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パリの街の一部として暮らす=穴だらけのアパートに住む

美しいパリの街並みの一部として生きることは、私の長年の夢だった。夢が日常になっているのか、日常が夢みたいなのか、そんなことを考える平和な日々を送っている。

 美しいモンマルトルの街並み

1ヶ月前に、私は長期滞在できるアパートに移り住んだ。6階の屋根裏部屋。パリの屋根裏部屋といえば、昔々はその家の住み込みメイドの部屋として使われていた場所。夏は暑く冬は寒い、などと言われる。バストイレが同じフロアの住人と共有だったり、劇的に狭かったり、エレベーターがなかったり…そんな困難が付きものの部屋が多い。

私の”城”は幸いなことに、シャワーもトイレついて、約28平米、リビングとベッドルームが分かれている。床は若干斜めになっているし、多少ガタついているけれど気にならない。洗濯機はないけれど、エレベーターがあるのでよしとする。
そんな平和な日常を壊すのは、アパートの穴。まぁ私は基本的に”穴”という概念が好き。向こう側の世界と繋がっているからね。

ただ、私のアパートに開いた穴の向こう側の世界はただの、野外だったようだ。つまりそこから入ってくるのは小さな虫たち。そこかしこにある穴を塞いでも塞いでも、どこかの穴から入り込んでくる。ちょっとした虫嫌いの私は、毎度発狂。なんなら最近はキッチンをあまり見ないようにしている。彼らに出会わないように。

ただ、もう我慢ならなくてキッチンの収納棚を全部マスキングテープで塞いだ。収納はもう使えない、でもかれこれ5日くらいは虫を見かけていない、どうやらひとまず作戦は成功したようだ。

そう安堵したのも束の間、朝の空気の冷たさを感じるために開けた窓から小さな虫が入ってくるのを感じた。網戸なんかついていないパリの宮殿。ようこそ、私の城へ。

キッチンのささやかな窓

今日も、いい日になりますように。

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