小松菜

私の生活は1ミリも丁寧ではない 趣味はすれ違う犬に微笑みかけることです

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最近の記事

ゴールデンイーク 1

休日の午前中は、どうしてこんなにも時間の進みが早いのだろう。 出かける30分前になっても、私は未だにうどんをすすっていた。 急いで化粧、急いで着替え、脳内で流れるBGMは「天国と地獄」。 紅組がんばれ! 白組がんばれ! コーナーで差をつけろ! あーん、マスカラが肘についた! ピロン♪  今日一緒に出掛ける、友人Mからのラインだ。 「わすれものして遅れちゃう」 おい、M!!!!!!!!!!!! うどん早食いの時間返せ!!!!!!!! 30分遅れてきたMと美術館で落

    • 破壊と創造

      2024年1月5日。休日。 実は、昨年末にやり残していることがある。 賞味期限が4月なのをいいことに、冷暗所に見えないよう放置し、なかったことにしていた。今日はそれに取り組む。季節外れだろうが、朝7時だろうが、やるったらやる。This Is me. それが、この無印で売っていた「自分でつくる 組み立てるヘクセンハウス」。税込1690円。 かわいいでしょ~!今年はささやかにクリスマスを楽しむって決めて、買ってあったのです。 タカギベーカリーでシュトーレンも買ったし~

      • さみしい

        さみしい。最近、強くそう思う。 何を買っても、何を見てもさみしい。じわじわと増える貯金だけが楽しみ。 職場の事務所で悪口。その場では笑って盛り上がり、後から一人、ひどく落ち込む。 あぁ、どうしよう。なんてさみしいんだろう。 今の私は、ちっとも幸せではない。

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        • 私のつくる飯がうますぎるから、みんな私と結婚した方がいい

          いつも私と仲良くして頂いて、ありがとうございます。 さーて、ここで質問! 私の職業は何でしょうか?ちっちっちっち… はーい、正解は高齢者施設の管理栄養士でした! と、いうと「料理うまそう」「結婚したい職業ナンバー1だよね」 というご意見を頂くことがある。うーん。ふざけるでない! 管理栄養士、と言っても、近頃は委託業者が調理を全面的に担う場所も多い。施設側の管理栄養士として就職すると、栄養管理や衛生面のチェック、レシピのみの指示など、包丁をほぼほぼ握らないことになる。

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        • 薬局
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        • 孤独の○○
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        記事

          富がなんぼのもんじゃい

           昔から、私は「人ができるアレができない」ということに、人一倍敏感な子供だった。受からなかった車校の効果測定。自分一人だけの追試。人の目を見て話すこと。  できていないことを人から指摘される度に笑ってごまかし、こみ上げる目の水をトイレで飲み込んだ。今は昔ほどひどくない。感情を受け流す術もいくつか覚えた。だけど、ふとしたことで子供の私が身体の外へ逃げ出して、収集がつかなくなる。 一年、一年と年齢は律儀に更新されるのに、未だ体内は、過去の私でひしめきあっている。  先日、友

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          もっと貴方を読みたい

          長年読書をしていると、「私が書籍を購入することで、この人の人生を支えたい…!」と歪んだ感情移入をしてしまう作家が現れる。とにかくふかふかの布団で寝て、おいしいごはんを食べて欲しい。ふっとボタンを押した自販機で、ジュースなどがもう一本当たっちゃって欲しい。単調になりがちな人生の中に、きらめく瞬間がいっぱいあるといい。 もしもし、貴社は株などやっておられませんか。良ければ貴方の人生にスパチャしたいのですが。あぁっ、今日スーパーでM寸の卵が安かったんです。最近高いですよね。お譲り

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          贋作・夢十夜

          初めに 幼い頃、私が見る夢は主に2種類しかなかった。 1つは、街を大きなしゃれこうべが襲う中、住民達と逃げ惑う夢。 (歌川国芳の有名な浮世絵を思い浮かべて頂くとわかりやすい) もう一つは、真夜中のリビングで星のステッキを持ったお姫様が青い閃光をまき散らしながら怒り狂う夢。 この2つの夢は夜な夜な再放映されたので、今でも色鮮やかに覚えている。 母に泣きついて布団に潜るものの、怖くて眠れなかったこと。そして、子供部屋にある丸い背もたれの椅子のシルエットが黒くうねうね動いて

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          生きることの色々が嫌になったので、海辺でパンを食べた

          あー、海行きたい。 嫌な教科の試験日、面倒な講義がある日、とにかく生きることに付随する面倒な諸々から逃げたくなった時。 生粋の盆地育ちのはずなのに、私はなぜか海が見たくなる。生き物の祖をはるか辿れば、やがて大海へ繋がるからだろうか。それとも前世がエラ呼吸の生き物かなんかだったのだろうか。 就職活動で苦しんでいた時も、リクルートスーツで涙を流しながら「海行きてぇ」と切実に思っていた。笑顔のお面を張り付けては面接に挑み、神のごとく祈られ続けたあの日々のことはもう思い出したくな

          生きることの色々が嫌になったので、海辺でパンを食べた

          あほやなぁ

          先日電車に乗っていたら、ぐずぐずと泣きながら俯く女の子に出会った。 私より2~3歳ぐらい年下か。失恋でもしたのだろうか。 電車の中の人々もちらちらと気にしている。 あぁ、そんなに顔をこすったら、化粧も服もぐちゃぐちゃだ。 明日の朝には目がパンパンに腫れてしまう。 「どうしたの」 数分見守っていたが、気づけば声をかけていた。不審者だと思われるか。だけど、私は損するほどお人よしで、昔からこういうのは放っておけないのだ。 「…バイト先で、大きな、失敗を、してしまったんです

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          呪いは水色

          「先生、それじゃあ私は鬱ってことですか」 「…そういうことだと思います」 2週間おきに行っていた精神科が3週間おきになり、向精神薬を切った直後のことだった。 私は布団から起き上がれなくなった。

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          耳かきリフレでお姉さんに骨抜きにされた話②~入店編~

          新しい朝が来た。 耳かきリフレに行く朝だ。 私は朝から緊張していた。歯磨きを2回行った。いつもより時間をかけて化粧をした。目が少しでも大きくなりますように、と願いながらアイラインを引き、マスクに隠れて見えない唇にもしっかりと紅を差す。 …まぁ、そんなことをしたって付け焼刃なのだが。 その日は午前いっぱい大学で講義を受けていたが、もう頭の中は浴衣と、膝枕と、耳かきでいっぱいだった。正直言ってこの日の講義内容はあまり覚えていない。教授、ごめんなさい。 あぁっ、ずいぶん汗を

          耳かきリフレでお姉さんに骨抜きにされた話②~入店編~

          耳かきリフレでお姉さんに骨抜きにされた話➀~予約編~

          整体に行きたい。 そして、あわよくば、包容力のあるお姉さんから施術を受けたい。 私が思春期真っ盛りの男子中学生のような欲望に燃えたのは、7月下旬のことだ。今思えば、暑さで頭がどうかしていたとしか思えない。だけど私は真剣だった。なんだか人生が変わるような気すらしていた。 …よし、行こう。包容力のあるお姉さんから施術を受けられる店を探そう。 そう決めてからの私の行動力は我ながら凄まじいものだった。 自分が通学する沿線上にそうした店がないか片っ端からグーグルマップで検索し、

          耳かきリフレでお姉さんに骨抜きにされた話➀~予約編~

          ADHD患者は一般人の夢を見るか

          「小松菜さんって、小学生のころ忘れ物とか多かった?」 私は激しく頷いた。 小学生の頃、忘れ物をしたらシールを貼る厚紙の埋まっていく速度は、人よりも格段に速かった。音楽会に肝心なリコーダーを忘れ、奥の方で突っ立っていたこともある。寝ている間に親にランドセルの中身を見られ、明け方まで説教を受けたこともある。私のカバンの中身はそれほどプリントの地層が折り重なり合い、目もあてられないほどぐちゃぐちゃだった。 そんなうっかりの度を越えた私が座っているのは、メンタルクリニックの椅子

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          遅刻に最適な食べ物を考える

          「キャーッ、遅刻遅刻!」 うららかな晴天の朝、トーストを咥えて通学路を走り出す女子高生。 いつもの道を軽快に進む。始業のチャイムまであと10分。ギリギリ間に合うか。 …と。 「いった~い!」 ご近所の坂本さんの家の角を曲がったあたりで、少女は人とぶつかる。 目の前を見ると、同じ高校の制服を着た見知らぬ男子高校生が「イテテテ…」と頭を押さえている。 雀はチュンチュン、坂本さん家のポチはワンワン。散らばった教科書、コンクリートロードというお皿の上で3秒ルールを失ったトースト

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          師匠

          一体、私がなぜノートを用いて自身の半生について話そうと決めたのか。これには、密かな「師匠」がいる。弟子は私一人、しかも勝手に崇める一方通行タイプだ。 師匠と出会ったのは、ハンドメイド雑貨の販売アプリcreema(クリーマ)。私は購入したいピアスがあり、他にも何かないかと、だらだらスクロールしていた。その時のことである。 「えっ」 視界の端でめちゃめちゃビビットな色彩を捉えたので、その正体を確認する。 …絵だ。ひと昔前の少女漫画っぽいキラキラの瞳。フリフリのドレス。お世辞