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お金がほしいの

こっくりさん、こっくりさん、どうぞおいでください
毎日、放課後の理科室に集まってこっくりさんをやっていた
こどもだましだと思うかい?

ある日のことだ

PTAの役員をやっているお母さんが何人か、こっくりさんに参加していた
こどもたちは、ふざけてはいけないことを知っている
だが、大人は、バカにしていた

こっくりさん、こっくりさん、お金がほしいの、どうすればいいか教えて

たいしたことは答えられないと思ったのではないか
だが、そのような態度がよくない

『はい』のところに硬貨が動いた
その時、なぜか、理科室のランプが急に明るくなった
あれっと思ったら、消えた

何だったのだろう
結局、こっくりさんの答えは『はい』だけで、それ以上はなかった

次の日、その子のお父さんが事故で亡くなったことを知った
その子とお母さんは、事故の補償と生命保険で驚くほどの大金を受け取ったそうだ

もちろん、ただの偶然だと思っている
けれど、ぼくは放課後ランプって聞いて、決して笑えない
(410字)

2022年8月20日以来、以下の企画に参加させて頂いています。当初1年で打ち切りのつもりが、そのまま延長し1年半を楽に超えて毎週続行しています。ふだん全く考えもしない、ありえないことを大胆にテーマにして書いてみたいです。以前は410字前後を大幅に超えることもありましたが、今は、ショートショートらしく短く収めるように練習する機会にしたいと思っています。かつては、サイエンスフィクション風にしたり、釣竿を振り回すおっかなりジュリエットの物語にしたりもしましたが、このところは怪奇ショートに傾いています。毎回月曜朝5時の投稿を予定しています。今回のお題は「放課後ランプ」をワードもしくはテーマとして含む作品でした。どうぞよろしくお願いいたします。

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