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ちはるのファーストコンタクト

ファーストコンタクトは相互理解への第一歩。このマガジンでは、私が考えていることの第一歩をできるだけそのままの形で公開していきたいと思います。話題は、アドラー心理学、教える技術、研… もっと読む
毎週月曜と金曜にブログを書いています。それ以外の曜日では、過去記事の切り抜き、質問受け付け、本の紹… もっと詳しく
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記事一覧

【アドラー教科書】(3) 教科書とコースの構成を考える

2024年4月30日(火) 前回は、「アドラー自身の著作から理論の全体を探る」と題して、アドラーの代表作と言える『生きるために大切なこと』(The Science of Living, 1928, 桜田直美訳, 2016, 方丈社)の構成を見てみました。 そこに登場する重要な概念を次のようにまとめました。 アドラー心理学のキー概念 劣等感 その変形としての劣等コンプレックス その変形としての優等コンプレックス ライフスタイル その類型 それを知るための幼少期

架空と現実をSNS経由で結びつけるドラマ「スカム」からのヒント

2017年3月28日 火曜日は「教えること」のトピックで書いています。 ノルウェーの高校生ドラマ「スカム(Skam, 恥)」が北欧で大ヒットしているそうです。 このドラマの作り方は、テレビドラマとSNSをつなげたところに特徴があります。公式サイト(http://skam.p3.no)を見てみると、そこにはドラマの登場人物の写真や彼らの間で交わされたチャットなどが載っています。そして、そこにつけられた視聴者からの膨大なコメント。 主にテレビで見る動画と、パソコンで見る(

【考え】自分の考えを文字にすることの意味

2024年4月29日(月) 毎朝少しの文章を書いている。最近の生成AIの動向はどうなのだろうか。私はすっかり興味を失ってしまっている。文章を書くのが苦手だという人がいることはわかっている。しかし、自分の考えを文字にするという、苦しくも楽しい行為をAIに譲ってしまうのはもったいないことだと思う。 自分の代わりにボールを打ってくれるテニスロボットがいたとして、それを操縦してテニスをすることに何の楽しみがあるのだろうか。私が「eスポーツ」に懐疑的なのはこの感覚による。映画『レデ

台本ストーリーはどのように書かれているのか(ライフスタイル論#05)

2017年3月27日 月曜日はアドラー心理学のトピックで書いています。 前回は「ライフスタイル論」の4回目として次のことを書きました。  1. 私たちは日々ライフタスクに直面するたびにライフスタイルを参照して、取りうる行動の選択範囲の中から決断して選んでいる。  2. その決断は自然に、そして瞬時になされるため意識されない。しかし長い目で見ると、それは自分が作り上げた自己理想に沿うようにされている。 さて、ライフスタイルとして書かれている台本ストーリーはどのように書か

甲府市の「アジアの文化を識る会」の招きでアドラー心理学の講演をしてきました。

2017年3月25日 甲府市の「アジアの文化を識る会」の招きでアドラー心理学の講演「自分のライフスタイルを知って人生をシンプルにする」をしてきました。90分間の短い時間でしたが、ワークを2つ入れることができて、参加のみなさんには楽しんでいただけました。 山梨で講演とワークショップをするのも、南アルプス市や忍野村、そして山梨県立大学とたくさんになりましたので、とても親近感を覚えています。全国から呼んでもらえて嬉しいです。また新年度になりましたら、新しいプログラムを作っていき

【雑談】Netflixサブスクを再開した

2024年4月28日(日) しばらくサブスクを切っていたNetflixを再開した。 岩明均のマンガ『寄生獣』(講談社, 1990)を元にした韓国ドラマ『寄生獣 ザ・グレイ』と中国のSF『三体』を見たいことが重なってサブスクの再開となった。 『寄生獣 ザ・グレイ』はシリーズ1、全6話を見終わった。スプラッターアクションが見どころではあるけれども、最後はなんかいい話で結末を迎えた。紙のマンガ『寄生獣』は学生の頃に熱心に読んだ。Amazonを見ると、そこから30年以上経った今

明日が晴れますように。

2017年3月25日 土曜日は昔のブログ記事を振り返って書いています。 雨の卒業式去年、一昨年は晴れだったが、今年の卒業式はあいにく、朝から雨。大隈講堂の前で写真が撮れなかったのは残念。でも、昼くらいから雨は上がった。 eスクールの一期生が卒業するので、今年から、eスクール代表のあいさつが加わった。eラーニングによる生涯教育の幕開けということを語っていて、説得力があり、とてもよかった。 ――2007-03-25のブログより 明日はいよいよ、人間科学部、人間科学研究科

データだけでもダメですが、人間くささだけではもっとダメです。

2017年3月22日 水曜日はフリーテーマで書いています。 Netflixで「マネーボール」という映画を見たのですが、これがすごく面白かった。アメリカの球団アスレチックスのジェネラルマネジャー(GM)が主人公です。彼が予算のない球団で「野球統計学」を使って球団を20連勝させ、地区優勝まで導くという話です。 野球統計学は正式にはセイバーメトリクス(SABRmetrics)と呼ばれています。SABRとは「アメリカ野球学会」の略称です。そんな学会があるんですね。 セイバーメ

【ブログ】中野エクステンションで「アドラー心理学ゼミナール」がスタート

2024年4月26日(金) 早稲田大学エスクテンションセンター中野校で、対面による「アドラー心理学ゼミナール」の初回があった。これから月1回のペースで土曜日に10:40から16:35の3コマで開くことになる。全4回。参加登録者は29人。実際の出席者は26人だった。 前回は2023年の9月に全2回で開いている。こう書いている。 前回は夏休み期間での開講で、今から考えると、再起動の助走のような位置づけだったのかもしれない。今回は、「ゼミナール」という新企画で、全4回で各3コ

動機づけされたあとは「意志の力」が必要です。

2017年3月21日 火曜日は「教えること」のトピックで書いています。 前回は、教えたり指導する人が相手にやる気を持って欲しいときに、次のことをアピールするといいことを書きました。 A. 相手の知識とギャップのあることをデモンストレーションして好奇心を喚起する R. これから学ぶことが相手の個人的目標にも十分関係があることを説明する C. これから取り組んでいく課題は相手にも十分達成できるものであることをいう S. このコースが終えるとその後どのようないいことが起こるか

【本】杉浦真由美『医療者のための教える技術』:医療者だけでなく教えるヒントが満載

2024年4月25日(木) 2021年8月24日 杉浦真由美『医療者のための教える技術:オンラインと対面のハイブリッド教育研修』(メディカ出版, 2021)には、私も表紙に推薦文を書かせていただきました。 この本はオンライン研修を含めて、研修をどのように設計し、どうのように実施すればいいのかということについてすべてのことが盛り込まれています。 私が考案したり、よく使っている「教える技術」の工夫が、より具体的に紹介されていますので、うれしいです。たとえば、次のようなトピ

【質問】アドラーはフロイトの弟子だったか?

2024年4月24日(水) 質問は「マシュマロ」からお送りください。匿名で送ることができます。 質問アドラーはフロイトの弟子だと書かれることがありますがそうなのですか? 回答実際は違います。これについては、アドラーが生きていた時からそのように書かれることがあったようです。アドラー自身はその誤解について死ぬまで怒っていたとのことです。 フロイトとアドラーが会ったのは1902年です。フロイトは「心理学水曜会」という研究会を主催しており、そこに新進気鋭のアドラーの出席を願い

アドラー心理学公開研究会を開催しました。「またもっと良い本を書いていこう」という気持ちになりました。

2017年3月20日 早稲田大学アドラー心理学研究会主催で公開研究会を開きました。この研究会の公開の催しには夏の「アドラーフェスト」があります。今回は、こうした公開研究会を増やしていきたいという意図も込めて企画しました。 同時に私の近著である『幸せな劣等感』(小学館新書, 2017)の出版記念会の意味合いも込めてみました。これまでに何冊も本を出版してきましたけれども、よく考えたら出版記念パーティーのようなものは一度もやってきませんでした(書店でのトークライブはありましたが

【アドラー教科書】(2) アドラー自身の著作から理論の全体を探る

2024年4月23日(火) 前回は、「アドラー心理学の本の構成からその特徴を知る」と題して、アドラー心理学の入門書の構成をいくつか示しながら、その特徴を捉えようとしました。