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終の住処を探す旅

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定年を迎え、社宅に居られなくなる我ら夫婦が、終の住処をどこにしようかと、あちこち旅した話。
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家探し雑記⑥

家探し雑記⑥

ようやく、引っ越し日が決まった。
まだ契約書類を返送していないので、若干不安が残るのだが、ここまで来たらもうひっくり返ることはないだろう。
10月27日に敦賀を出て、翌28日に松山に移り住むことになった。
調べてみると、私が敦賀にやってきたのは、2020年の10月26日。
ぴったり3年住んだことになる。
当初、もっと早くに引っ越す予定だったのが、先方の家主さんがよい方のようで、契約が決まった後に台

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家探し雑記⑤

家探し雑記⑤

まさか、続きを書くことになるとは、思わなかった。
「やれやれ、あとは大量の本を詰めたり解いたりする、大変な作業が待ってるだけだな」
と、半分くらいうんざりした気持ちで、不用品の処分を始めていたのだ。
そのLINEは、午前10時ごろにやってきた。

「審査の件ですが、
家主さんから先程審査の承認が通らなかったとの連絡をいただきました。
大変申し訳ないのですが、
今後の流れとして、新しい物件をお探しに

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家探し雑記④

家探し雑記④

昨日、海から戻る電車の中で、夫が言った。
「本当にあの家でいいんだろうか?」
島を探検しながら、ずっと考えていたらしい。

いいも悪いも、夫の希望する歯医者に近く、その他の条件にも一致したために選んだ物件である。
あとはもう、住んでみないとわかんないよね、と私は思っている。

「何が気になってるの?」
と訊くと、
「街に出たり、歯医者に通ったり、買い物に行ったりするのに、使うことになるであろう幹線

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家探し雑記③(家探しからかなり逸れます)

家探し雑記③(家探しからかなり逸れます)

今日も動き回った一日。

家探しに訪れた松山での3日目は、痛恨の不動産屋さん定休日と重なったため、最寄りの島に渡り、ウミウシ探しをすることにした。

興居島への行き方と運賃

行き先は興居島。
JRの松山駅からは、伊予鉄道「大手町」駅まで少し歩く。
伊予鉄道は、ミカン色の路面電車だ。
これに乗り、興居島の最寄り駅である「高浜」まで行き、船に乗る。

船は、車もバイクも自転車も運んでくれるカーフェリ

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家探し雑記②

家探し雑記②

疲れた。
この猛暑日が続く真夏に、エアコンのない家の中を見て回ることが、こんなに疲弊することだとは思わなかった。

松山二日目の今日。
我々はかねてから、物件の見学を申し込んでいた不動産屋さんに、ピンと来た物件5件を見せてもらうことになっていた。

朝10時に待ち合わせて、13時までに、市内のあちこちに点在する5物件を見て回る。
なかなかのハードスケジュールだ。
どの物件も、予算をかなり低価格に絞

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家探し雑記①

家探し雑記①

松山に行くため敦賀駅に向かうと、特急サンダーバードが15分遅れていた。
踏切内で立ち往生した車がいたらしい。
接続を考えて昨日のうちに切符を買っていた夫は、すでにイラッとしている。
せっかく定年退職して、使える時間がいくらでもあるのに、やはり効率第一の脳は、簡単には変わらないらしい。
いや、待つのが嫌い、というのは、会社員生活で培われた性格ではなく、持って生まれた性分なのだろう。
きっと死ぬまで変

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旅で「夫」と「私」を再発見した話

旅で「夫」と「私」を再発見した話

私はあやふやで選択肢の多い未来に、具体的なプランを作ることが苦手だ。

選択肢①と②の二つからどちらかを選ぶ、などという時には迷わない。二択なら決断は早いし、選ばなかった選択肢に心を残すこともない。

けれど、一度に大量の選択肢を示されると、その中で「これ!」を選ぶことができない。どこに行く時も、旅行情報誌を見ないようにしているのは、あまりの情報量にクラクラするからだ。所さんのダーツの旅のように、

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終の住処を探す旅 松山の住宅事情

終の住処を探す旅 松山の住宅事情

昨日、一昨日のさらに続き。

興居島の海が大変気に入ったわたしは、松山を終の住処と決めてもいいんじゃないか、と思った。

しかし、夫は慎重だ。

「便利なのはいい。海も近くて面白そうだ。しかし、ゴミ出し方法や、町内会の義務労働の多さなど、引っ越した後に後悔しそうなことも、きちんと調べておくべきだ」

夫は、完全に私に洗脳されている。

私の方は、先輩ライターさんが
「地方には地方の、財政的な事情な

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終の住処を探す旅 四国松山 興居島編

終の住処を探す旅 四国松山 興居島編

昨日の続き。
愛媛県松山市に上陸した私と夫は、松山城の聳える勝山の上から、海と市街地を眺め、2人とも悪くない感触を得ていた。
夫「都会だ!文化的生活が送れる!」
私「こんなに海が近い!遊べる!」

山の上からは、瀬戸内の島が遠く近くに、いくつも見える。
写真の右端に富士山のような円錐形のシルエットで浮かんでいるのが、松山から最も近い島、興居島(ごごしま)である。

フェリーで10分ほどで渡れる、松

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終の住処を探す旅 四国松山編

終の住処を探す旅 四国松山編

3回目の「終の住処を探す旅」にきている。
①伊豆半島の付け根②別府&周防大島、と来て3回目の本日は四国の松山市にいる。

四国上陸は、人生でまだ4度目だ。
高知、徳島、香川は宿泊したことがあるが、愛媛は初訪問、どんなところかとワクワクしていたら、予想とは真逆の大都会で驚いてしまった。

人が多いとそれだけで嫌になる私には、最初の印象は超マイナスだったと言っていい。

松山だけではない。
岡山から瀬

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終の住処を探す旅に出ている③周防大島編

終の住処を探す旅に出ている③周防大島編

旅の初日に膝を痛めた夫を引き連れて、旅はまだ続く。
3日目の今日は、山口県の周防大島だ。
憧れの島暮らし。

しかし、島といってもナメてはいけない。
周防大島は「二十四の瞳」で有名な、あの小豆島に次いで、瀬戸内第3位の面積を誇る島なのだ。(ちなみに第1位は、言わずと知れた淡路島。小豆島の4倍近い広さがある)

宿の都合で岩国でレンタカーを借りたのだが、島まで往復約2時間、残りの4時間で島を一周出来

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別府「駅前高等温泉」が最高な理由を語ってみた

別府「駅前高等温泉」が最高な理由を語ってみた

「駅前高等温泉」に出会ったのは、偶然だ。

我ら夫婦は、2022年末、終の棲家を探す旅をし、別府を訪れていた。
ところが、着いたその日に夫が海岸で転び、松葉づえが必要なほどのけがをしてしまった。

宿泊先を格安にした分、温泉はゴージャスに巡り湯などしたいなと、事前に情報を仕入れていたのだが、夫が温泉に行けないのでは、一人で車を借りてまで行くわけにもいかない。

そこで、ホテルのフロントで
「ここか

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終の住処を探す旅に出ている②別府編

終の住処を探す旅に出ている②別府編

2日目と言いながら、話の発端は昨日に遡る。
着いて早々、夫が怪我をした。

ホテルから海までが徒歩10分ほどだったので、チェックインしたのち、海を見に行った。
予定では、そのあと市役所方面へ向かい、住宅地の様子はどんなもんかと見てくるつもりだった。

が、夫は海水に触ろうとして、階段状に整備された人工海岸の、最下段に降りた途端、濡れたコンクリート面で派手にすっ転んで波を被った。

「助けてくれー!

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終の住処を探す旅に出ている①別府編

終の住処を探す旅に出ている①別府編

夫と二人、終の住処を探す旅に出ている。
最初の目的地は別府。
全く初めての土地だ。

なぜ別府だったのかというと

①海が近い
②温泉地
③冬でもそんなに寒くなさそう
④市役所に依頼して、郵送してもらった移住支援の手引きが、他の地域より丁寧で充実していて親切だった

あたりが決め手だ。
まだ候補の一つでしかないのだが、夫はかなり乗り気である。

今回の旅では、チェックポイントがいくつかあって、夫は

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