黒木大遊 kuroki daisuke

北海道教育大学大学院修了(教育学修士)。旭川で劇団を旗揚げし、非定期的に演劇活動を行っ…

黒木大遊 kuroki daisuke

北海道教育大学大学院修了(教育学修士)。旭川で劇団を旗揚げし、非定期的に演劇活動を行っています。自分が書いて楽しいことを、なるべく多くの人と共有したいと考えています。気に入った文章があれば、Twitter等で拡散にご協力ください。

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  • 黒木の塵芥集

    黒木の作品集です。エッセイ、ショートショート、ショート戯曲、写真などを更新していきます。

最近の記事

【掌編小説】人が死ぬ話【#013】

「浮気したら殺すから。」 彼女と付き合う時に言われたセリフだ。 「ただいま。」 家に帰ってくるといつも言うセリフだ。彼女の腹から赤い液体が止め処なく流れ出ている。 「またか。」 夜遅くに帰ってくると、いつもこれだ。テーブルの上には、持ち手が赤黒く変色している包丁が、無造作に置かれている。 「こんなに汚しちゃって…」 そういって、彼女の腕をひっばる。その腕に力感はなく、プランプランと揺れている。そして、その腕がテーブルの上に置かれていたトマトジュースの瓶にあたり、床をさらに

    • 黒木の終わり 2017年振り返り

      2017年 とても幸せな年でした。 幸せは相対的なものとして捉えてしまいますが、2015年、2016年の二年間と比べて、本当に幸せとはこういうことなのか、と再認識できる1年でした。生まれてから20年以上、幸せを享受してきて、甘え続けてきた。2015、16年も他の人からしたら、「なんだ、そんなもんで不幸とか言ってんのか」と言われるほどの出来事しか起こってないのかもしれないけど、生まれてからずっと温室で育ってきた不幸耐性が皆無の私からしたら、世界が終わったくらいの不幸を感じた

      • 【意味な詩写真】夏【#012】

        • 【意味な詩写真】春【#011】

        【掌編小説】人が死ぬ話【#013】

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        • 黒木の塵芥集
          13本

        記事

          高校入試発表を終えて思うこと

          今の私から言えること。 行きたかったところに行っても失敗したと思うこともある。 行きたくなかったところに行っても楽しかったと思うこともある。 ただ、それは今の私が、一時的に達観できているからだ。 数か月前の私なら、死ぬほど自分の運命を恨んでいた。もしも、神がこの世にいるならば、刺し違えてもいいから、殺してやろうと思っていた。むしろ、刺し違えたかった。 今の私から言わせてもらえれば。 合格した人たちへ。自ら選んだ道を進めること、誇りに思って、楽しい高校生活を歩んでくださ

          高校入試発表を終えて思うこと

          【最後のHR】君たちの卒業式に自分の3年間を重ねて

          今日、卒業式でした。たった、2か月しか教えることはできなかったけど、間違いなくこれからの教師人生の中で、最も心に残る卒業式の1つになるでしょう。 今年卒業する中学3年生が入学した年に、私は社会人になりました。前の学校で仕事を始めました。そこからの3年間はまさに激動、波乱、珍道中。 君たちにもいろいろなことがあった3年間だったと思いますが、私にもいろいろなことがあった3年間でした。 君たちの卒業式に私も生徒として参加しているような気分でした。この3年間いろいろあったなーっ

          【最後のHR】君たちの卒業式に自分の3年間を重ねて

          【エッセイ】人生演劇論批判【#010】

          (このエッセイは約5分で読むことができます。) 演劇人生論を読み、この作者に意見を送りたく、筆を取ることを決意した。 私は演劇という芸術、表現手法に大いに魅力を感じ、演劇を始めた。 演劇人生論の作者(以下、人生論者)は、演劇という単なる娯楽と同じであると言いたいようであるが、私は決してそうは思わない。人生論者も舞台に立つ演劇人としての自尊心があるのであれば、演劇がそんじょそこらのどんちゃん騒ぎと全く違うことを理解してほしいものである。 そもそも、人生論者の変人のカテゴ

          【エッセイ】人生演劇論批判【#010】

          【エッセイ】人生演劇論【#009】

          (この文章は、約8分で読むことができます。) 私が演劇を始めてから、今年で8年になる。途中、舞台に立つことがなくなったが、演劇に関する勉強を欠かすことはなかった。そこで、私が演劇をやって感じた、私なりの演劇論について、気の向くままに書いてみようと思う。 ちなみに、今回に限らず、私の持論に対して、批判をしていただくことは大いに結構である。批判もいただけないような主張、作品には何も価値がないと思っているからだ。 まず、私は「変人だから演劇やってるんです。」と言って、「演劇=

          【エッセイ】人生演劇論【#009】

          2017年2月19日 近況報告

          ご無沙汰しております。黒木です。最近、私の人生は次のような感じで展開しています。 まず、前の学校をやめて無職期間がありましたが、一月の中ごろからまた別の学校に勤めることができています。 うつ病からの復帰ということで、わずかながら不安がありましたが、今ではどこが悪かったのかわからないくらい、生徒たちと楽しい毎日を送っています。 今働いている学校は公立の学校ですが、4月からはまた私立の学校に内定をいただきました。1年の期限付きの契約ですが、頑張って正規の契約をいただけるよう

          2017年2月19日 近況報告

          【時事エッセイ】キングコング西野の件について考える【#008】

          (この文章は約8分で読むことができます。) 要点としては、次の1点に尽きる。 「クリエイター・表現者の良質な作品を、インターネット上で、無料にて公開することは善か悪か」 もはや、漫才師というよりも、お笑い芸人というよりも、絵本作家、あるいは、これからの時代の新しいビジネスモデルの提唱者としての顔のほうが有名になってきた、お笑いコンビ・キングコングのツッコミ、西野亮廣がベストセラーとなった自分の著作物「えんとつ町のプペル」の全編を、インターネット上で無料公開した。 この行

          【時事エッセイ】キングコング西野の件について考える【#008】

          【掌編戯曲】雪原に落とされた一粒の種【#007】

          (この文章は約3分で読むことができます。)  車窓から見える雪原はとても奇麗だった。車を走らせていた僕は、ふいにブレーキを踏み、外へ出た。西日が差し込む。キラキラと輝く世界。現実の世界に失望した僕は、その虚構のような世界に吸い込まれていった。  目の前の光景に見とれていた僕は、隣に人が立っていることに気づいていなかった。何もない雪原に、そこまで見とれていたかと思うと、ふいに自分のことが恥ずかしくなった。  その恥ずかしさを隠すかのように、僕は隣に立っていた女性に、思わず

          【掌編戯曲】雪原に落とされた一粒の種【#007】

          【エッセイ】今ある人間の仕事は将来なくなることを周知の事実として【#006】

          (この文章は約5分で読むことができます。) 最近、働くことについての文章がメインになることが多くなっている。如何せん現在無職であるから、仕事について考えることが多くなってしまっている。それに付け加えて、ブラック企業だとか、正月三が日の営業はどうすべきかだとか、日本人が働き方について、考えることが多くなっているため、テレビっ子である私も、その流れに流されてしまっている。 「人間の仕事の半分以上は10~20年以内に、機械にとってかわる」という予測は、もはや有名である。とある大

          【エッセイ】今ある人間の仕事は将来なくなることを周知の事実として【#006】

          【えっせい】人間の本質ってこどもじゃないんですか【#005】

          (この文章は約3分で読むことができます。) 成人の日で「これからは大人の自覚を持っていきたいと思います」とか、よくインタビューで聞くじゃないですか。あれ聞くたびに、「大人ってなんなんだろう」って思うんです。 自分はとっくに成人式を終えてますし、年齢的だけで考えたら子どもがいてもおかしくない年齢になりました。確かにいろいろな経験を積んできましたし、前よりは少しも知恵もつきましたし、ピーマンもバナナも食べられるようになりましたし、お酒も大好きになりました。だからといって、「自

          【えっせい】人間の本質ってこどもじゃないんですか【#005】

          【エッセイ】元教師の現無職、「過労死」から救いたい【#004】

          (この文章は約5分で読むことができます。) 働いていた時はテレビを見る余裕なんて無かった。仕事がうまくいかなくなり精神的にも肉体的にも追い詰められ、母親に相談の電話した時に、私が世間の話題を知らなくて驚かれるほどであった。仕事を辞めてから、もともとテレビっ子であった私は、テレビを再び見るようになった。そうして飛び込んできたのが、電通の過労死の報道であった。 確かに、今の人の心は軟弱なのかもしれない。昔の人が若返って、今の労働環境に置かれても平然と生きていけるのかもしれない

          【エッセイ】元教師の現無職、「過労死」から救いたい【#004】

          【掌編小説】いたって平和クエスト【#003】

          (この小説は約2分で読むことができます。) 「起きなさい。起きなさい、私のかわいい○○や…」 今日は旅立ちの日だ。魔王が今にも世界を滅ぼそうとしているらしい。 右手に剣。左手に盾。 俺の後ろには、屈強な剣士。賢そうな魔法使い。清らかな僧侶。 「お前は、伝説の勇者の血を受け継ぐ末裔だ。必ずや魔王を倒してくれると期待しておるぞ。」 大きな赤い椅子に座った王様が宝箱を差し出し、俺を送り出した。 ここから俺の冒険が始まる。 ただ 俺が住んでいる町は、いたって平和その

          【掌編小説】いたって平和クエスト【#003】

          【エッセイ】お金の正体がわかれば、世界を変えられる【#002】

          (この文章は約10分で読むことができます。) 今回も少々抽象的な難しい話をするかもしれないが、みんなが大好きなお金の話だ。誰しもが、一度は考えたことがあるだろう。「もし、宝くじが当たったらどうしよう。」私も隙を見ては、宝くじを買い、理想の生活を手に入れようと試みている。 無職の期間に、ふとこんなことを考える機会があった。「このままずーっと、無職だったらどうしよう。お金がなくなったらどうしよう。」先の見えない不安や、仕事を辞めた後悔に悩まされる瞬間があった。 そして、その

          【エッセイ】お金の正体がわかれば、世界を変えられる【#002】