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【最後のHR】君たちの卒業式に自分の3年間を重ねて

今日、卒業式でした。たった、2か月しか教えることはできなかったけど、間違いなくこれからの教師人生の中で、最も心に残る卒業式の1つになるでしょう。

今年卒業する中学3年生が入学した年に、私は社会人になりました。前の学校で仕事を始めました。そこからの3年間はまさに激動、波乱、珍道中。

君たちにもいろいろなことがあった3年間だったと思いますが、私にもいろいろなことがあった3年間でした。

君たちの卒業式に私も生徒として参加しているような気分でした。この3年間いろいろあったなーっと。そして、このわちゃわちゃから、きっとこれを機に卒業できるんだろうな。そんな気がしてました。気のせいかもしれませんが。

君たちには、私の人生の全てを伝えました。こんな道を歩んできて、偶然か必然か、その曲がりくねった道の先に、君たちと出会えました。

無職の期間で、教師としての自信を完全に失っていましたが、その一方で人間としての自信は蓄えていました。私は1人の人間として、君たちとぶつかりました。スッと避けられて、地面に叩きつけられてもおかしくないと思っていました。しかし、君たちは見事にそれに応えてくれました。私は本当に運だけで生きている。こんな素晴らしい人たちに会えて。

教師としてぶつかったわけではなく、人間としてぶつかったわけです。その瞬間、生徒ではなく、1人1人の尊敬に値する偉大な人たちに変わったわけです。本当は、教師としていけないことかもしれませんが、教師・生徒間以上の感情や繋がりを君たちに勝手に感じていたことは、秘密にしていました。

手紙も数人からいただきました。どれも私に出会うことができてよかったという内容でした。私もまったく同じ気持ちです。

ただ、勘違いしている方がいるので、この場を借りて言っておきますが、私はちっとも偉大ではないですし、これっぽちもすごくないです。むしろ、ザコです。ドラクエで言えばスライム、マリオで言えばクリボー、ポケモンで言えばポッポです。偉大なのは、本当にすごいのは、むしろ君たちです。

もっと勘違いしているのは、私のような人間になりたい、先生のように前向きに頑張りますと書いてくれた方。私のような人間になることは勧めませんし、私は決して前向きに生きているわけではありません。

最後の授業に言いましたが、誰が何をしようと世界は何も変わりません。しかし、自分から見える世界の景色は好きなように変えることができます。

私が見ている世界の景色は、「この世界や他人に対して、何も期待しない世界」です。

何か言って、他人が応えてくれないと悲しいですよね。これは、他人が自分の言っていることに何か応えてくれるであろうと期待しているから、悲しくなるんです。

自分が車を通っていない赤信号を待っているところに、他の人が横断歩道を渡っていったら腹が立ちますよね。これは、他の人も私と同様にルールを守ってくれることを期待しているから、腹が立つんです。

私は、他人に自分の正しさや正論に賛成してもらうことを期待していないんです。自分の正しさと主張する、正論を見せつけるだけ。その後、他人がどうなろうが、それはもうその他人の問題。私が関与できるところを、超えてしまっています。他人と自分が完全にわかりあうことなんて不可能なんだから、それを期待する方が間違っているって考えているんです。

この生き方は、ものすごく冷たい生き方だと私自身が思います。でも、じつはものすごく得をする生き方なんですよ。

例えば、他人が自分の考え方に賛成してくれるなんて思ってないから、「それ良いね」って言ってもらえたら、ものすごく嬉しくなります。そして、自分の意見をわかってくれて「ありがとう」って心から思えます。

だから、私の「ありがとう」に嘘はありません。そもそも嘘をつくことを止めようって思ってからしばらく経つので、私は嘘をつくのが究極的にへたくそです。すぐに顔に出ます。

こんな生き方は、辛いと思う時の方が多いと思います。ただ、私は幸い人生の中で辛い出来事をそれなりに体験してきた方だと思うので、そこまで辛くはないです。ちょっぴり、ほんのちょっぴり辛いと思うこともあります。私も無敵ではありません、生身の人間ですから。

私は決して前向きではありません。

そして、私のような人間になることもお勧めしません。ただ、なりたいと思うかどうか、目指すかどうかは、もうあなたの問題ですから、私の関わるところではありませんね。

長くなりましたので、そろそろ最後の学活をしめたいと思います。

急に変なおっさんが冬休み明けから来て、戸惑ったでしょう。私も正直戸惑いました。だからこそ、これはやるしかないなと、裸のままでぶつかるしかないなと踏ん切りがつけられたわけですが。

ただ、欲を言えば、もう少し授業を通して私の生き様を伝えたかったです。まぁ、少し短いなと思うくらいが何事もちょうどいいのでしょう。

それではみなさん。

卒業おめでとう。本当におめでとう。

そして、

私の授業を聞いてくれてありがとう。

私の質問に応えてくれてありがとう。

たくさん話しかけてくれてありがとう。

たくさん笑ってくれてありがとう。

手紙をくれてありがとう。

写真を撮ってくれてありがとう。

君たちに出会えて本当によかった。

心の底からありがとう。


2017年3月11日
私の人生の再スタートに立ち会ってくれた
最高にめんこい方々へ
尊敬と親愛の念を込めて


黒木大遊

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