ばやし|ライター

大阪出身、今は東京下町寄り。27歳。本と音楽とサッカーが好きです。週末にエッセイを書い…

ばやし|ライター

大阪出身、今は東京下町寄り。27歳。本と音楽とサッカーが好きです。週末にエッセイを書いたり、好きなことについて書いたり。Marbleスクール2期生。

マガジン

  • 『エッセイのまち』の仲間で作る共同運営マガジン

    • 4,057本

    メンバーシップ『エッセイのまち』の仲間が見つけたステキなエッセイを保存しています。メンバーの方は、他の方、もしくはご自身のエッセイを自由に追加してください。(エッセイ以外は掲示板の方にお願いします)。どなたがマガジンに追加してくださったのか気になる方は、ともきちまでお問い合わせください。

  • 頭のすみっこ日記

    頭のすみに残っている些細なことを、せっせと文字に起こした日記。

  • 本について

    好きな本についてのあれこれ。

  • 書くことについて

    文章についてあれこれと考えてみた記事。

  • 歌詞について

    ただ好きな歌詞について書いたもの。

最近の記事

  • 固定された記事

小説の一行目で好きになれる

小説を読むとき 最初に目にする文章のことを「書き出し」という。 「メロスは激怒した」や「吾輩は猫である」みたいに、もはやタイトルに匹敵するぐらい有名で誰もが知っている文章もある。 この書き出しがすごく好きなのだ。 むかしむかしに読んだ本でも、この書き出しが頭に残っているものがあるぐらいには好き。 ちなみに、書き出しは作者によって全くもって異なる。 単純な状況描写であったり すぐに主人公の視点から始まったり 登場人物の会話だったり。 特に気にもとめずに読みとばす人もい

    • 非日常とつながる日常を歩くこと

      映画『PERFECT DAYS』で役所広司が演じる平山が暮らす場所は、自分が想像していたよりもずっと近くに存在していた。 何度となく歩いたことのある大通りから、家々が連なる脇道へと入って進んでいくと、突然、目の前に映画で繰りかえし映されていた建物が現れる。 年季の入った壁、寂れた階段、古びた赤い扉。 もちろん、現実では平山どころか、人っこひとり住んでいる形跡はなく、彼が毎朝、ルーティンのように購入していたカフェオレが並ぶ自動販売機の姿もなかった。 それでも、映画館で観

      • 三浦しをんさんの物語が拓いてくれた植物への興味

        月ごとにテーマを決めて、小説を通して出会った興味を深掘りすることにした2024年。 4月のテーマは「植物」について。 と言いつつ、5月も半ばになってしまった。 想像以上に膨大な量の文章を読むことになったのだけれど、それでもページをめくるたびに、「植物」が秘める知性と、長い年月をかけて築かれる森の複雑さに惹きこまれていった。 思考や感情が存在しない「植物」をめぐる物語もともと「植物」に興味を持ったのは、三浦しをんさんの『愛なき世界』を読んだことがきっかけだった。 『愛な

        • 風のない日。ふと消えそうになる火を絶やさないように

          日々、暮らしていると、さりげない出来事に左右されて、気持ちの浮き沈みに翻弄される瞬間が何度となく訪れる。 それでも何とか胸に残った火種を消さないよう、雨から身を守り、風に飛ばされないように踏んばって、むしろ風を利用するくらいの心持ちで自身を焚きつけていく。 自分はどちらかというと、強風の日ほど「上等だ!かかってこい」の精神で立ち向かっては、半々の確率で返り討ちに遭うタイプなのだけれど、常に心は穏やかに保ちつつ、奥底には静かに熱く燃える青い炎を灯しつづけていたいと思っている

        • 固定された記事

        小説の一行目で好きになれる

        マガジン

        • 『エッセイのまち』の仲間で作る共同運営マガジン
          4,057本
        • 頭のすみっこ日記
          109本
        • 本について
          44本
        • 書くことについて
          12本
        • 歌詞について
          26本
        • サッカーについて
          5本

        記事

          初めて観た舞台からは青春の息づかいが聞こえてきた

          4月16日。池袋にあるサンシャイン劇場で、人生初めてとなる舞台を生で観ていた。 もともと興味はあったものの、なかなか観劇する一歩が踏み出せずにいた舞台公演。 そんななかSNSで見かけたのが、ヨーロッパ企画が主催する『鴨川ホルモー、ワンスモア』だった。 ヨーロッパ企画と言えば、『時をかけるな、恋人たち』で脚本を務めたことも記憶に新しい上田誠さんが代表の劇団で、これまで映画や舞台など、幅広い分野で話題作を生んでいる。 そんな彼らが、今宵の舞台に原作として選んだのが、万城目

          初めて観た舞台からは青春の息づかいが聞こえてきた

          本屋大賞に選ばれなくとも「おもしろい!」と言いたい

          全国の書店員が選んだ「いちばん売りたい本」として、毎年、書店員の投票によって絞られた10作品の候補作から、大賞となる作品が選ばれる「本屋大賞」。 4月10日に発表された2024年の本屋大賞に選ばれたのは、宮島未奈さんの『成瀬は天下を取りにいく』だった。 本作では、中学2年生の夏休みをすべて西部大津店に捧げた少女、成瀬あかりが突き進んでいく人生が、滋賀県の街並みとともに描かれる。 主人公・成瀬あかりが起こす物珍しい行動には、登場人物の誰もが意表をつかれる。 物語のなかに

          本屋大賞に選ばれなくとも「おもしろい!」と言いたい

          新しい季節は、いつだって雨が連れてくる

          タイトルの美しい一文は恩田陸さんの小説『ユージニア』の書きだし。 先月末に降りつづいた雨が、長らく空を覆っていた冷たい空気を取りこんで流れていったことで、麗らかな春の訪れを予感させている今、ぴったりな一節だと思ったのでお借りすることにした。 それにしても、暖かい。4月ってやっぱり春が似合うなとしみじみと実感するくらいには、過ごしやすい陽気に気を良くしてしまう。 個人的に、暖かな春の午後、自身のプレイリストから春の歌を探している時間が、とっても好き。 春の歌にもたくさん

          新しい季節は、いつだって雨が連れてくる

          物語で描かれていた「AI/人工知能」が現実になるかもしれない

          月ごとにテーマを決めて、小説を通して出会った興味を深掘りしていくことを抱負にした2024年。 3月に選んだテーマは「AI/人工知能」。 現代において、飛躍的な進歩を遂げている「AI/人工知能」について、その目をみはるほどの成長スピードは肌身で実感していたものの、実際のところ「何がすごいのか」はあまり理解できていなかった。 また、「AI/人工知能」を扱った物語は今までも多く存在していたけれど、そのどれもが遠い未来に起こる出来事だと思っていた。 しかし、今やその世界が、現

          物語で描かれていた「AI/人工知能」が現実になるかもしれない

          ばやしの自己紹介&ライターとしての仕事依頼について

          ページをご覧いただきありがとうございます。 ライターのばやしと申します。 この記事では「ライターばやし」の自己紹介と、ライターとして可能な業務や仕事実績、問い合わせ方法についてまとめています。 (2024年3月更新) ◇自己紹介noteで文章を書くことを通して、多くの人に興味のきっかけを届ける楽しさを知り、書く仕事にチャレンジしたいという気持ちがいっそう強くなりました。 その後、書く「+α」を学べるスクール『Marble』を受講して、インタビューや編集、広報について学び

          ばやしの自己紹介&ライターとしての仕事依頼について

          近づく気配のないスカイツリーに向かってひた走る

          先週、夜に出かけてエッセイを書いたところ、思ったよりもスラスラと言葉が浮かんできた。 さらには、久しぶりに重い腰をあげて走りに出かけることもできたのもあって、まさにいいこと尽くめ。 要するに、ランニングとエッセイを紐づけてしまえば、どちらもいい感じに続けられるのではないか、そう思ったのだ。 そんなわけで、浅はかに一蓮托生を決意して、今回も走り終えてすぐにPCの前に座っては、文章を書いているのだった。 ◇ 今夜は、穏やかな春の暖かさに、時折、心地よい風が吹く絶好のラン

          近づく気配のないスカイツリーに向かってひた走る

          不安を薄めるために夜の空気を吸いこみにいく

          久しぶりにとっ散らかった文章を書きたいなと思って、暗くなってから外へ走りに出かけた。 そして、走り終えて、この文章を書いている。 本当は家に帰ってきてすぐに書こうと思っていたのだけれど、あまりにも手が悴みすぎてキーボードが打てなかったので、シャワーで体を温めてから、あらためてPCの前に座る。 そう、外に出たら寒かったのだ。 それも、圧倒的に風が強かった。 どれぐらい強かったかというと、歩くか走るかどっちにしようかなと悩みながら外に出て、あまりの寒さに諦めて走ることにし

          不安を薄めるために夜の空気を吸いこみにいく

          少年の「可塑性」は更生に繋がるのか【天使のナイフ・不可逆少年】

          2024年は月ごとにテーマを決めて、小説を通して出会った興味を深掘りしてみようと思い、2月もnoteを書いている。 2月に選んだテーマは「更生」。 このテーマについて学びたいと思ったのは、社会派ミステリのなかでもたびたび登場する「少年法」の是非、そして、子どもが生まれながらに宿している「可塑性」について、きちんと向き合ってみたいと思ったからだった。 どんな少年にも「可塑性」は存在しているのか『天使のナイフ』という作品を読んだとき、初めて「可塑性」という言葉と出会った。

          少年の「可塑性」は更生に繋がるのか【天使のナイフ・不可逆少年】

          変わらない日々を拠り所にする尊さと儚さ【映画:PERFECT DAYS 感想】

          その映画には、見知った道や風景が写っていた。 建物の隙間から見えるスカイツリーも、隅田川に暮れる夕日が望める桜橋も、東京で暮らすようになってからはお馴染みとなった光景だった。 しかし、映画のセリフを借りるならば「この世界は、ほんとはたくさんの世界がある。つながっているようにみえても、つながっていない世界がある」。 映画を通して描かれている風景は、自分が生活するなかで何気なく通りがかる場所なのに、映画で描かれている物語は、自分とはつながっていない世界で紡がれていた。 『

          変わらない日々を拠り所にする尊さと儚さ【映画:PERFECT DAYS 感想】

          京都に溢れた祝祭の音楽 ”Homecomings New Neighbors FOUR Won’t You Be My Neighbor? ”Withくるり/ライブレポート

          5年ぶりに訪れた京都。 古き良き時代の名残を感じさせる風景は、学生時代に何度となく訪れたときから良い意味で何も変わることなく、鴨川を飛び超えて遠くまで広がっていた。 そんな京都にはるばるやってきたのには理由があって、「Homecomings」が現体制ラストライブとなる2月10日のライブを「くるり」と2マンで行うと発表したからだった。 どちらも京都にルーツを持つバンドであり、それぞれの楽曲に関わることもあった2組が共演するとあっては、その空間に立ち会いたいという思いを抑え

          京都に溢れた祝祭の音楽 ”Homecomings New Neighbors FOUR Won’t You Be My Neighbor? ”Withくるり/ライブレポート

          『Epilogue→』でエッセイ記事を投稿しました📚 とある作品を読んでからずっと行ってみたかった小樽の街。 想像していたよりも暖かくて過ごしやすかった❄️ あのとき読んだ物語が小樽まで連れていってくれた https://note.com/epilogue_novel/n/n39a0b1c4eb7a

          『Epilogue→』でエッセイ記事を投稿しました📚 とある作品を読んでからずっと行ってみたかった小樽の街。 想像していたよりも暖かくて過ごしやすかった❄️ あのとき読んだ物語が小樽まで連れていってくれた https://note.com/epilogue_novel/n/n39a0b1c4eb7a

          鼻声になると別人になった気がする

          気づいたときには鼻声になっていた。 1月は旅行やら友達の結婚式やらでバタバタしていたのだけど、ようやく予定が終わったと安堵していたのも束の間、盛大にかぜをひいてしまったのだ。 体のだるさ、喉の痛み、鼻水、頭痛、しまいには発熱。 かぜの症状フルコンボみたいなかぜをひき、寝ても覚めてもなおらない負のループ。3日間でティッシュ2箱分くらい鼻をかんだ気がする。 コロナでもインフルエンザでもなかったのは幸いだったけれど、それでも家でぐったりしているときは、熱さまシートをこれでも

          鼻声になると別人になった気がする