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進めと言われているに違いない

そろそろ次のお誘いが来た。
少し準備をしたら、久しぶりにまた飛ばなくてはいけない。
いつものことだから、時期が近づいたら荷物を詰めるだけ。

ところで、これまでは海外出張というと、まず申請が超絶面倒だった。
渡航が必要な状況になって、たとえ現地が火を吹いていたとしても、まず申請書を作り、所属長(マイク&ハナサーズなど)にその必要性を事細かに説明しなくてはならない。その際にこちらの説明の倍くらいの自慢話(おれが若い頃はなぁ〜、ハッハッハ)を長々聞かされるのだが、しまいにはもういいから押せよ、ってハンコついてもらった紙を持って役員のところへ行き、でも役員は実務が分からないからメクラ判をもらい(但し不在だと帰社を待たなくてはならない)、最後に社長へ簡潔に報告して欄外にサインをもらう(これで反対派を黙らせることが出来るので慣例となっている)という、気が遠くなるような先進的なプロセスを踏まなくてはならなかった。しかも同行者が複数で他部門を跨ぐこともよくあるため、それぞれの部門長に耳打ちしたり、スケジュールを事前に当たり付けておいたりというロビー活動のような段取りが必要だった。ウチみたいな中堅どころでも、まだまだ海外へ飛ぶということはイレギュラーだったのだ。

しかし今回、おれの所属や周辺が変わったこともあり、もう直属の上司や部門長に打診しなくても良くなったことに気づいた。
現地と日程の話を合わせ、メンバーを任命するところまで整えると、あとの申請プロセスは優秀な同僚たちが手分けしてやってくれた。
あとはせっかく渡航するので、「お近くにお越しの際は是非お立ち寄りください」と社交辞令を言っている拠点も何都市か回ることにした。
それぞれのアポイントを取ると、「え、ほんとに来るの?」とは言わず、現地もおれの渡航に合わせて快く人選しておいてくれるとのこと。
肩書きが付くとこうも話が早いのか。
一気に道が開けた。
もちろん決断に責任は伴うが、元々これまでとやっている事は大差無い。違うのはアンチが消滅したことと、おれが決めるとみんなが動いてくれるようになったという事。

水が低いところに流れていくように、人間もまた、迎えられるべき方向へ誘われるのかもしれない。これまでやってきた活動は社内の賛同が得られずに常に茨の道だったのだが、それを知っているだけに、前向きな仕事がウチにもあったんだ!という驚きでいっぱいだ。

管理職はストレスしか無いのではという懸念を長年持っていたのだが、組織の中で意思を持ってチームを動かす時には、肩書きってやつが抜群に効力を発揮することが分かってきた。
これは面白くなってきた。