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成人の日に感じた中高一貫組と公立進学校の相違

 もう何年も前の話になってしまうが、成人式に出たことがある。毎年福岡のマイルドヤンキーの暴走が話題になる、あの式典である。成人式、懐かしいなあとよくニュースを眺めていた。当時の私はというと、毎日がルンルン気分だった。あの時期は本当に人生の絶頂期だったと思う。ところで、成人式の前後に同級生と話していて、出身校別の顕著な特徴が見られたのである。

 私の在籍していた東京大学は学生の大半が中高一貫校出身という特殊な環境だった。従って、成人式に行くところがないという人が多かった。地元の中学に行っていないので、地縁は切れてしまっているし、そもそも小学校時代も中学受験で忙しかったり、学校で浮いていたりして、大して記憶がないという人間が多かった。中学受験家庭の中には地元学校への忌避感から受験を頑張る家庭も一定数存在するので、そうして理由もあるかもしれない。

 一方、公立進学校の出身者は普通に地元の成人式に行くことが多かった。彼らは中学までは地元の雑多な環境で育ち、高校受験から自分の学力に合った別の世界に進んでいくことになる。従って、ある種の懐かしさを持っていたようだ。世間で言われる、成人式で同級生の進路が全く異なることに愕然とする、というやつである。マイルドヤンキー層は就職していることが多く、中には既に子供がいる人もいたようだ。東大で進振りに負われている人間から見ると隔世の感だろう。

 私は中高一貫校出身ではあるが、高校から入ったので、公立進学校の人間の方が感覚が近かった。更に言うと、高校の同級生の中でも中学組と高校組で結構な差があった。高校組は普通に地元の成人式に行って地元の公立中学の時の友だちと酒盛りをしていた一方、中学組は高校同期と成人式をやっていることが多かった。中高一貫校は地元に友達がいない人が多いため、学校単位でセレモニーをやることが多いのである。

 ところで進学校の中で成人式に参加できない人がいる。それは二浪だ。彼らの最大のデメリットかもしれない。成人年齢が18歳になっても成人式を20歳の時にやることが多いのは、大学受験の現役生が参加できないからだ。ただ、時たま成人式の飲み会に参加している者もいて、あいつは大学受かったんだろうかと気になってしまう。

 私はというと、小中の同級生と徹夜で飲み会をしていた。大学時代の友人とは話のノリがかなり違ったが、元々はこんな感じだったよなあと懐かしい思いに駆られたものだ。同級生の女子がびっくりするほど可愛くなっていて、ここも驚きだった。人間考察を繰り返していても思うが、人間形成のプロトタイプとなる時期は中学校だと思う。陰キャとか陽キャといった自己認識や、自分がスポーツで行くタイプなのか、勉強で行くタイプなのかといったアイデンティティはこの時期に確立することが多い。小学校高学年でも、高校でもなく、やっぱり中学校だと思う。東大時代の同級生とMBTI考察の話をしていても、中高一貫校の出身者とは根本的に環境が違うと思ったものだ。そうした学校の多くが極端に偏差値が高く、別学であることも関係しているだろう。

 

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