みしまるくらしっく

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noteでは少しコアなお話が書けたらいいなと思います。演奏会情報(東海地方中心、ピアノ、オーケストラ、吹奏楽、合唱など)の紹介はTwitterで。たまに他ジャンルの音楽や趣味についても。 #クラシック音楽 #classic

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若すぎるクラシック愛好家による、早すぎるクラシック愛好の手引き

クラシック音楽を、より多くに人に聴いてもらうためにはどうすれば良いか? この問いに対して、実に多くの音楽家やアーティストや、クラシック愛好家が、さまざまに趣向を変えて答えを導き出そうとしてきた。私は仕事柄、国語教育というものについて研究したり実践することがあるが、「古典嫌いを無くすためにはどうすれば良いか」などという問いの類に似ている。まさにクラシック音楽の分野の人たちにとっての宿命のような問いだ。 断言する。そんなものはない。というより、あればこんな問いはとっくに解決さ

    • 演奏会におけるマナー向上のための試案①ーTwitterのコピペ大作戦

      思いつきのままに書いてみたい。 最近あまりにも、マナー違反に対するタレコミが多いので、どうすればマナー違反が減ったり無くなったりするか、ふと考えてみた(クラシックの演奏会における主なマナーについては、拙筆、いくつか前のノートをご覧ください)。 思いついたのは、まさにそういうタレコミを使った手法だ。「Twitter(現X)上で流れてきた、マナー違反に対する恨み・嫉みといった苦言・タレコミをそのままスクショで切り取って、会場の分かるところに貼り付ける」という案だ。 たとえば演

      • 「一流」のオーケストラとは?「地方」「都市」のオーケストラの違いとは?

        オーケストラに一流も地方も都市もない!というのが結論だが、まあゆっくり時間がある方は読んでみてください。 職場や、出かけたホールの客席などで、同僚やお隣の紳士にこういう質問をされることがある。 私は、これらの質問に対して特に迷いなく答えてあげるのだが、本質的なことを考えてみると、泥沼にはまったように抜け出せなくなってしまう。そもそも一流とは?日本一とは? 様々な価値観があると思うが、私なりの考えをまとめてみたい。 オーケストラ(ここではプロのオーケストラに限ります)の

        • クラシック音楽の敷居の高さはどこから来るのか?その2ーーー演奏会のマナーについて

          クラシック音楽への取っ付きの悪さの理由として、演奏会でのマナーの多さに辟易する、というものが挙げられることがある。SNSでも、しばしば炎上ネタとして取り沙汰されるそのマナーについて、個人的に少しまとめておきたいと思う。 結論から言えば、何でもかんでも自由じゃなくて、色んな聴き方をしたい(こうやって聴きたい!)という人がいるんだからそういう人たちにも気を配れ、ということだと思う(あ、別になんか不満があって文句を言いたいわけじゃありません。読んだいただければ意味がわかります)。

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        若すぎるクラシック愛好家による、早すぎるクラシック愛好の手引き

          クラシック音楽鑑賞の秘訣ー「評論家」でも「レビュアー」でもなく…?

          【はじめに】 この原稿を書いたのが2023年3月。今は2024年5月。音楽の聴き方がかなり変わったので、大幅に改変しました。一年も経つと、人って変わるのですね。 【ここから本文】 まあ、音楽の聴き方なんて個人の自由です、というのが結論なのだが、これからクラシック音楽を聴いてみようとしている方々に向けて、私個人の音楽の受け取り方や感じ方について、少しまとめておこうと思う。 クラシックの演奏会に訪問して、それを聴いたり、感想をまとめたりするときに一番意識していることは、「マイ

          クラシック音楽鑑賞の秘訣ー「評論家」でも「レビュアー」でもなく…?

          クラシックはロックだ!②

          その音楽を聴くことで、心身が揺さぶられ、まさに身体が踊り出してしまうようなロック。ーーそんな感覚をクラシック音楽の中に見出すことは、私自身よくある現象である。 そんな感覚を初めて持たせてくれた音楽がある。 スヴャトスラフ・リヒテルの音源だ。 スヴャトスラフ・リヒテル(1915-1997)はソビエト出身のピアニストで、20世紀最高のピアニストの1人として位置付けられている。ピアノを弾いている人間の中で、彼のことを知らない人は居ない。 彼が、1960年にアメリカ・デビューを

          クラシックはロックだ!②

          クラシック音楽の敷居の高さはどこから来るのか?ーーー地方都市で海外アーティストを聴けるチャンスは無くなる?

          今回は2本立てです。だいたいグチです。 クラシック音楽はなぜ流行っていないのか?を考えた時にまず思い浮かべるのは、年寄りが優遇されるシステムが構築されているから、という点である。 一般に、クラシック音楽は敷居が高いというイメージが流布されているが、その敷居の高さをより象徴しているのが、チケットの価格設定の高さである。実は、このチケットの高騰は最近始まったことのように思われる。 愛知には「クラシック名古屋」という会社があり、演奏会を企画・主催しているのだが、そのホームペー

          クラシック音楽の敷居の高さはどこから来るのか?ーーー地方都市で海外アーティストを聴けるチャンスは無くなる?

          人気を取るか?実力を取るか?

          コロナ禍が収まりつつある昨今、海外のオーケストラが日本に訪れる機会もようやく増え始めた。 著名なオーケストラの日本ツアーのプログラミングなどの情報を見てみると、その多くがメインの大曲に加えて、ソリストを伴うコンチェルトが据えられているパターンが多いことが分かった。一部を紹介してみたい。 5月 ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団/クリストフ・エッシェンバッハ/五嶋みどり/佐藤晴真 ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団/ヴァシリー・ペトレンコ/辻井伸行 6月 ベルリン交響楽団

          人気を取るか?実力を取るか?

          初心者が、ついて行くべき演奏会④トゥーランガリラ交響曲

          先回、初心者向けのオススメクラシック音楽として、ストラヴィンスキーの「春の祭典」をお示ししたが、今回の論調もまたそれと似ている。 今回紹介するのは、オリヴィエ・メシアン(1908〜1992)が作曲した「トゥーランガリラ交響曲」である。細かい曲の情報はググった方が早いので割愛する。 どうしてメシアンのトゥーランガリラ交響曲なのか、と玄人の方は疑問に思われるかもしれない。私がこの曲を初めて聴いたのは中学1年生かその辺りで、小澤征爾/トロント交響楽団の録音だった。初めて聴いた時

          初心者が、ついて行くべき演奏会④トゥーランガリラ交響曲

          #ベートーヴェン第九の私のツボ

          全国各地で、「第九」が演奏される季節になった。日本のクラシック界において、第九は特別な文脈を持っている。 ベートーヴェン作曲、交響曲第9番ニ短調作品125、『合唱付き』。略して「第九」。 日本で初めて第九が演奏されたのは徳島県らしい。兵庫から明石海峡大橋を渡って淡路島を縦断し、鳴門海峡も渡ってしばらく高速を走ると、インターの出入り口あたりに「第九を初演した町」的な看板を目にするはずだ。 12月の日本で、第九が演奏される理由は諸説あるものの、12月に卒業を先回しにした戦争

          #ベートーヴェン第九の私のツボ

          一般参賀の楽しみ

          勿論、皇室の方々に手を振るお正月の行事のことではない。オーケストラの演奏会の終演後、カーテンコールで拍手が鳴り止まず、オケのプレイヤーが舞台上から退席した後も拍手が続いた場合、指揮者が再び登壇することがある。このことを一般参賀と呼ぶらしい。なぜ「らしい」のかというと、いつからそのように呼ばれ始めたか筆者は知らないからである。 一般参賀では、終演後に指揮者が降壇し、コンサートマスターが客席に向かって「ありがとうございました」とお辞儀をし、オケのプレイヤーも散り散りに帰っていき

          一般参賀の楽しみ

          お年寄りの音楽家を聴く

          さて、ある程度人気のアーティストやプレイヤーを聴いて、クラシック音楽に馴染めてきたら、様々な年齢層の音楽家の演奏を、聴き比べてみるのも面白い。 たとえば、ベートーヴェンの「運命」にしても、若い指揮者が振るのと、お年寄りの指揮者が振るのとでは、随分感じ方が変わる。「若い人の運命はフレッシュでいいなあ」と感じるかもしれないし、「巨匠が振ると、味わい深いなあ」と思うかもしれない。 長年、クラシック音楽を聴いていると、そんなお年寄りの演奏に対して、味わいのような端的な感想のみなら

          お年寄りの音楽家を聴く

          ブルックナーおじさんは多分嫌われている

          今から4年前、SNSにこういう文章を掲載していたことがある。 一読しただけで、恥ずかしいなあと思う。4年しか経ってないけど、4年前の自分があまりに稚拙だったなあと思う(文章力や語彙力という観点からも)。 今の私は、この4年前の自分の立場とは全く反対の立場にある。つまり、クラシック音楽は全く成功していない、という立場である。詳しくは、私が1番初めに掲載したnoteをご覧になっていただければと思うが、もし成功していたら、町中はマーラーやブルックナーで溢れているし、金曜夜9時か

          ブルックナーおじさんは多分嫌われている

          プログラムノートの楽しみ方+α

          演奏会に行くと必ず付いてくるのは、プログラムである。その日の演奏曲目、演奏者のプロフィール、演奏曲目についての説明などが記載されている。 プログラムは、演奏会ごとに個性が出るのでとても面白い。私の地元だと、名古屋フィルハーモニー交響楽団のプログラムは、その月の演奏曲目のみならず、次月の予習のためのコラムや、楽器配置や乗っているプレイヤーの一覧が書かれた別紙が挿入されていたりする。楽団のプレイヤーによる近日の演奏会情報も記載されているので有難い。 自分には関係ないけれども、

          プログラムノートの楽しみ方+α

          初心者が、ついて行くべき演奏会③ピアソラ

          アストル・ピアソラ(1921-1992)という作曲家をご存知だろうか。生没年だけ見ると随分最近の作曲家だということが分かると思う。2021年に生誕100年、2022年に没後30年を迎え2年連続のアニヴァーサリー・イヤーということで話題になった。 ピアソラはアルゼンチン生まれの作曲家で、タンゴの作曲家として、そしてバンドネオン奏者として有名だ。タンゴは社交ダンスのジャンルの一つでも有名だが、「タン。タタン、タン、タン。タタン、タン」というリズムが特徴のダンスの一種である。バン

          初心者が、ついて行くべき演奏会③ピアソラ

          クラシックはロックだ!①

          題名の通りの趣旨以外を、語る意図は全くない。が、「クラシック=ロック」という方程式を証明するためには、相応の説明や反証が必要だと思うので、いくつかの節に分けてゆっくり書いていきたいと思う。 筆者は、ロックも聴く。中学1年生の頃、姉の影響でBUMP OF CHICKENのライヴに日本ガイシホールまで聴きに行って、それがきっかけで彼らのライヴがある毎に、毎年のように足を運ぶことになった。このバンドも、近年は色々あったし作風も昔とは随分変わったこともあって、今では少し距離を置いて

          クラシックはロックだ!①