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風のない日。ふと消えそうになる火を絶やさないように

日々、暮らしていると、さりげない出来事に左右されて、気持ちの浮き沈みに翻弄される瞬間が何度となく訪れる。

それでも何とか胸に残った火種を消さないよう、雨から身を守り、風に飛ばされないように踏んばって、むしろ風を利用するくらいの心持ちで自身を焚きつけていく。

自分はどちらかというと、強風の日ほど「上等だ!かかってこい」の精神で立ち向かっては、半々の確率で返り討ちに遭うタイプなのだけれど、常に心は穏やかに保ちつつ、奥底には静かに熱く燃える青い炎を灯しつづけていたいと思っている。

ただ、風が強いときは、煽られないようにとグッと構えることができるのに、風のない日、ふと気を抜くと、胸に灯した火が消えてしまいそうになる瞬間がある。

逆風が吹いているときのほうが、負けないようにと無理矢理にでも心を奮い立たせることができるけど、しんと静まって気持ちがたわんでしまう時間は、全身に力を込めるのは難しい。

凪の時間が続けば続くほど、ポツンと海の真んなかに取り残された一艘の小舟のように、今どこに自分がいるのか分からなくなってしまう。

でも、だからこそ、そんな時は胸に灯した火を絶やさないように、好きなものを心の燃料にするのが大事なのかもしれない。

勢いがなくなってきた炎に薪をべるみたいに、お気に入りの小説を読んで、好きな音楽を聴いて、応援しているサッカーチームの試合を観て、自然と心がホカホカと暖まるものを集めていく。

すると、さっきまでか細く揺らめいて、小さな明かりに過ぎなかった火が、気づけば常夜灯となって心のスキマを照らしてくれる。

そして、いつしか、暗闇を歩いていくための道標になってくれる。

だから、風のない日こそ、好きなものに助けてもらいながら、心に灯した火を絶やさないように。

火種が消えない限りは、きっとまた、より大きくて明るい炎へと、心の火を燃え上がらせることができるから。


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