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短いお話

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ミスiDチャンレンジ期間中にできるだけたくさんお話を書こうと思って書いています。最早修行笑
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記事一覧

【お話28 青春に酔い】

「青春の味がする」 チューハイの缶を傾けながら、南が呟いた。 「なにそれ?」 咲良は隣で炭…

八朔
2年前
4

【お話27 お酒とタバコ】

お酒が飲めない。体質的なもので、飲むとすぐに眠たくなる。 そのせいで、大学生の頃はずいぶ…

八朔
2年前
4

【お話26 逃避と観葉植物】

カラカラに渇いている。 観葉植物が植えられた土の表面に、指を指した。 全く沈むことのないそ…

八朔
2年前
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【お話25 ひとりと想像力】

あや子がかわいい声で笑っている。彼女の声はよく響く声質で、それがまるで、彼女の自信そのも…

八朔
2年前
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【お話24 黒い街】

治安が急激に悪くなった街。 まだ8時だと言うのに、人通りはない。街灯は相変わらず光を放って…

八朔
2年前
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【お話23 痛覚と無罪】

腹の奥底に、歪な塊を感じる。 イタイ。痛覚になってようやく、失敗の認識にいたる。いやうそ…

八朔
2年前
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【お話22 私が滲む】

送迎車から外を見る。誰かが電子タバコを吸いだしたらしい。 運転手の人が、低姿勢で「窓、開けてくださいね」と言う。 くぐもった返事の後、奥の方から窓が開く音がする。 数センチだけ開いた窓から、湿った外気が入ってくるのを感じた。 車内には自分を女の子が、4人。男は運転手だけ。 運転手の給料も、私たちが稼いでいる。必然、彼は私たちに丁寧な態度を取る。 車内に流れている、クラブ系ミュージックがうるさい。 ボリュームを下げろ、と言いたいが、深夜2時を回っても街中を運転し続ける彼にとって

【お話21 てんさい】

はーちゃんは気づいてしまった。 これはすごい。 もう一回やりたい。 いや、やらなくちゃいけ…

八朔
2年前
1

【お話20 軽バンとお彼岸】

午後3時過ぎ。 のんびりとした太陽が傾きかけて、運転席に眩しい光を届けてくる。 古い軽バン…

八朔
2年前
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【お話19 皺と薔薇色】

朝、カーテンを開けた窓の向こうに広がる空が、とても高く感じた。 いつも重たくて、しんどい…

八朔
2年前
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【お話18 恋をしている】

友達から、恋人の惚気が何度も届く。 返事は面倒だけど、「マコトにしか言えない」と言われた…

八朔
2年前
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【お話17 雑観】

‪自分はとんでもなく目が悪くて、乱視も入ってるから、遠くのものはぼやぼやで見える。‬ ‪…

八朔
2年前
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【お話16 私がふらつく】

スマホと同じ高さくらいとヒールを履いて歩いていた。 ドン・キホーテの片隅。 まったく興味の…

八朔
2年前
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【お話15 新幹線と臆病】

新幹線のつるりとした表面がきれいだった。柵越しに思わず手を伸ばした小学生の私は、先生に怒られた。 そういえばそんなことがあった。新幹線の中。酎ハイのアルコールで微睡んだ私は、追懐する。 あの修学旅行をテーマに書いた作文は、先生にとても褒められて、市の文集にも載せてもらった。怒られたことは、作文に書いていないはずだ。 動く新幹線の表面に、触れたいと思った。あんなに無謀で、純粋な気持ちで旅を、またしたいと。 最近の自分は、随分かしこまった旅ばかりしている気がする。 まさに今、