マガジンのカバー画像

ちはるのファーストコンタクト

ファーストコンタクトは相互理解への第一歩。このマガジンでは、私が考えていることの第一歩をできるだけそのままの形で公開していきたいと思います。話題は、アドラー心理学、教える技術、研… もっと読む
毎週月曜と金曜にブログを書いています。それ以外の曜日では、過去記事の切り抜き、質問受け付け、本の紹… もっと詳しく
¥500 / 月
運営しているクリエイター

#教える技術

【考え】教える仕事についている人のための塾

2024年5月13日(月) 今年度は、教える技術オンライン研究会はお休み中だが、教える仕事についている人のための塾を開くのは良いかもと思った。一種のオープンカウンセリングのように、教えるに際しての困りごとを参加者の見ている前で扱っていくという方法だ。

【連載】教える技術講座#05(最終回):「これじゃないもの」をどう教えるか、あるいはアンチョコの発見。

2017年2月10日 (金曜日はちょうど終了したオープンカレッジ講座「教える技術」をネタにして連載しています) 前回は「入門期には楽しくやり、熟達期には挑戦させる」ということを言いました。今回は、「これじゃないもの」をどう教えるかということを考えて、連載の最終回としたいと思います。 【「これじゃないもの」をどう教えるか】ということ自体がわかりづらいと思いますので、まずこれを説明します。私たちが何かを学ぶときは、先生や師匠や(自分が子供であれば)親といった人について、学び

【連載】教える技術講座#04:入門期には楽しくやり、熟達期には挑戦させる。

2017年2月3日 (金曜日は現在開講中のオープンカレッジ講座「教える技術」をネタにして連載しています) 連載#01「「ダメ」と言う必要はないのです。」で紹介したように、教え方のゴールデンルールは「スモールステップ、即時フィードバック、挑戦/スキルバランス」です。 特に「入門期」においてはスモールステップと即時フィードバックの原則は重要です。具体的には、簡単で単純な課題をこなしてもらって「達成感」や「楽しさ」を味わってもらうことです。 入門期で「楽しい」と思えないよう

【連載】教える技術講座#03:教えることは協力すること。

2017年1月27日 (金曜日は現在開講中のオープンカレッジ講座「教える技術」をネタにして連載しています) 前回は「キャロルの時間モデル」を取り上げました。もし自分が学ぶのに必要な時間が与えられているならば、全員が100%習得できるはずです。これを「キャロルの時間モデル」と呼びます。 一見して当たり前のことのように思えるキャロルの時間モデルですが、学校というシステムではこれが実現されていません。クラス全体が決められたスピードと順番で学習を進めていきます。そのスピードがち

【連載】教える技術講座#02:必要な時間をかければ誰でも習得できる。

2017年1月20日 (金曜日は現在開講中のオープンカレッジ講座「教える技術」について連載しています) 教える技術の最終的な目標は、すべての人が自分に必要な技能を習得できるようにするにはどうしたらいいのかを明らかにすることです。それは可能なことなのです。 「でも、学校で習うことは100%できるようになるわけではない」と反論するかもしれません。もしそうならテストは全員が満点を取れるはずです。しかし現実には満点を取る人はごくわずかで、それ以外の大部分は満点ではありません。落

【連載】教える技術講座#01:「ダメ」と言う必要はないのです。

2017年1月14日 毎週金曜日は何か連載ものを書こうと決めました。なんの連載にしようかと少し考えたのですが、現在開講中のオープンカレッジ講座「教える技術」について書くことにしました。この講座は全部で4回で完結しますので、連載回数もそれくらいの回数になります。 毎回の授業をしてみて感じたことや、質問をもらって考えたことなどを書いていこうかと思います。読んでいただくと私がどういう意図で授業のデザインをしているかということについても、それとなくわかるかもしれません。 第1回

動機づけされたあとは「意志の力」が必要です。

2017年3月21日 火曜日は「教えること」のトピックで書いています。 前回は、教えたり指導する人が相手にやる気を持って欲しいときに、次のことをアピールするといいことを書きました。 A. 相手の知識とギャップのあることをデモンストレーションして好奇心を喚起する R. これから学ぶことが相手の個人的目標にも十分関係があることを説明する C. これから取り組んでいく課題は相手にも十分達成できるものであることをいう S. このコースが終えるとその後どのようないいことが起こるか

【本】杉浦真由美『医療者のための教える技術』:医療者だけでなく教えるヒントが満載

2024年4月25日(木) 2021年8月24日 杉浦真由美『医療者のための教える技術:オンラインと対面のハイブリッド教育研修』(メディカ出版, 2021)には、私も表紙に推薦文を書かせていただきました。 この本はオンライン研修を含めて、研修をどのように設計し、どうのように実施すればいいのかということについてすべてのことが盛り込まれています。

【本】ダネル・スティーブンス、アントニア・レビ『大学教員のためのルーブリック評価入門』→大学だけでなくすべての教員と企業の人事担当者・マネジャーに有用

2017年3月16日 (木曜日はお勧めの本を紹介しています) ■要約ペーパーテストから成果物や実技によるパフォーマンステストに置き換えることで教育はより良くなる。パフォーマンスを評価するための道具がルーブリックだ。ルーブリックを使うことで、以下のことが可能になる。  (1) より早いフィードバックを手間をかけずにできる  (2) 学生自身がどこができていて、どこか不足しているのかがわかる  (3) 学生にルーブリックを検討してもらうことで、どんな能力が重要なのかがわかる

どんなときに「やる気」が起こるのか。

2017年3月14日 (火曜日は「教えること」のトピックで書いています) 勉強でも仕事でもスポーツでも、努力を必要とすることをしようと思うとき、どんな条件がそろうと「やる気(Motivation)」が起こるのでしょうか。 これがわかれば「あー、なんかやる気出ないなー」と言って、自分がやらなければいけないことになかなか手をつけられないこともなくなるでしょう。また、人に教えたり、指導する場合に、相手のやる気をうまく引き出すことができるでしょう。 ケラー(John M. K

【本】市川尚・根本淳子編著『インストラクショナルデザインの道具箱101』→インストラクショナルデザイン入門の1冊目として実用的

2017年3月9日 (木曜日はお勧めの本を紹介しています) 市川尚・根本淳子編著『インストラクショナルデザインの道具箱101』(北大路書房, 2016) ■要約インストラクショナルデザイン(ID)とは学びの「効果・効率・魅力」の向上を目指した技法とモデルの総称である。それを101個集めたこの本を眺めて、自分の現場に導入していけばあなたの教える技術は高まるだろう。 ■お勧めのポイントIDの技法とモデルを101個も集めたら、それをどのように分類、構造化して示すかというとこ

【本】ユーリア・エンゲストローム『変革を生む研修のデザイン』:活動理論の実践的入門としてお勧め

2017年2月16日 (木曜日はお勧めの本を紹介しています) ■要約古典的なインストラクショナルデザインの限界について2つの批判をしてそれを拡張しようとする。(1) テキストは学習の対象ではなく道具に過ぎない。教室や研修所という文脈を超えた拡張的学習を目指す(ベイトソンの「学習の型」由来)。(2) 教育の目標は観察可能な行動リストではなく、態度、戦略、メンタルなどの認知的方向づけであるべきだ(ガルウェイの「インナーゲーム」由来)。 ■ポイントベイトソンの「学習の型」とい

「体験中心」が意味すること

2017年2月14日 (火曜日は「教えること/研究すること」のトピックで書いています) これからのビジネスは顧客にどのような「体験」をさせるのかが鍵を握っているといわれています。 たとえばコーヒーショップでは、コーヒーという商品そのものをどのようなソファで飲んでもらうかという体験が売りになります。確かに同じコーヒーを飲むのであれば、眺めがいいところや、落ち着くところ、座り心地がいいところで飲みたいと思います。これがライバルとの差別化につながるというわけです。 書店でも

向後千春の「200字/1000字/1万字の法則」

2017年2月8日 (水曜日はフリーテーマのコラムを書いています) 研修設計の専門家であるRobert Pikeは、授業・研修・訓練の時間の区切りについて「90/20/8の法則」を提唱しています(『クリエイティブ・トレーニング・テクニック・ハンドブック[第3版]』)。 パイクの「90/20/8の法則」というのは次のことを示しています。 90分以内に1つのセッションを終わること(休み時間を入れる) 20分以内にペースを変えること(レクチャー、グループ活動、ビデオなど)