とーます模話

自分の人生はすべてがわざとらしく作り上げたものだった。60歳を過ぎて、いまさら本当の自…

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自分の人生はすべてがわざとらしく作り上げたものだった。60歳を過ぎて、いまさら本当の自分をなんとか取り戻そうとしている。なんてひどい人生を送ってきたものだろうか。60年の嘘の人生を取り出して、いま確かめる作業に入った。無駄にしないためには、取り出して書く以外、方法はない。

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  • とーます模話のこざこざシリーズ

    そんなたいしたこと、いいたいわけじゃないんですけど、いまのいいたいことつなぎとめて、ただ文章にしたいだけなんです~。

  • 還暦ロックにしゅうかつロックシリーズ

    還暦だってロック。しゅうかつだろうがロック。失われていくロック世代のだんまつま。なこたないさ。ボクにも言わせて、死ぬ前にみんなで語らいましょう。六十代だってうぇいすとらんどさ~。

  • とーます模話少年小説

    少年期の思い出をもとに、書きました。

  • とーます模話 小説作品集

    自分の中の煙を吐き出し、取り出してみてみる。そして、それがどんなものであるかを確かめたい。いつの日か、何もかもありのままで自分を受け入れる時がくると信じたい。

  • 【少年・青年小説 食シリーズ】

    思春期、青年期の食への飽くなき探求の日々…なんちゃって

最近の記事

小心地滑日記〈しょうしんじすべりにっき〉 香港旅行編 ~46歳からの海外旅行~【現地日記下書きメモ編①:1月23日土曜日~】

引っ越しのときに、捨ててしまったと思っていたはずの、 「香港旅行」の日記の下書きというか…絵日記が出てきた。 すでに、作品として書き出しているので、 内容は重複というか…同じ内容なのだが、 当時私の習慣に絵日記をつけることがあって (いまはすっかりやめてしまったが)ホテルの部屋で、 スケッチをしたり、その日を振り返って鉛筆で書きつけたりしていたのだった。 発見していちばんうれしかったことは、「現地の値段」「日本円の値段」や駅名がはっきりと記録されていたことだった。 本来

    • 三人の魔術師:番外編 モノベさんの日常13「ある占い師との思い出①」

      茗荷谷鑑定研究所のマリネ先生のセッションを受けに行った。 土曜日の午後、恒例の給料日後の週末のごほうび鑑定だった。 今日のテーマは「両親、実家への埋もれていた憎しみの感情」についてだった。 ガイドからのメッセージや、マリネ先生のアドバイスが胸にしみた。 「いろいろな取り組みの努力は認めていますが、 やはり、自分を嫌いであるという本当の感情に気づくことをしないままでは、真に自分を好きになり、受け入れ、変容していくのは難しいでしょう。 自分の本当の声をきいて、なおかつ、他人

      • とーます模話のこざこざシリーズ 11「病気がもたらした人生の転機①」

        30代後半のことだった。 人生のはじめのざせつのおかげで…私は結果的に自分の天職と出会うことになった。 いい人と思われたい思いと…反対の極性をもつ極端ないやな性格は、 時折入れ替わりながら、「いきづらさ」を伴い、 人生にあらゆる問題を引き起こしていた。 とはいえ、人間関係の問題とは裏腹に、仕事ではある一定の結果を得るように変わってきていた。 ルートセールスから出版関連の仕事へシフトし、 もっとも地道な職種ともいえるジャンルに出会うことになった。 そこで、私は初めて「

        • とーます模話のこざこざシリーズ 10「ざせつといえる最初のざせつのこと①【悪魔との出会い】」

          初めての就職。 大卒後に入ったルートセールスの会社だ。 小さい会社だったが…親会社は名の通った会社だった。 就活では名前の知れた、興味を持った会社をかたっぱしから受けた。 企業研究などといっても…まだ40年前は体制もいまのように行き届いてはいない。 先輩を頼って、就職セミナーもどきだとか、知りもしない癖に知ったかぶりをするなんだかよくわからない講習会のようなものに行ったこともある。 就活を紹介する企業の本などをみてみたが…ビル清掃や家庭教師のアルバイトくらいしかやったこ

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        • ボクにも言わせて…「スポーツを語ろう」
          8本

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          しゅうかつロック、ボクにも言わせて 「第64回 ロック対談_だぶる模話模話模話〈サッカリン 洋楽 Rock 解説 弾いてみたチャンネルの素晴らしい解説をたたえよう①〉~~」

          模話1「久しぶりだね」 模話2「東京に戻ったそうだね」 模話1「おう。あたぼうよ」 模話2「あたぼうってなんの略か知ってっか?」 模話1「あたりめえでえ、べらぼうめ」 模話2「正解(笑)。なんか東京らしいとこに行きましたか?」 模話1「三社祭だったり、千束稲荷の祭だったりしたね。樋口一葉先生ゆかりの千束稲荷のお祭を見に行ったよ」 模話2「どうだった?」 模話1「地元のためのお祭だからさ、三社祭はまあ、日本でも著名な祭だけどさ…吉原神社とかの祭は地元の祭で、とて

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          とーます模話のこざこざシリーズ 9「東京へまたやってきた~東京の5月ばんざい」

          還暦をすぎて、また東京に戻ってきた。 12年と数か月ぶり。 ワンルーティン、ひとまわり。 沖縄、福岡、京都(大阪)、神戸でまた東京。 しゅうかつの一環でもある。 やり残したという言い方は違うかもしれない。 死ぬ前に最後のというのも違う気がする。 以前住んだ地域から、歩いて20分くらいだろうか… 12年たつとかなり変わったこともあるが、 意外と飲食店はつぶれていないところもある。 5月の東京は最高だ。 あとは、10月からの東京も… とはいえ、京都の5月も10月11月

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          【ロック少年・青年小説集】「25歳からのバンドやろうぜ1〈終〉~初めてのステージに立ってみよう⑱【人生初ステージ8】~」

          やっちまった…。 ユキオは、速弾きのリフが成功したと思ったとたんになぜか意識が飛んだ。 ラストのギターソロの終わりの部分が弾けずになんとかごまかした。 演奏が止まるようなミスではなかったが…多少動揺した。 気を取り直してラストのソロはうまく弾けた。 客席はあまり気にしてないように盛り上がってくれたのはうれしかった。 最後はFのドラムにSとユキオだけでサマータイムブルースをやる。 ソロはコードプレイでユキオの負担は重くない。 しかし…ユキオはギターソロのときに、感じた

          【ロック少年・青年小説集】「25歳からのバンドやろうぜ1〈終〉~初めてのステージに立ってみよう⑱【人生初ステージ8】~」

          【ロック少年・青年小説集】「25歳からのバンドやろうぜ1~初めてのステージに立ってみよう⑰【人生初ステージ7】~」

          司会進行の女子に呼ばれてユキオはステージに向かった。 リハーサルなしのため、素早くアンプとギターにシールドを差し込み、床においてあるチューナーで改めてチューニングをした。 Fたちのバンドが終わったばかりで、客席もまだ騒がしかった。 かなり受けていた印象がユキオに多少の緊張をもたらしたが、いざステージに立ってみると、思ったほど舞い上がった状態にはなっていなかったことは意外の感じがあった。 やることが多く、時間の余裕がなかったことがよかったのか…。 マイクスタンドにもカラー

          【ロック少年・青年小説集】「25歳からのバンドやろうぜ1~初めてのステージに立ってみよう⑰【人生初ステージ7】~」

          【ロック少年・青年小説集】「25歳からのバンドやろうぜ1~初めてのステージに立ってみよう⑯【人生初ステージ6】~」

          Fたちのバンドのオリジナル曲が始まった。 イカ天に出ようぜ 下北沢に住んで 国分寺の古着屋で買った サイケな服を着よう イカ天に出ようぜ テレビに映ろう ギターを買おう プロになって本に出よう イカ天出るぞ イカ天出るぞ いまからおれたち ロックンロールスター Fの同窓生たちにはかなり受けていた。 嫉妬がわかないわけでもなかったユキオだが… こういうやり方があったのかという驚きと同時に… 「おれがやりたいのは 誰かにきかせる音楽じゃなくて 自分が聴きたい音を入れ込ん

          【ロック少年・青年小説集】「25歳からのバンドやろうぜ1~初めてのステージに立ってみよう⑯【人生初ステージ6】~」

          【ロック少年・青年小説集】「25歳からのバンドやろうぜ1~初めてのステージに立ってみよう⑮【人生初ステージ5】~」

          ユキオはFに引っ張られるようにして客席のいちばん後ろに行った。 ステージに出るメンバーがかたまって座っている。 さっき楽屋で穏やかに話していたWもYも興奮しているのか…殺気だっている雰囲気に変わっている。 たぶんいまのユキオもそんなふうに他人から映っているのかもしれなかったが…。 女子バンドが始まった。 忌野清志郎が替え歌にしたデイドリームビリーバーだった。 Fは大喜び。 Fのいいところだ。 気に入ると簡単に態度をかえて湧き上がる感情と同化できる。 しきりに「い~

          【ロック少年・青年小説集】「25歳からのバンドやろうぜ1~初めてのステージに立ってみよう⑮【人生初ステージ5】~」

          【ロック少年・青年小説集】「25歳からのバンドやろうぜ1~初めてのステージに立ってみよう⑭【人生初ステージ4】~」

          「S、なんでひとり?」 「精神統一?イメトレって感じすかね…」 「おまえ、緊張しないのか?」 「あんまりしませんかね?」 「他人事か?さっきビデオカメラでパーティ会場を撮影しながらで調子づいてたよな。余裕あるんだなと思ったよ」 「コグレさんはこういうとき緊張するんすか?」 「うん。昔卓球部の試合でも緊張して実力を出せない感じありさ。重圧に強くはないかな」 「おれ、運動部入ったことないんでわかんないす」 「何部?」 「ママとフラメンコギターやったり、ボランティア活動とか

          【ロック少年・青年小説集】「25歳からのバンドやろうぜ1~初めてのステージに立ってみよう⑭【人生初ステージ4】~」

          【ロック少年・青年小説集】「25歳からのバンドやろうぜ1~初めてのステージに立ってみよう⑬【人生初ステージ3】~」

          パーティが始まった。 ユキオは楽屋にとどまっていた。 始まる前には、SやK、Dたちもやってきて、緊張のせいなのか…やたら饒舌だったり、ビッグマウスだったり、はったりめいた言動でうるさかった。 さすがにユキオは25歳をこえていたこともあり、 そんなふうには振る舞わなかったものの… やはり、ステージの前の雰囲気にのまれていたといってよい。 チューニングを繰り返し、使用するピックをカラーテープを使ってピックガードに取り付けたり、イメージトレーニングをしたりしていたが、 パー

          【ロック少年・青年小説集】「25歳からのバンドやろうぜ1~初めてのステージに立ってみよう⑬【人生初ステージ3】~」

          【ロック少年・青年小説集】「25歳からのバンドやろうぜ1~初めてのステージに立ってみよう⑫【人生初ステージ2】~」

          楽屋は静かでよかった。 WくんもYくんも性格がよく、ギターを見せてもらったり、ユキオのギターを見せたりした。 絵にかいたようなバンドの青春の思い出になりそうなたのしい時間だった。 Fがやってきた。 また握手を求めてきたので、断った。 一言いってやりたかったので、控えめに言った。 「調子よすぎるだろ。2回しか練習に来なかったくせに」 「相変わらずきびしいっすね…これ、パーティのプログラムなんで、どうぞ」 「おまえがつくったの?」 「ええ、コピーとかアイデアはおれです」

          【ロック少年・青年小説集】「25歳からのバンドやろうぜ1~初めてのステージに立ってみよう⑫【人生初ステージ2】~」

          小心地滑日記〈しょうしんじすべりにっき〉 香港旅行編 ~46歳からの海外旅行~「深夜、深水埗のホテルに着いた」

          #創作大賞2024  香港に行くとそこかしこに「小心地滑」と書かれている。もちろん「小心者だと地滑りします」という意味ではない。小心は注意=cautionの意味で「地滑り注意」ということである。わかってはいるが「小心地滑」の看板等を見るにつけ――「あなた小心な人ね」と言われているようで、なんだかいやな感じがしたものだ。  今回の旅行はまさに日本出身の自分のスケールが小さいかという部分との邂逅でもあった。というわけで「小心地滑日記」のタイトルはここからとった。中国語的につける

          小心地滑日記〈しょうしんじすべりにっき〉 香港旅行編 ~46歳からの海外旅行~「深夜、深水埗のホテルに着いた」

          【ロック少年・青年小説集】「25歳からのバンドやろうぜ1~初めてのステージに立ってみよう⑪【人生初ステージ1】~」

          桜台という駅近くにあるライブハウスに向かう。 今日は人生初のロックバンドでのステージだ。 12月のクリスマスイブの日だった。 この日はクリスマスパーティということで、 Fたちの同窓生たちを中心にイベントが企画されていた。 ユキオはらち外なので、イベント全部に参加するつもりはなかった。 とはいえ、初ライブということで…何人か知人友人を呼んでいる手前、 客席に声をかけないわけにもいかない。 ライブハウスに17時すぎにについた。 イベントはもう1時間以内に始まる。 ライ

          【ロック少年・青年小説集】「25歳からのバンドやろうぜ1~初めてのステージに立ってみよう⑪【人生初ステージ1】~」

          【ロック少年・青年小説集】「25歳からのバンドやろうぜ1~初めてのステージに立ってみよう⑩【明日は人生初ステージ2】~」

          バンド内の軋轢とフラストレーションによる緊張でスタジオはひりひりしていた。 Fがいきなりカモンエブリバディのイントロをひきだした。 ユキオはスクラッチノイズをゆっくり弾きながらドラムのKに目配せする。 あわててKがたたきだした。 ジャカジャーンとコードが鳴る。 ベースが拳のようなリズムを刻みユキオの線の細い、神経質だがバックビートを利かせたリズムギターにせっかちな余裕のないドラムが重なる。 Sの陽気な声質のボーカルが入ってくる。 うまい。急造バンドとは思えないスピー

          【ロック少年・青年小説集】「25歳からのバンドやろうぜ1~初めてのステージに立ってみよう⑩【明日は人生初ステージ2】~」