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てくてく北へ #2 「九州北部の旅」(森山智仁)


【この連載について】
フリーライター・森山智仁さんが、2023年4月から半年かけて、鹿児島の開聞岳から北海道の羅臼岳まで各地の山に登りながら、ほぼ徒歩で日本縦断する旅「#日本縦走」。このチャレンジを「食」の観点から綴るフォトエッセイです。鹿児島から時速数キロで北上しながら、各地で出会った味覚についてリポートしていただきます。応援よろしくお願いいたします!
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両親とも大分県日田市の出身なので、九州にはなんとなく馴染みがあります。日田と言えばご当地B級グルメとして根強い人気を誇る「日田焼きそば」。パリパリの麺がクセになる味わいで、法事などのたびに連れていってもらっていました。

4月12日、熊本駅前の東横INNを出発し、阿蘇山を目指して東へ歩いていると、突然目の前に日田焼きそばのチェーン「惚夫恋」の看板が! 「日田とはだいぶ距離あるが!?」と驚きつつ入店。まだあと18kmほど歩くので、あまりお腹を重くすると危険ですが、ごはんセットとかにしなければ大丈夫でしょう。合うんですけどね、白米がまた……

焼きそば990円+山芋240円

やぁ久し振り! 相変わらずおいしいね! 山芋&卵をトッピングしたのはたぶん初めて。パリパリの麺とふわふわの山芋が、まさに硬軟織り交ぜた感じで攻め立ててきます。至福。少しだけ長めに食休みを取り、阿蘇山へ向かって行動再開です。

4月14日、阿蘇山の中岳に登頂!

阿蘇山を北に下り、さらに北上して瀬の本高原のキャンプ場へ。強い雨風の中、じたばたとテントを設営。翌日はくじゅう連山に西から入り、久住山などいくつかの山頂を踏んで、「坊ガツル」という山中の平原でまたテント泊。

このロケーションで無料


4月17日は黒岳を経由してくじゅう連山を東に下り、「黒嶽荘」という旅館に宿泊しました。テントの連泊と急斜面の登り下りで疲れた体を温泉で癒やし……

光・音・熱!

お夕飯は地鶏の炭火焼き! 今までの人生で食べてきた鶏肉とは比べ物になりません。旨みが凄くて、ずっと噛んでいられます。ビールにはもちろん、ごはんにめちゃくちゃ合う! 食堂が少し寒くて、この炭火が熱源というのも風流で良かったです。しかもこの最高の鶏肉と肉厚の椎茸が、東京でなら2〜3人前じゃないかという大皿にたっぷりと盛られ、馬刺しや山菜、朝食もみんなおいしかったのに、お会計は1泊2食付き+瓶ビール1本で驚異の8000円台。金銭感覚バグるかと思いました。

翌4月18日は湯布院まで歩いて、由布岳の西登山口まで徒歩3分の「カントリーイン麓舎」に宿泊。こちらのお食事がまた素晴らしく、2夜続けてのご馳走となりました。

グルメ番組かな?

上品だけど肩肘張らず楽しめるコース料理! 心を込めて作られているのが伝わってきて、一口ごとにしみじみ「うまい……!」と感動します。前菜は右の「ごま豆腐のかぼすゼリー寄せ」がお気に入りでした。まろやかでちょうどいい甘さ。その後、ほっとする味のじゃがいものスープを挟んで……

主役の登場

メインはステーキです。神。おろしを含んだソースがいい仕事をしています。昨日のセルフで焼く地鶏も最高でしたが、自分は加熱調理に関して心配性なもので、何でもつい焼き過ぎてしまうんですよね。その点、プロの焼き加減はやはり流石。美しい赤! 付け合わせの野菜やサラダもいちいちおいしかったです。

アメリのやつ

デザートはオレンジブリュレ。パリッ! という音に心を弾ませ、スプーンを口に運ぶと、幸せな気持ちで満たされます。表面のパリパリがしっかりと甘く、本体が甘過ぎないバランスがお見事でした。

由布岳西峰の鎖場はなかなかスリリング

九州編ラスト、別府の西にそびえる鶴見岳の前に、「城島高原ホテル」に宿泊。「和洋室」という、和室と洋室がくっついていて、10人ぐらい余裕で泊まれそうな部屋を1人で使用。奮発したわけでなく、平日限定の「一人旅応援プラン」がそういう設定でした。1泊2食付きで10000円を切ります。平日万歳。

このあともう二皿ほど持ってきました

安さの秘訣の一つがバイキング形式なのでしょうね。でも提供側は楽だし、こちらは選ぶ楽しみがあってwin-win。夕食はほぼ全品いただいてみました。登山はカロリー消費が激しいスポーツなので、たっぷり食べても合法! みんな大好きエビチリと、「豚しゃぶと春キャベツの胡麻和え」が特においしかったです。バイキングってどうしても冷めがちという弱点がありますが、この二品は冷めてもおいしいやつだったのでリピートしました。

朝は欲張らない

朝食は胃腸に負担をかけないよう、全品コンプとかしないで、和洋いずれかに絞るのがコツ。スクランブルエッグがふわふわトロトロでとても良かったです。「お帰りは、バス……?」「歩きです」「……?」という、車でのアクセスがデフォルトの宿では定番の会話をしてチェックアウト。


4月20日、鶴見岳に登頂!

鶴見岳はロープウェイでも登り下りできるフレンドリーな山。もちろん足で登って下りたわけですが、山頂でロープウェイ乗り場に立ち寄り、別府湾を眺めながらチョコミントをキメました。チョコミントは、わらび餅・アルフォートと並ぶ、個人的三大おやつの一つです。


ありがとう九州の山々

別府駅前のスーパーホテル(温泉付き)に泊まって、さぁ次は四国だ! と意気込んでいた4月21日、事件は起きました。フェリー乗り場まであと8kmの地点にあるホテルにチェックインして、風呂場で足を拭こうとしたその時、腰に電撃。やっちまいました。重い荷物を背負って10日間も休まず歩き続けたのが良くなかったようです。

翌朝、整骨院で診てもらい、どうやら関節を痛めたものと確認。ホテルを延長して、今は安静にしているところです。回復までどれぐらいかかるかわかりませんが、もう大丈夫と確信できるまで、無理せず待とうと思います。こういうトラブルも旅の一部! いわば栄養! 受け入れて血肉に変えましょう。

【北海道上陸まで残り154日・車道最短距離で1505km】


文・写真:森山智仁
Twitter:https://twitter.com/bacoyama
blog:https://moriyamatomohito.hatenablog.com/

●森山智仁のyoutubeチャンネル「東京登山」
https://www.youtube.com/channel/UC0HDQAfdJHYJtPpHgJUds1Q
Twitter:https://twitter.com/yamako_yamalove

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