連作　終末世界の住人

壁にでもなった気持ちでからっぽの冷蔵庫から見つける麺つゆ 素うどんをすする　鼓膜が閉じていくみたいな終末世界の住人 飲み干した麺つゆみたいな後味の思い出ばかりが繁殖している

連作　日を初夏を、

ドラえもんみたいに心を浮かせてる　まだ複雑な五月の暑さ 眠ったら終わってしまう日を初夏を、流しそうめん見つめてるだけ 失恋する感覚に似て誕生日　アニメで四季がまわったみたいな

連作　自動ドア開かない

雨が降る　検索しても出なかった不安と青信号のまたたき 表面をなぞっただけの五月雨じゃ拡声器でもひろがらない詩 自動ドア開かないほどの距離感でがんばるばかり言っているぼく

ほんっとうにすみません！私の体調不良のため、今日の投稿はおやすみです。文章を打つのでやっとなので、投稿以外のことも明日に回します。本当は今すぐにお礼を言いたい方がいるんですが、それも明日にします。申し訳ないです。今日は休んで、明日に備えたいと思います。

連作　シングルカットされない曲

かき傷によくしみる陽の光また、ばれないように立ち止まっている 帰路で振り返りたくなる黄昏でよくすれ違うビニール袋 いつだって君は誰でもない君でシングルカットされない曲だ

連作　人間性とかやさしさ

変わりたい変われないもう変われない　開かずの踏切みたいな夕焼け 三つ編みも結えない録画も溜まってて狭いところに仕舞われたいよ 陰口を言われるべきだわたしには足りない人間性とかやさしさ

連作　誰かのプリント

たのしさにセットでついてくる自傷　夜中に食べる余ったケーキ 去らないといけないいつかどこからも、夏野にひろがる命の匂い もう泣けない。心は凪いで誰からも拾われなかった誰かのプリント

連作　あおいろ

あおいろはわたしに海を告げていく君の似合わないカラコンさえも クレヨンでただ塗りつぶした画用紙のあおいろ　海でも空でもあった もう海はあおいろじゃない祈る手に降れるひかりは一色じゃない

連作　あちこちの小さな痛み

待ち合わせのつもりでそこに留まっているあちこちの小さな痛み 回してもこぼれないバケツの水　夏の涙はプラスマイナスゼロ 死んだなら生きなくていいわたしからいちばん遠くにあった勤勉

連作　弱冷房車

冷まさずに食べたポタージュ　満月が新月になる　満腹になる ベビーカーの中でわたしは何色の夢を見ていた、弱冷房車 ビリヤードみたいにはじける炭酸の数パーセントの果汁にときめく

連作　順路をまもって

片方が聞こえなくなったイヤホンを弔う、パソコンの起動音。海。 がんばれ、と間違い続けたパスワード　いつかの雨で濡れたままの詩 かきむしる理由もなくて植物園順路をまもってわたしを引き裂く

連作　さみどり未満

穴だらけの鉱山みたいにからっぽの心　ひかりじゃ満たせない夜 苦しみを色に換えられたならいい　グラデーションの夜の眺望 原石にならない感情　はつなつのさみどり未満の山に植えていく