るさやタイミングを
誰よりも個性的に強く
それでも 程よい距離で
見付けられ易い様に
努力の工夫してます
き
皆様からいつも応援のスキを頂いて感謝申し上げます。
固定していた「愛を持つ人」の作品もお陰様で、100をあっという間に超えました。いつも応援有難う御座います。
夏も近づき、季節的に私自身がこの時期に感じる想いの作品の「天気予報の蝉」を暫く固定掲載し、変更致します。
詩 : ゴーストタウンになる前に
「ゴーストタウンになる前に」
高い高いビルディングジャングルは
乾ききった時や
人の住み家が減った時
全く想定してない有り様に
成るような妙な不安が横切る
飛び交う螢の川は
いつの間にか道路の下で
下水道という名前にすり替えられ
広大で蒼く澄み切った空は正方形に
木陰から微かに揺らいで光が差す
煩いくらい啼いていた蛙は
昔話を遠くに離れた地で
自分達が過ごしていた
かの地のルーツの話を聞く
詩 : 美味しい物って何だったっけ?
「美味しい物って何だったっけ?」
そのままの味を
そのままの形で
生きていた命を
頂きますと言いながら
食べることが一番の
感謝の気持ちなんだよと
意味も分からず
今になって気づくなんて
僕の体を造ってくれた食物に
失礼なことをしたんだと
今頃になって
言葉で現し切れない
料理される前の状態さえ
どこで獲れ
どこで育ち
何のために育てられて
解体されるのか知らず
飾り付けの見栄えのいい料理