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私のつくる飯がうますぎるから、みんな私と結婚した方がいい

いつも私と仲良くして頂いて、ありがとうございます。
さーて、ここで質問!
私の職業は何でしょうか?ちっちっちっち…

はーい、正解は高齢者施設の管理栄養士でした!

と、いうと「料理うまそう」「結婚したい職業ナンバー1だよね」
というご意見を頂くことがある。うーん。ふざけるでない!

管理栄養士、と言っても、近頃は委託業者が調理を全面的に担う場所も多い。施設側の管理栄養士として就職すると、栄養管理や衛生面のチェック、レシピのみの指示など、包丁をほぼほぼ握らないことになる。

私のつくる料理はうまい。が、それは私が管理栄養士だという事と、必ずしもイコールではないのだ。真面目に頑張ってきたからよ🐜 

もし、貴方の好きな人が管理栄養士なら、職業から生じるイメージに言及しまくって、追い詰めないであげてください。そうすると私も喜びます。

それでは私の作った、ある日の献立を見てみよう。

・ごはん(玄米入り)
・豆苗とたまごのスープ
・鶏ひき肉のナゲット(お豆腐入り)
・ほうれん草と豆苗のナムル
・雷こんにゃく
・きゅうりとわかめの酢の物

あーえらいえらい。この休日は、なんだかだるくて、午睡を3時間かましてから足りない食材等を購入しに行ったんだったな。食品の価格高騰が激しい昨今。私的、食材購入の最適解はこう!

生鮮食品は商店街の市場で。
その他調味料やパン、米、お菓子などは各自スーパーで。
はいこれ。ターンエンド。

商店街の市場は「なんか怖そう」という理由で長年入ったことがなかったのだが、一歩立ち入ると楽園が広がっていた。野菜も肉も綺麗(最近のスーパーの生鮮食品は、なんだか元気がないものも多い)。

そして安い。内容量は多いが、きのこなどは冷凍して置いておけるし、うまく組み合わせることで、腐らせて悲しい思いをすることも減る。

 私のお気に入りはコロッケ屋さんの隣にある鮮魚店。おじさんと、ベテランパートお姉さまで構成された完璧な布陣。そこへたまーに、お子さんらしき女の子・男の子が加わる。


 「へい、いらっしゃ~い!今日は鯵!」


もう近年のスーパーでは聴かないベクレル数の大声。そこへすかさず、「おねえちゃん。たらこあるよたらこ」と囁くお姉さま方。サブリミナルたらこだ。こわい。今日はお魚の気分なので、一尾290円の、パンパンに太った鯵の内臓を抜いてもらう。

「はーい鯵、腹抜で!!!」


そして鯵が宙を飛ぶ。

初めての人は訳が分からないだろう。図で説明しよう。

青い〇が魚をさばくおじさんで、赤い〇がお姉さま方。カウンターをぐるっと回って魚を渡すのは遠回りでしょう。だから出来上がった品を会計のお姉さまに向かって投げる方が早いのである。他の鮮魚店もそうなのか。失敗するという可能性はないのだろうか。ご存じの方おられましたら、教えて下さい。

こうして手に入れた鯵をるんるんで持って帰り、三枚おろしへ。内臓は抜いてもらっているので、捌くのも手軽。小麦粉と塩コショウをはたき、バターが溶けた灼熱の地へ。 黄金色になるまでじゅうじゅう焼いて。
 
はい、できました。かんたん鯵のムニエル。大学時代、鯵を三枚おろしにする試験というのがあって、ひたすら家で捌いた記憶がある。魚を捌けるようにしてくれた、母校に感謝。きゅうりの薄切りテストもあったなあ。

 「いただきます」

まずは鯵。一口…。

う ま い !!!!!


口から光が発射したのではないかと思った。うまい。うますぎる。臭みが一切ないふわふわの身。バターで揚げ焼き状態の、ぱりぱりの皮。塩加減もちょうどよい。冷蔵庫に忘れ去られていたレモン汁を絞る。うまい。
炊き立てごはん。味噌汁。カレー風味のポテトサラダ。日本に生まれてよかった…。

ご飯を作るのは面倒。一人だと尚更。だけど、やっぱりちゃんと食べると、体調が違うし、自己肯定感もめちゃくちゃ上がる。自分を大事にすることで、誰かにも優しくなれる。誰かがやってくれるご飯も愛しいけど、自分が作った食事が美味しいと「なんだ、自分やれるじゃん!」という気にもなる。

それは性別や年齢に関係なく。もはや料理にも関係なく。生活の全てに通ずる。でも今の世の中は、生活を丁寧に執り行うには、あまりにも忙しすぎる。家事、育児、仕事、そして美しくあれ、金も持てと、現代社会は我々を追い詰める。一回、日本全体で一週間ぐらい素朴な暮らしを取り戻してみたらどうだろう。仕事はお休み。農耕と昼寝と読書。そしたら、みんなが少しずつ誰かに優しくなれるのでは。

孫引きで申し訳ないのだが、はるな檸檬さんの「れもん、読むもん!」にはよしもとばなの、こんなエッセイが引用されている。

マスコミやSNSに溢れるきらびやかなイメージに私達は簡単にとらわれて
今よりももっとステキな場所に行こうと焦って
今の自分をあっさり否定してもがき苦しんで
そんなことはもうやめよう、と
まずは目の前のちっぽけな仕事を自分の満足と楽しみのためにやって
もしそれを他の誰かが喜んでくれたら
それだけで人生はもう十分すばらしい、と            

「ばななのこと」より

ありがとう!これだから私は、ばななが大好きなの。
あらゆる物の値段が震えるほど上がり、されど給料は上がらず。
みんなひぃひぃ言いながら生活している。

そりゃあ恋愛や結婚や出産に明るい気持ちが持てないわけなのよ。この国は一体、どうなっちゃうんだろうな…。いろいろ心配だけど、生まれちゃったんだから、素直に楽しく生きないともったいないよね~

えー、何が言いたかったんだっけ?

まあ、要はあたしの作るごはんが美味しすぎるから、みんなあたしと結婚した方が良いってこと!わはは!

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