けいりん

Radiotalk自主企画「#お題で創作」で朗読した作品などを発表しています。朗読等二…

けいりん

Radiotalk自主企画「#お題で創作」で朗読した作品などを発表しています。朗読等二次利用については、出典を明記していただければご自由にしてくださって構いません。報告は必須ではないですが、してもらえると喜びます。アイコンはシンガーでイラストも描いているNeneNoneさん。

マガジン

  • Birthday

    連載小説Birthdayのまとめです。 学校のマドンナ的存在である先輩と運命の出会いをした少年。 祖父と祖母の馴れ初めを描いた古い日記に胸ときめかせる少女。 不思議な力がきっかけで生涯の伴侶と巡り会った男。 遺伝子(ジーン)と模倣子(ミーム)の出会いと継承。 その交錯する地点で生まれるものとは。 この運命は偶然? それとも……

  • Radiotalkお題で創作

    音声配信アプリRadiotalkで、週一回お題を決めて創作して朗読した作品のテキスト版です。随時更新。

  • 毎週ショートショートnote参加作品

    たらはかにさんの企画 #毎週ショートショートnote に参加した作品たちです

  • 企画等不参加ショートショート

    特に企画等に参加したわけではないものや、単発の企画に参加したものなどなど

最近の記事

  • 固定された記事

もくじ(題字・NeneNone)

短い小説をメインに発表しているけいりんのページですが、それらを種別にまとめてインデックスを作ることにしました。 どの種別もジャンルは多種多様で、基本的には互いに関連もないので、発表順、或いは気の向いたところからテキトーに読んでいただいても問題はありませんが。 ついでに作品ページにはない、それぞれのお題の記載もしておきます。 マメにはやらないと思うけど時々追加していきます。 毎週ショートショートnote参加作品(たらはかにさんの企画 #毎週ショートショートnote に参

    • もう一度

      もう一度、と君は言う。もう一度、僕はそれに応える。けれども僕らは知っている。こうしてまたもう一度体を重ねるたびに、僕らの本当の「もう一度」は遠のき、喪われて行くのだと。本当にもう一度手にしたかったもの。それを忘れようと、僕らはまたもう一度、快楽に溺れる。 (大昔に旧Twitterで #twnovel を付けて書いたもの。再発見して自分で気に入ってしまった笑)

      • 遠い夏

        「あ……」  とつぶやいたら、そのあと、何も言えなくなった。  日曜の午後、改札を出たところ。天気は晴れ。のはずだが、今日はやけに湿度が高く、日の光もどこかぼんやりとしている。見上げれば太陽もやはり頼りなげな輪郭を衆目に晒しており、なのにじりじりと暑さだけは伝えてくるのが、なんだかとても詐欺めいている。  後ろから小さな舌打ちが聞こえ、私は我に返る。邪魔だよこの馬鹿女、そう言いたげな視線を一瞬だけむけて、サラリーマン風の年配の男が私を追い抜いていく。  私は歩き出す。駅を出た

        • 文学フリマ東京38に出ます

          もう前日になっちゃいましたが💦 イベント詳細はこちらをご覧いただくとしまして。 私は第二展示場一階「い-40」にいます。 サークル名は「C.T.O. & らじおがたり文芸部」 C.T.O.はCirclus Templi Orientis 東方聖堂サークルの略。私の個人サークルです。 らじおがたり文芸部は、音声配信アプリRadiotalkの物書きさんを集めて同人誌を作る上での仮称。 どちらも主催は私ですが、形の上では合同ブースということになります。 今回の目

        • 固定された記事

        もくじ(題字・NeneNone)

        マガジン

        • Birthday
          5本
        • Radiotalkお題で創作
          56本
        • 毎週ショートショートnote参加作品
          17本
        • 企画等不参加ショートショート
          5本

        記事

          星に願いを

          「あ、流れ星!」  安藤麻衣が言う。つられて俺は空を見上げる。彼女が指差す先に目をこらす。だが絶賛近眼進行中の俺には、普通の星さえろくに見えやしない。ましてや動く流星など。  そもそも言われてから探したって、間に合いっこないんじゃないか? 「見逃した」  期待するような彼女の視線を横に感じながら、ため息まじりにつぶやく。 「残念!」  俺より残念がっているような彼女。俺はちょっと笑う。 「麻衣は? 何か願い事したの?」 「えへへ。まあね」  ピースサイン。どうもわざとらしいん

          有料
          300

          星に願いを

          Birthday 第五章 誠(2)

          前回のお話 最初から読みたい方はこちらから 「秘密?」 「はい」  瑠花は頷く。  四回目のデート。いや、初めて二人で出かけた回数というだけなら六、七回目にはなるか。  何度か食事に行き、言葉に違わぬその健啖家ぶりに驚嘆しつつ、そんなところにすら可愛さを感じるようになって、とあるホテルのレストランでそれまでより少し気取った食事をとってから、バーラウンジに移動して正式に告白。彼女は一瞬だけ瞳を翳らせたが、すぐににっこりと笑い。「はい。嬉しいです」と、ちょっとズレた返事をして

          Birthday 第五章 誠(2)

          またくる夏

           ホールを出ると、生暖かい風が顔に当たった。歩き出しながら、あたしは言う。 「いい演奏会だったね」 「おう」  京介はぶっきらぼうに頷いた。  ゴールデンウィーク恒例の、複数の大学合唱団による合同演奏会。参加団体の中にはあたしと京介の出身団体も含まれていて、帰省してきた京介と一緒にこれを聞きにくるのが、ここ数年のお決まりになっていた。  そうはいってももう現役に見知った顔はいない。観客の中に顔見知りを見つけることも、年々減りつつある。  まあ、連休だしね。地元に残ってても、旅

          またくる夏

          Birthday 第四章 誠(1)

          前回のお話 最初から読みたい方はこちらから 「ちょっといいか」  声をかけられて振り向くと、同期の桜庭の姿があった。 「なんだよ。これから得意先周りなんだが」 「その前にちょっとだけ、さ。実は、彼女なんだが」 「彼女?」  言われて初めて気がつく。桜庭の後ろにいる一人の女性。事務方の制服を着て、何か困ったような曖昧な笑顔を浮かべている。 「ええっと、どちら様」  社内の人にこんな改まった言い方もおかしいかな、と思いながら聞く。桜庭は体育会系出身ならではの爽やかな笑みと共に

          Birthday 第四章 誠(1)

          Birthday 第三章 庄司明(2)

          前回のお話 最初から読む方はこちら それでは本編をどうぞ。 本編 「庄司明くん、いらっしゃるかしら」  羽美子がそう言った時、どよめきが走った。羽美子が教室を訪れた時点で、静寂が広がっていた教室内に、その声はやけに大きく響き渡った。  この時期、三年生を校内で目にすること自体がいささか珍しいと言えたが、そう言う問題ではない。阿部羽美子と言えば知らぬものとてない有名人。もちろんよく知らないというものもいるにはいただろうが、名前くらいは聞いたことがあったし、目の前でこの圧

          Birthday 第三章 庄司明(2)

          うたうたいのものがたり

           むかしむかし、あるところに、ひとりのうたうたいがいました。  うたうたいは、村から村へ、町から町へと旅をつづけながら、うたをうたってくらしていました。  春には花のうたを、夏にはつよい日ざしのうたを、秋にはもみじとかれ葉のうたを、冬にはこがらしと雪のうたをうたいました。遠い昔のものがたりや、はるかな外国のできごとをうたうこともありました。うたうたいのうたをきくと、人々は皆、うたわれていることが目のまえにありありとうかびあがるような気がしました。そして当たり前だと思っていたけ

          うたうたいのものがたり

          Birthday 第二章 星良(1)

          前の話はこちら 「それで? それからどうなったの?」  瑞稀が目を輝かせて訊いてくる、私は笑って答えた。 「しらない。ここまでしか読んでないんだ」 「ええー。そんなあ。だってこれからじゃん」 「そうなんだけどさ。まだ何も起こってないし」 「そう思うなら、なんでもうちょっと先まで」 「いや、眠くてさ。ここまでが限界」 「そんなあ」  口を尖らす瑞稀をみて、私はもう一度笑う。 「でもさ、何も起こってないのにドラマチックでしょ」 「まあ、それはね、このあとっくっつくんだと思うと、

          Birthday 第二章 星良(1)

          Birthday 第一章 庄司明(1)

          「なあ、頼むよ」  飯田勝は拝むように手を合わせて言った。 「やだよ、なんで俺が」  庄司明は迷惑そうに答える。  放課後の廊下。部活の準備をして校庭や体育館へと急ぐ生徒、特に目的もなく廊下で立ち話をする生徒、まっすぐ昇降口に向かう生徒。勝と明は最後のグループに属していた……はずなのだが、ずっと明に懇願するような様子を見せていた勝は、突然小走りに前に出たかと思うと、明の前に立ち塞がり、深々と頭を下げた。 「頼む、この通り」 「やめろよ、邪魔だよ」 「そう言わないでさ。助けると

          Birthday 第一章 庄司明(1)

          春は名のみの……

           重く澱んだ空。ホームを冷たい風が吹きすぎて、ユカは身を震わせた。  暖かくなってきた、そう思っていたけれど、朝はまだこんなに寒い。  テレビのニュースによれば、これから向かう先は暑いくらいの気温で、桜が満開らしいけど。 「冗談みたい」  ついそんな言葉が口をついて出る。  簡単には信じがたい。  そんな場所があることが、ではない。自分が今から、まさにそこへ向かおうとしていること、数時間後にはその風景の中に身を置いているだろうということが、何よりも、信じられない。  スマホを

          春は名のみの……

          プロローグ(声劇台本)

          【登場人物】  マミ♀(20)  ユカ♀(20) ※括弧内のシチュエーションは、状況をイメージしやすくするために付加したもので、効果音等を指示するものではありません。もちろん効果音を入れてくださっても構いません。 ※語尾、相槌などは、演じやすいように変更していただいて構いません。 【本編】 (羽田空港到着ロビー) ユカ:あ、いたいた! ごめんね。電車、遅れちゃってさ。待った? マミ:ううん。やっと出てきたとこ。手荷物もあったし。 ユカ:じゃ、いこっか。荷物、持つ

          プロローグ(声劇台本)

          はかない響き

           枯葉の散る音が聞こえる。  秋風が吹いたほんの一瞬、木漏れ日が目を刺し、思わず瞼を閉じた。その闇の中で、儚げな音は耳の奥をくすぐり、心を疼かせた。  目を開ける。舞い散る落ち葉。弱々しいけれども硬質で透明な光。午後の公園。 「どうしたの?」  彼女は言う。僕は答える。 「いや。ただ、木漏れ日が眩しくて」 「止まらなくてもいいじゃん」 「危ないでしょ、見えないまま進んだら」 「手、繋いでるでしょ。大丈夫だよ」 「そんな、子供や年寄りじゃないんだから」 「若者だって手を引いて

          はかない響き

          【声劇台本】雪景

          登場人物  順也♂  琴美♀ ※年齢は「成人、同年代」という制限内で自由に解釈可。 上演時間  10分弱 【本編】 順也:琴美……? 琴美:あっちゃー。見つかったか。 順也:お前、なんでこんなところに。 琴美:ちょっとね、雪が、見たくなって。 順也:雪、って。 琴美:すごいよねー、改めて見ると。 琴美:真っ白でさ。すっごい綺麗。 琴美:何年ぶりだろ。 順也:嫌いだ、って言ってたじゃん。 順也:寒いのも、雪も。 琴美:うん。そうなんだよね。 琴美:そうなんだ

          【声劇台本】雪景