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Poem 333

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ブログ・電子書籍・コンクール入選・・・既発詩から厳選して採取採集。
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記事一覧

良い詩を書かなくていい、書けなくてもいい。

良い詩を書かなくていい 良い詩を書けなくてもいい できれば 良い詩の方がいいのはもちろんだが 結果的に 良い詩にならなくてもいい その時 書きたいと思った詩を 書いた方がいいと想った詩を 書けばいいだけ ふらっと書いてもいい しっかりと書いてもいい 結果的に 書いた詩が良い詩ならラッキー くらいの感覚でいい 良い詩を書こうとしなくていい 良い詩を書けなくてもいい 書きたいと思った詩を 書いた方がいいと想った詩を 形にできたら 放つことができたら 届けることができ

もう一度飛行 あと一度潜行

あなたに逢いたい すべての表現は 突き詰めれば それだけ それだけの事 もう一度、逢いたい あと一度、逢いたい 逢ったところで 何をどうこう するつもりもないけれど 逢えたところで 何がどうこう 起こることもないけれど 表現は磨かれる あなたに逢いたいを 込めれば込めるほど 表現は深まる あなたに逢いたいを 詰めれば詰めるほど 理屈じゃなくて 一人芝居だとしても 理想じゃなくて 一人千鳥足になろうと もう一度 もう一度だけ逢いたい あと一度 あと一度だけ逢い

333万篇から3篇への旅路

333万篇を書き 33万篇を考え 3万篇を磨き 3千篇を解き 3百篇を放ち 30篇を届け 3篇が響く。 これでいい。 これくらいでいい。 これを出来たら良い。 ------------------------------------------------------------------------------ 【 初出 】 詩のブログ 橙に包まれた浅い青 2021年10月14日 「 333万篇から3篇への旅路 」 「 以上、全文を無料公開済です。   以下、

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下書きでも、殴り書きでも、落書きでも。

思いつかない時 どう考えても 全く思いつかない時 ありますよ、そりゃ。 あるでしょうよ、そりゃ。 それでも ありますよ。 粘りに粘れば うっすらとそう 見えていなかったものまでも 絞りに絞れば うっすらとほら 形になっていなかったことさえも それでも 思いつかない時は ありますよ。 あるでしょうよ。 それならそれで 下書きでも 殴り書きでも 落書きでも 何でもいいから 引っ張り出してきて 未完を 生かしてみれば それなりに完成ですよ。 蓄積を 活かしてみれば

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Write Light Holic - 微笑みの頬つねり -

書くことに選ばれた 自惚れて止まない 本能を 書くことを課された 自惚れて止まない 本望よ 最後の最後まで 書きたいことは 溢れていそうだけれど 最期の最期まで すべてを書ききれる ことはないかもしれないけれど 書きたいが 次々とやってくるこの今に 答えていく連続は 変わらない 書きたいに 素直にゆだねるこの今に 応えていく連鎖は 変わらない 書きたい ただ書きたい ただただ書きたい 溢れて止まない衝動に 微笑み 書きたい とにかく書きたい ひたすら書きたい 暴

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感覚に感性に 素直に忠実に 間隔が空こうとも、完成が遠退こうとも。

出したい詩は たくさんあるが 出したいタイミングは 今じゃない 今ではない まとめたい詩は たくさんあるが まとめたいタイミングは 今じゃない 今ではない 出し惜しみ? かもしれない しかし 今じゃないのは 今ではないのは はっきりとしている 感覚に 素直に従い 間隔がどれだけ空こうとも 感性に 忠実に沿い 完成がどれだけ遠退こうとも 出したい詩 まだ出さない 「 今じゃない 」と答える今 まとめたい詩 まだまとめない 「 今ではない 」と応える今 ------

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鮮や懐古 艶や回顧 仰ぐは蚕

目を閉じれば あの時のあなた 鮮やかに 目の前にいるかのように 誰よりも綺麗でした  あのあなたは  あの時のあなたは 大袈裟ではなく 嘘偽りもなく あの時を潤すように あのあなたに応えるように 振り返れば あの日々のあなた 艶やかに 目の前にいるかのように 誰よりも女神でした  あのあなたは  あの日々のあなたは 何よりも届いた 誰よりも響いた あの日々を満たすように あのあなたに捧げるように もう届かないけれど 色濃く放って止まない 懐古な身勝手が転がる今 もう

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100円ポエム

意思か欲望か気まぐれか好奇心か こうして今 あなたはこの詩を読んでくれている つまり、23篇で100円のこの電子詩集を購入して頂いたわけだ。 不思議っちゃ不思議 自分の詩が売れたんだから どう考えても売れる見込みのない詩集が売れたんだから 買ってくれたあなたにわざわざ書いて伝えることでもないが 「まさか、この詩集を買ってくれるとは」 というのが正直な心境だ。 「100円払った価値はあるでしょ?」という自信満々半分 「100円払って損したと思ってます?」という申し訳なさ半分

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重底音

弛緩する全景 すり抜けてゆく数々の春夏秋冬 繋ぎとめていたかった面影ばかり霞んでゆく 夕陽を背に 手を振り合ったランドセル 当然のように その先には明日たちが 待っていた 待っているはずだった 随分 遠い過去のことを語るような目つき 随分 遠い未来のひとへ語るようなつぶやき 過去にできない現実を 丁寧に丁寧に 祈りに祈るように 物語へと高めていかざるを得ない 狙い澄ました わけでもないだろうが 淡くどす黒い重底音が 徐々に徐々に、立ち込めていく最中 破裂した 破裂する

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枯れ落ちた瞼

枯れ落ちた瞼 左手の甲に乗せて 生前にしておきたかったこと 生前にしておくべきだったこと 今さら、今さら 口にすれば 三行で事足りること 言い淀んでるうちに迎えたその日 示し合わせたような 北北西の風に合わせ 小刻みにゆれる木漏れ日が縁取る 数々の慈しみに満ちた温もり セピアに色づいてしまう前に モノクロに染まっていく前に 目の前にはもういない 目の前にはもう返ってこない だけど 何か形にして受け継いでおかねば 回る針が速度から解放されて 回る足が強度から解放されて

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波状線

窓から滲んでくる 環状線を行き交う車の音 ぼんやりとしたそれは ふるさとの浜辺で聴いた 波の音にも似ている 時折 近づいてくるヘッドライト 住宅街を さっと擦り抜けてゆく 長い夜になりそうだと 千鳥足のアラブ系住民が 歌うように駅の方へ向かう よくできました世界 今日も、ほんとよくできました 疲れた身体を労わる 深い蒼い夜が続いていく 片づけなければならないこと とりあえず明日の朝までに仕上げるべきこと 絞り込んで グゥ〜と腕を伸ばし 窓からの風を 大きく深呼吸して

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皆はサッカーに夢中だった

サッカー中継に 皆が夢中の時間 私は一篇でも素晴らしい 詩を書こうと ああでもない、こうでもないと ノートに書き殴っていた 本当は少しだけ サッカーの結果も気になってた けれど ここで皆と同じように サッカーを見て感動してては いつまで経っても 私の力で皆を感動させることは 二度と無理な気がして 今は書かなきゃと 妙な自惚れと使命感に燃えてた 歓声が聞こえてくる テレビ画面を破る勢いで 歓声が聞こえてくる 一階の茶の間からドカーンと 私もいつか あんな歓声を この詩で、

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あるきびより

誰もいない 誰も歩いていない 台風だから 台風が来てるから 雨が強い 風が激しい 台風だから 台風が来てるから いつもなら ここら辺で立ち話してる おばさんたちも 今日はさすがにいない 台風だから 台風が来てるから ビショ濡れは嫌だけど 気兼ねなく 視線を気にせず歩ける 誰もいないから 誰も歩いていないから 靴はズクズク ズボンはドボドボ シャツはビチャビチャ でも、心は笑顔 ぼくにとっては あるきびより 台風だから 台風が来てたから --------------

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建設的な真夜中

眠らない街でも さすがに鎮まる真夜中 本格化する工事 煌々と照らされる     無数の影が        人知れず 汗をしたたらす 遠目に見つめても 何が進展しているのか 昨夜と今夜だけではよくわからない 中長期的な過程を 黙々と 黙々と 彼らは積み重ねていく 何階建てになるのだろうか? 何万人の人が一日に利用するのだろうか? ひたむきな影の一つ一つが 壮大な未来を この鼓動に描かせる 何をするでもない風呂上がり 窓辺で 夏の夜風に当たりながら  今夜も      

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