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ハートに火をつけて

我が町を管轄する消防署から、お呼びがかかった。というより最初は我が家に上司ともども、「ご挨拶に伺いたい」というのである。
いつからワシは、そんなに偉くなったのか。
来られるなどと面倒くさい勿体もったいない事なので、昨日こちらから出向いた。

毎月開催している「庵原マルシェ」のため、消防署には出店者リスト・火気使用の有無や種類・消火器設置の配置図など、こちらも毎回提出している。
もう一件、保健所にも提出しているのだが、こちらは「メールでいいですよ」なので大変助かる。しかし消防署は、市民とのface-to-faceを心がけておられるらしい。必ず署まで出かけることになる。
ここまで慎重に扱っていただくなんて面倒くさいありがたい限りであるが、なんかそっちの件で、指導でもあるんかな。

担当のA氏はやたらと低姿勢なのだが、その要求内容に一切の妥協はない。
なぜかいつも、うつむき加減に斜め横を向き、上目づかいに視線だけを合わせてくるのである。
どうしたらこういう態度が形成されるのだろう。丁寧というより余剰にびているような態度と言葉遣いが、つい気になってしまう。若手のリーダー的存在のはずだが、過去になにかつらい経験をお持ちなのだろうか。ワシにびへつらう姿勢を示しても、一円の得にならんと思うが。

同席したのは消防司令長という肩書の方で、司令しちゃうくらいだからそれなりの立場であるんだろう。このお方が「実はですね…」と切り出す。

「消防署としましては、日ごろ家庭での防災意識向上に努めておりまして、その一環として火災警報器の設置義務化が始まって以来、実体調査でも80%以上のご家庭が設置されるまでなりました。我々としましては、さらに100%に近づくよう周知してまいるわけですが…」

やべぇ!
なんでヤバいかは、具体的に書かない。そっちの話かよぉと、内臓が汗をかき始めたと表現するにとどめる。

「つきましてはですねぇ、毎月そちら様が開催されております『庵原マルシェ』でですね、わが消防署でも防災意識向上のため、一角を広報の場としてお借り出来ないかという打診のため、貴重なお時間を頂戴したわけでございまして…」

なんだキミたち、そっちの話かね。
そういう事であれば相談に乗らんでもないよ、みたいな物言いなどするはずもなく、マルシェの諸条件に関して丁寧に説明する。
場所を提供いただく「するが花き卸売市場」のご意向抜きに話は進められないが、実施したいのは7月からというから、まだ時間はある。

駐車場の一角に消防車やはしご車などおいて、子供たちなどに直に体験してもらいたいという。十分なスペースがあれば可能だが、けっこう来場する車で駐車場埋まっちゃうんだよなぁ。車じゃないと、来れない場所なもんで。

「いやいやもうホントに、片隅で結構ですから」と、やたら謙虚である。
でもねぇ、子供連れよりは中高年のご夫婦がはるかに多いし、買い物目当てのお客さんに、離れたところにある消防車まで誘導するのは難しいんじゃない?

実は道の駅構想において、事務局長の僕は小さく小さく始めようのミクロ志向なのだが、元市会議員の代表は、類を見ないほどの規模を目指すマクロ志向なんである。
代表の頭の中には、国レベルの防災拠点としての「道の駅」も描かれている。
東名・新東名・国道1号線のほか、さいきん開通した中部横断道まで備わり、新幹線・東海道線もあれば日本の三大港まで用意された清水という地は、災害発生時の自衛隊の防災拠点として最適であるとの発想だ。災害時に繋がらなくなる電波環境も中部電力と協議し、インフラ化しようと目論んでいる。

だからこそ消防署とのつながりは今後も重要で、効果的な啓蒙の場として一緒に考えていけたらいいですねくらい、一席ぶったのであった。
「おお、それはすごい」と、どこまでこの理想(妄想?)が通じたか知らんが、今後詰めていきましょうとなった。

家に火をつけられちゃかなわんが、地元の人たちのハートには、火をつけて回りたいもんである。

イラスト hanami🛸|ω・)و

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