ベテランデザイナー向け 「わかっている」けど説明できないを突破するAI活用術
こんにちは。
TAMという会社でディレクターをしている中村です。
先日、以下の記事を公開したあと、社内の先輩デザイナーから「キャラクターの設定をAIと考えてみたい」と相談を受けました。
その流れで、先輩デザイナーとハンズオンでAIツールに入力するプロンプトを考えているうちに面白い結果になったので今回はその記事を書いてみようと思います。
結論としては、
「デザイナーの頭の中を言葉にするための質問を、AIに考えてもらう」
というアプローチになりました。
これは以前紹介した「わからないをAIに聞く」と正反対で、「わかっているけど説明できないを、AIと取り出す」というものです。
詳しく説明してみます。
お題 : キャラクター設定を言語化したい
まずはデザイナーからの相談内容の共有します。
です。
アプローチ1: 人間がプロンプト整理、AIに考えてもらう
前回の記事では、「わからない」をAIと突破する方法を紹介してみました。
具体的には
・目的を言語化して
・AIと自分の知識スコープを明確にして
・自分の外側かつ目的を達成する知識を聞く
というアプローチです。
デザイナーの話を聞いていると、こちらの方法は今回の「キャラクターの設定を考える」については、最適ではなさそうでした。
なぜなら、今回知りたいことは「実はデザイナー自身が答えを知っていること」だったからです。
前回紹介したことは「ゴールはあるけど、何を理解すれば良いかわからない」つまり、「自分が答えを持っていない」状況でした。一方で今回は「答えを持っている」という状況。
そのためプロンプトのアプローチも変わってきます。
アプローチ2 : AIがプロンプト整理、人間が考える
「実は自分が答えを知っている」という状態についてももう少し説明してみます。
今回の場合はUI整理という命題で、デザイナーは一度キャラクターの役割や位置付けについて検討されていました。
その結果、キャラクターのトンマナやUI状のレイアウト、構成レベルでは、既に具体的なアウトプットして表現されているのですが、一方で「キャラクター設定について、コンセプトテキストとして書き出す」となった時に、どう考えて良いかわからないという状態。
つまり、お題に対して
画面ベースの情報設計としては一度考え抜かれている
が、言語ベースでの情報設計としてはまだ整理できていない
ということです。
ポイントは、「一度考えてはいる」ということ
これは「自分が知らないことを知る」のと全く構造が違います。
今度は図にして説明してみますね。
図解で説明
以前紹介した記事は、自分が「無知」で、AIが「有識」。
無知から有識に質問をする事で外側の知識を得ることができました。
今回は反対。
自分は「有識」。
ですが、それは非言語の世界のみであり、言語化はできていない状態です。
構造と、AIを活用した情報の取り出し方を図にすると以下のようになります。前回が左で、今回が右です。
AIと人間の立場をひっくりにして、「無知」なAIに質問してもらう。
そうすることで、一度自分が考えていたことを引っ張り出してもらうことができます。
イメージとしては、無知だが優秀な部下に素朴な質問をしてもらう感じ。
その質問にデザイナー自身が回答を感考える事で、UIを考える上で非言語的に考えてきた事を、言語として取り出すことができる という仕組みです。
実際にデザイナーとハンズオンをする中でも、質問が画面に出てくる過程で、先輩デザイナーから質問に対する回答がどんどん出てきました。
そして、それらをまとめ上げることで、当初の要望であった「キャラクター設定をコンセプトテキストでまとめる」事に貢献できそうです。
まとめ : 非言語から「取り出す」ためにAIを使う
優秀なデザイナーであればあるほど、画面という世界の中で、
配置やかたち、それらの距離
色
印象
アフォード
などの技術を使い、ひとつの絵としてお題を解決できてしまうことはあると思います。ですが、それは必ずしも言語化というステップを通っているとは限りません
言い換えるのであれば「非言語に対応できてしまっている」ことはよくあると思います。(それでしか整理できないものもあると思います。)
人に教える時
クライアントに説明するとき
もう一度デザインを作り直してみたいとき
もしかしたら一度言葉にしてみることが必要になるかもしれません。
そんな時は、「AIに考えてもらうのではなく、自分の中から言葉を引っ張り出すための質問を、AIに考えてもらう」のが良いかもしれません。
参考になれば嬉しいです!
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