4章

 きつねくん、つまりわたくしは、「詩狐(しぎつね)」です。詩を書く狐です。まあ別に、詩人でもいいんですが、きつねくん、という名前だけに「詩狐」と呼ばれるのがもっとも心が落ち着きます。  
 ちょいと熟語を使わせてもらいますと、安寧という気分です。

 おっと、難しい熟語を使うとこどもたちが嫌がりますね。こどもたちにもこの小説は読んでもらいたいものですから、なるべく難しい言葉は使いたくなかったのですが出てきてしまったものは仕方ありません。

 さて、話を横道にずらして時間稼ぎするのはいったんやめましょう。読者をいらいらさせる手法もありといえばありですが、今の時代においては、これが新人賞か何かの公募に応募された作品だとしたら、選考委員の全員からダメ出しを食らうことは間違いないでしょう。

 さて、「あんたは、きつねなのか? 人間なのか? 本名なのか? 何歳なのか?」
 聞きたいことは山ほどあるでしょう。

 聖書や仏典にはあれだけの注釈があるわけです。あんたにも注釈をつけなさい、というのはごもっともですが、今は「きつねくん」という音の響きだけを頼りに、しばし想像を巡らせてください。

 人間でもあり、きつねでもあるかもしれません。詩狐(しぎつね)きつねくん、ということです。仏教におけるマントラのように、繰り返しありがたく唱えてください。

「ちょっとー、きつねくんさー、チビたちの出番まだー? ぶっちゃけくどすぎると思うよ、チビ、こってりよりあっさりラーメンの方が好きだしー」
おっとここで、チビの登場だ!

 風雲急を告げる!
 
 でも、今夜はとても眠たいので、後日たっぷりチビたちを登場させるとチビたちに約束して寝ることにします。

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