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演技できない自分のミラーニューロン

「バラ色の珍生」というテレビ番組が20年以上前にありました。他局でも似たようなのがある、人探しバラエティです。
生き別れになった肉親や家族を、番組が捜して、感動のご対面が行われる進行です。
この手の感動ものは基本的には、アホくさ、感動するわけないじゃんとねばるのですが、負けて泣けてしまった時も多々あります。

私の涙腺を攻めてくるのは、依頼した人の表情です。
過去の記憶が脳裏によみがえってきて、ぐっとこらえています。こらえるほど、ワナワナ震えてきます。対面した時の口まわりの筋肉が、ひきつったり、こわばったり、神経が不随意します。
すごくリアルです。俳優には絶対演技できない仕草です。

苦しいときを思い出す、焦点が記憶に向かう目線は独特です。ドバーっと伝わってきます。
目の動きが速くなり顔の神経がピクピクするのは形を真似してもできません、心と体が一致している瞬間を見てます
グーッと入り込んだ不随意の反応。
私はこの極まった状態の人の姿に感動します。
ヤラセで出来ることと出来ないことがあります。

あえて冷静に考えると、本気のエネルギーだからこそ私のミラーニューロンが発動するのでしょう。
(ミラーニューロンとは、脳内で活動電位を発生させ、自身が同じ行動をとって"鏡"のような反応をすること)
そこら辺の役者や、ましてやクライシスアクターなどでは発動しません。
すごい俳優は演技が上手いというより、没入して「本物」になるから発動してます。

スポーツ中継も、勝った負けたの後の喜びや悲しみの表情より興味ある場面があります。
重要な場面での集中してる表情
今まで積み重ねてきた練習の全ての瞬間が同時に起こっている。
この瞬間の集中に凝縮してることで、時間が今に折り重なっているのがリアルに感じます。

(余談ですが、一流アスリートの素晴らしい動きから、ミラーニューロンが発動して疑似体験できるのがスポーツの最大の魅力だと思います)


感動の対面の瞬間においては、
今までの苦しんだ過去、
これからの喜びの未来、
今この会う瞬間の現在、
これが全て同時に起こった瞬間の表情
になるのです。
バラエティー番組やスポーツ番組など、客観的に見れるので理解が深まります。

私たちは生きている中で、極まった瞬間があります。主観では感じにくいけど、それぞれの瞬間は感動的な姿をしているんだと思います。
今は監視社会だから、監視カメラで自分のすべての姿が記録されてるかもしれません。
あの世に行ったら、AIに編集してもらった自分の極まった姿が集まった自分版「バラ色の珍生」を見るのが楽しみです。

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