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【法人営業】営業の機能として重要な「価値の媒介者」という役割

法人営業のミッションとは、「顧客満足と継続的な売上向上」だと考えていますが、その機能的役割というのは「価値の媒介者」であると考えています。

営業は、会社および商品・サービスの「価値」をクライアントへ提示することにより、その「価値」に対してお金をいただいているからです。
そして、営業がクライアントに提示すべき価値とは、何も商材だけとは限りません。それは、社内スタッフの仕事の価値であり、外部パートナーの仕事の価値なども含まれます。



●社内スタッフの仕事の価値

営業職というのは、タダ働きしろ(意訳)、と言われることが多い職種と思います。
その時に一番やってはいけないのは、「社内スタッフをタダ働きさせる」ことです。
これは、クライアントだけではなくて、営業自身が社内スタッフに対し、「あなたの仕事に価値はない」と言っているのも同然だからです。

営業の重要な役割が「価値の媒介者」であるならば、「社内スタッフの仕事の価値」をクライアントに提案し価値を理解してもらい適性な代価をいただくのは、営業の責務だと言えます。
つまり、営業自身が、社内スタッフの価値を0にするのは、単なる仕事放棄による「無責任」だと言ってよいでしょう。


●外部パートナーの仕事の価値

そして、これは社内スタッフに対してだけではなく、業務を外注するパートナーに対しても同じことが言えます。

営業系の外注で多いのが、「曖昧な作業範囲+責任含めて丸投げ+お金にはシブい」の凶悪なコンボです。
これは、営業の「価値の媒介者」の役割放棄に他なりません。

価値の媒介とは、単に右から左に流すことではなく、価値の増幅やより良い価値を引き出すことも含まれます。
つまり、外部パートナーに営業自身の要求を突き付けるだけの姿勢では、当然ながら、外部パートナーの方々がその営業と会社に対してより良い価値を提供しようと思うはずがなく、最低限の価値だけ提供してもう付き合いたくない、となってしまいます。

このような外部パートナーと仕事をするのが下手くそな会社だと、そこに入った新人は間違いなく外のパートナーと仕事をするのが下手になります。

営業がやるべきことは、外部パートナーの仕事の価値を適切に理解し、その上でクライアントに対してその価値を提示した上で理解を得て、価値に見合った適正なお金をいただくことです。
これもまた営業の責務であり、営業自身が、外部パートナーの価値を実際より低くしてしまうのは、単なる仕事放棄による「無責任」だと言ってよいでしょう。


●提供価値を損なう値引き

営業活動において、売上向上のための最も簡単に思いつく「短期的な施策」とは何でしょうか。それは「値引き」です。

安易な値引きというのは、目先の売上に執心になるあまりに、自らの「価値」を見失った営業に有りがちな愚策です。
何故なら、安易な安売りは、自分たちの価値は低いと広言する施策となり、営業が媒介すべき商材・社内スタッフ・外部パートナーなどの数多の価値を毀損するからです。

要するに、営業自身と会社自身の価値を下げている訳ですね。


●提供価値を見失うマネジメント

よく聞く話として、「売上が足りないのなら(自社商品とは無関係の)椅子でも鉛筆でも売って来い!」という発破をかける言い方がありますが、これほど営業マネージャーの無能さを表している台詞も中々ないでしょう。

何故なら、媒介すべき自社の「価値」を完全に見失なっており、自社の商材の価値とは、社内の椅子や鉛筆に劣ると自ら言っているようなものだからです。

しかも、売上が足りない理由を営業個人に押し付けている点で、自社の価値を見失っているどころか、営業マネージャーとしての役割を無責任にも放棄して、価値がないと言ってよいかと思います。


●提供価値を定義する重要さ

会社において、経営者やマネジメントが、自分たちが「顧客へ提供する価値」とは何か、ということを明確に言語化した上で、営業などの各メンバーに伝えることは非常に重要です。

「何故自分たちが提供するのか」「目指すべき顧客の満足とは何か」などと合わせて整理して、「日々の仕事が顧客満足にどう繋がるのか」まで落とし込まないと、ちゃんと伝わりません。
自社の営業すら自社の価値を理解していないようであれば、その価値がクライアントに提示できるはずがありません。
営業自身が、その媒介すべき価値が何なのかを分かっていないのですから当然と言えます。

もちろん、各営業自身が、自分たちが「顧客へ提供する価値」とは何か、というのをしっかり言語化して理解に努める姿勢は基本中の基本となります。
営業の最大の武器とは言葉であるのですから、「顧客へ提供する価値」の言語化というのは自らの武器を磨くことと同じで、言葉を疎かにする営業は、媒介すべき価値の理解を疎かにしていることと同義となります。


●提供価値を定義しないということは

個人的には、営業戦略の策定以前に、自社の「強み」を理解し自社の「価値」を定義付けることをマトモに意識している営業マネージャーが、そもそも少ないのではないか、という疑念があります。
売りに行くことしか考えていなくて、自社の「価値」を定義付け言語化する意識がないということは、クライアントが何を望んでいるのか(何の価値を必要としているか)を全く考えていない表れだと思う訳です。

若い営業担当者が自分の売り込むモノの価値を答えられないのは、担当者自身の勉強不足よりも、先輩や営業マネージャーや経営者の責任が大きいと考えています。
そもそも価値を構築できていないか、価値を見失ったか、価値を共有できていない訳ですから。

売上数字の話しかできず、価値の媒介者であることを忘れた営業に、価値はないのです。つまり、クライアント側すれば、媒介者としての価値はないということで、別の営業担当でも別の会社でもよいということになります。


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