もげるブックス

柴田聡子さんやフリッパーズ・ギターの作品の鑑賞と考察。 「食べること・寝ること・しば…

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柴田聡子さんやフリッパーズ・ギターの作品の鑑賞と考察。 「食べること・寝ること・しばたさとこ」 というくらい、柴田聡子さんの作品を毎日聴いています。

最近の記事

小説『Feel Flows』⑯

前回はこちらです↓ (十六) 誰かの目を気にして自分の言動を否定し、さげすむ。そうしてしまいがちなのは、なぜなのだろう。 「僕は、面白くないひとって言われるんですよ」 「僕は、英語も話せないんですよ」 「僕は、勉強不足で理解する力がないんですよ」 「僕は、気をつけていても誤字脱字をしてしまうことが多いんですよ」 「僕は、見た目も悪いし、頭も悪いんですよ」 こう表現するとき、僕は誰の立場に立っているんだろう。誰の言うことを真にうけているんだろう。誰に気を遣っているんだろう

    • 大好き柴田SideRoad(9)コメントや思い出が書けませんでした

      こんにちは、きりやまです。 さきほど、「大好き柴田(26)」として「いじわる全集」10周年のお祝いの投稿をしました。これはそれにまつわる裏話の投稿です。 「大好き柴田(26)」はこちら↓ 前回までのように、全曲についての思い出をnoteに書きたかったこの企画は、柴田聡子さんのAlbum、EPの作品の周年記念に行っています。「いじわる全集」10周年企画は1st Album「しばたさとこ島」、1st EP「海へ行こうか」それぞれの10周年に続く第3弾企画でした。 過去の企画の

      • 大好きな柴田聡子さんについて語りたい(26)2nd Album「いじわる全集」発売から10周年

        こんにちは、きりやまです。 去る5月21日(火)は柴田聡子さんの2nd Album「いじわる全集」発売から10周年記念日でした。 これはそのお祝いの投稿です。 ギター弾き語りの名曲揃いの名盤前作のEP「海へ行こうか」に引き続き全編ギターの弾き語りスタイル。 好きな曲ばかりです。特に『とさだより』『お別れの夜』『いじわる全集』は何度もリピートして聴きたくなるほど大好きです。 来年は「柴田聡子」の10周年ですhttps://x.com/kiriyamaragain/statu

        • 小説『Feel Flows』⑮

          前回はこちら↓ (十五) 自分の存在意義とは、どのように求めるのだろうか。少し考えてみて、2つのことが頭に浮かんだ。 ひとつは、「最終的には独善的な思いをもって、えいやと求めるしかないかもしれない」ということ。もうひとつは、「これまで、こんなことを考えたことがなくても幸せに暮らせていた」ということ。もしかしたら自分は自分を不幸だと思いたいからこんなことを考えているのかもしれない。 唐突な質問かも知れないけれど、ひとつめの考えについてあなたはどう思われるだろうか。 例えば

        小説『Feel Flows』⑯

          小説『Feel Flows』⑭

          前回はこちらです↓ (十四) 先月、スーツを新調しに行きつけのお店に行った。 身につけるものが変わると気分も変わるかもしれないと思ったのだ。 ベテランのテニスプレイヤーも、ミスが連発したときにユニフォームを着替えることで気持ちを切り替えることがあらしい。何かで読んだことがある。 「気の持ちよう」は、精神力ではなく、物質の力で変わるものと思うと、肩の力が抜けるような気がした。 「物に頼らないで精神力でなんとかしないといけない」ということは大体において正しくないはずなのに、

          小説『Feel Flows』⑭

          小説『Feel Flows』⑬

          前回はこちらです↓ (十三) 昨日の夕飯は近所のスープカレー屋さんにした。初めて行くお店だった。 そのとき客は僕ひとりしかいなくて、店主の女性にいろいろと話しかけられた。女性はお店をひとりできりもりしているようだった。年齢はおそらく僕の親と同じくらいだ。 「最近、材料費が高くなってね。ただ、商品の値段もあげたくないし、量を少なくするってのもなんだかずるいしね。 どうしたもんかと思っていたら今日、卸売りの人が飛び込みでやってきて "マスター、仕入れ値を今よりも安くできますよ

          小説『Feel Flows』⑬

          小説『Feel Flows』⑫

          前回はこちらです↓ (十二) Mが続ける。 「少し厳しく聞こえるかもしれない意見と、普通の意見どっちが聞きたい?」 僕は、 「厳しい方をお願い」と答えた。きっと、解決の核心に触れる方を厳しい意見と表現してくれていると思ったから。 「OK。じゃあ、そうだな。 もしも、今話してくれた話を逆に私から君に言っていた話だったとしたとしよう。君は私にどうアドバイスする?」 ハッとした。 そうか、自分のことは自分では見えにくい。でも、他人のことであるかと思えば見えてくるものがあるか

          小説『Feel Flows』⑫

          僕の好きな歌③"All My Favorite Songs"Weezer

          All My Favorite Songsこんばんは。僕の好きな歌第3回目は比較的最近の曲”All My Favorite Songs”です。2021年1月にアメリカのロックバンドWeezerによって発表されました。バンドの14枚目のスタジオアルバム「OK Human」に1曲目として収録されています。 Wikipediaの記載(https://en.wikipedia.org/wiki/All_My_Favorite_Songs)によると、作詞作曲にはバンドメンバーのRi

          僕の好きな歌③"All My Favorite Songs"Weezer

          小説『Feel Flows』⑪

          前回はこちらです↓ (十一) Mからの電話に出た。 声をなるべく高く出して応答しようと思った。今の状態で自然に声を出せば、落ち込んだ低い声に聞こえてしまうと思った。なるべく、心配をかけたくなかった。 「もしもし。ごめんね。電話してもらっちゃって!」 「全然いいよ。 で、何があったの? 今話したくなければ、また話せるときでいいよ。実はこっちも話したいことあったから、その話をすることにしてもOKと思って電話したんだ」 Mもいつもの通りの明るい声だった。そのことが、妙に優し

          小説『Feel Flows』⑪

          小説『Feel Flows』⑩

          前回はこちら↓ (十) 「親友とはこのひとだ」といえるほど信頼するMに連絡をとってみた。 もしかすると、よきアドバイスをもらえるかもしれない。 LINEで連絡をとった。 直近で、「5月に会えたら会おう」という約束をしたあとだったので、まずはその話の詳細をすませた。 さて、ここからは自分の悩みを伝えるタイミング、と思い慎重にLINEの送信フォームに文章を打った。 しかし、送信前に読み返してみると一般論のようにスカスカの内容にしかなっていなかった。 「だめだ、こんな雑な書き

          小説『Feel Flows』⑩

          小説『Feel Flows』⑨

          前回はこちらです↓ (九) 友人とはどんなひとのことをいうのだろうか。 つまり、「友人の定義」とは何か。 そんなことを考えたことはないだろうか。 そういえば、大学生の頃に友人と思っていたひとから「君は知り合いであって友人ではないよね」とわざわざ確認されてショックを受けたこともある。 友人や友達とは「一方通行の思いでも成り立つ関係性である」というのが僕の考えだ。 例えば、「人類はみんな自分の友達と思っている」というひとがいれば、否定したくはならず、そう思いたければどうぞ

          小説『Feel Flows』⑨

          小説『Feel Flows』⑧

          前回はこちらです↓ (八) 以前かかりつけの内科の医師から言われ、忘れられないことばがある。 それは 「もし君が"自分が行っている習慣は何?"とたずねられたら、いくつか答えを挙げるだろう。だけど、残念ながらその中に答えはない。なぜなら、習慣というのは無意識のうちにやっているもの。自覚して、意識できているものは習慣ではないからだ」というものだ。 無意識にやっているもの、無自覚に続けているものが今の自分を作っている。 なんとなく、それは当たっているような気がした。 僕が無意

          小説『Feel Flows』⑧

          連載小説のタイトルについて

          こんにちは。桐山もげるです。 先週からこのnoteで連載を続けている小説のタイトルが決まりました。 『Feel Flows』です。 タイトルに込めた意味は、「見るもの、聞くもの、触るものによって主人公の感情が大きな川のように蛇行しながら流れていく」というもの。 僕の大好きなビーチ・ボーイズの曲のタイトル"Feel Flows"が元ネタです。カール・ウィルソンとバンドマネージャーのジャック・ライリーの共作の曲ですね。 悩み事を抱えた主人公は、その悩みの解決方法がわかりませ

          連載小説のタイトルについて

          小説『Feel Flows』⑦

          前回はこちら↓ (七) 自動車を運転する帰り道、西の空に「かよわい線」のような月が見えた。 「なんてきれいなんだろう」。 すぐに路肩に止めてスマホで写真を撮りたかったが、交通量の多い道路で迷惑になりそうでそれはやめた。 今日の月は三日月。 三日月はこれから満ちていく成長が約束された状態でありながら、いま現在でさえ特徴的で美しい形状をしている。 そう考えると「なんとうらやましい存在なんだろう」と思う。 これまでそんなことに思い巡らせたことはなかったが、もしかすると三日月をう

          小説『Feel Flows』⑦

          小説『Feel Flows』⑥

          前回はこちら↓ (六) これは、他の人にもあることだろうか。たまに僕は、自分が誰なのかわからなくなることがある。 そうなることが多いシチュエーションは昼寝から目覚めたばかりのとき、まどろみのなか。 「あれ、この世界はなんだ。 僕は起きてるのか、寝ているのか。 生きているのか、死んでいるのか……。 感覚があるということは生きているということか。 そもそも僕は、誰だっけ」 このような思考が巡り、自分が誰なのか、そもそも生きているのかどうかすらわからなくなることがある。 荘子

          小説『Feel Flows』⑥

          小説『Feel Flows』⑤

          前回はこちらです↓ (五) 日常のなかで、僕は生活をしなければならない。なんと当たり前で、なんと簡単なことで、そしてなんと残酷なことなんだろう。 生活をするために、僕は仕事をする。 朝、決まった時間までに起き、身だしなみを整え、これをやらないと生きていけないからと自分を律し、組織に順応し、得た対価の一部を国や自治体に納税する。 「趣味」とは仕事で感じる大変さから逃れる時間を作ることではないかと思う。 仕事は対価をもらうために、腑に落ちないことやつらいことを我慢することも

          小説『Feel Flows』⑤