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やっぱり考えて欲しい、小木氏の発言における心理的虐待の可能性

「おっぱい出てる」という娘のプライベートゾーンや二次性徴に関する情報を、ラジオという公共の場で言及したお笑い芸人「おぎやはぎ」の小木博明氏の発言に対して、改めて何が問題だったかについて書きたいと思います。

問題提起をした当時は、まさかのご本人が絡んできたために、全体として様々な枝葉の議論に行ってしまったのですが、改めて根幹の部分である虐待の問題について、より深い問題意識を持って欲しいと思い、ここに記すことにしました。

◆プライベートゾーンは同意無く話題にしてはダメ

まず、「プライベートゾーン」は、胸や性器等、リスクもちゃんと理解した上での快諾を得られない限り、うかつに他人が触れてはならない身体の箇所です。そこに身体的に触れるのは当然のこと、「プライベート」なわけですから、話のネタとしても、本来はうかつに触れてはならないはずです。

たとえば、あなたがコンプレックスを感じている性的な部位について、それを見たことのある過去のパートナーが、「あいつの○○は●●だったんだぜ」なんて周りに言いふらしていたら、傷つく人も多いのではないでしょうか?

たとえコンプレックスに抱えていなくとも、情報をコントロールする権利は、その身体を持つ本人が有しているものであり、それを本人の同意無く公開すれば、自己決定権の侵害に該当します。

二次性徴が始まったのはいつ頃かという情報を本人の同意無く公開することも、当然自己決定権の侵害に該当すると言えるでしょう。親といえども、「子どもの所有者」ではありませんから、自己決定権を侵害してはいけません。

◆未成年については同意があっても言っちゃダメ

仮に同意したとしても、それでOKな問題ではありません。十分な行為能力(≒判断能力)やリスク把握能力を有していないわけですから。

さらに、通常の契約のように取り消せば済む話でもなく、一度公表すれば半永久的に記録が残るわけですから、「やっぱりやめて」が通用しません。ですから、「本人がOKもらったから公表します!」ということはあり得ません。

同意云々以前に、婦人科医に相談する際にどうしても伝えなければ的確なアドバイスを受けることができない等、特別のケースを除いて、親といえども絶対に第三者に漏らしてはならないことです。

◆ペアレンティングも子供の自己決定権侵害

これに関して、私たち一般人に身近な問題といえば、親がSNSに子供の写真を隠さずに載せる「ペアレンティング」の問題でしょう。

SNSの怖さも何も分からない小さな子供がしっかりと諾否をできるわけがない以上、親がSNSに子供の写真をアップする際は、必ず何らかの加工を施した上で、個人が特定できないようにするというのが、本来はやるべきことだという認識は少しずつ広まっているように思います。

これも、子供の権利=自己決定権を守らなければならないという視点のもと、周知されていることですよね。

◆性教育の相談中に言い過ぎないように注意する

ただし、小木氏のようにプライベートゾーンに関する情報についての話も、私たち一般人に無縁というわけでもありません。

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現代の新しい社会問題を「言語化」することを得意とし、ジェンダー、働き方、少子非婚化、教育、ネット心理等の分野を主に扱っています。社会がちょっとでも良くなることを願って、今後も発信に力を注いで行こうと思うので、是非サポート頂けると嬉しいです。