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空のベビーカーを押して深夜に徘徊した思い出

私の夫は出産前から我が子の溺愛レベルが群を抜いていたと思う。妊婦健診は高熱でダウンしたとき以外はほぼ皆勤賞だし、まだ顔の輪郭がぼんやりした(エイリアンのような)エコー写真を見て、すでに「かわいいねぇ、僕に似ている」とうっとりしていた。

抱っこ紐を買いに行けば、試着時に使用する赤ちゃんの重さをリアルに感じることができる(ほんの少し不気味な)人形を「産まれる前の練習用にこの人形も買った方がいいんじゃない!?」と、しつこく欲しがっていた。※もちろん、売り物ではない。

購入したベビーカーが届くと「道路の凹凸や押し心地を確かめておきたいから、今すぐベビーカーを押して散歩しよう!」と夜の街に誰も乗っていないベビーカーを押して散歩に飛び出す始末。そのときは私も「みんなやってるのかな…?」と慌てて後を追いかけたものの、その後、友だちに話したら「ウソでしょ!?」と笑われた。夜の街角で空のベビーカーを押す夫婦とすれ違った方たちには不気味な気持ちにさせてしまったかもしれない。

そんな準備期間を経て、無事に産まれてくれた息子。今でも3人で出かけるときは率先して夫がベビーカーを押している。果たして、練習の成果はあったのだろうか。

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