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感想 ヒポクラテスの試練 中山七里 野良犬を食ってはならない。未知の疫病発生。原因究明にアメリカに飛ぶ。

シリーズ三作目にして長編になりました。
これまでは短編で、登場人物のキャラの楽しさと切れ味の鋭い推理が売りのシリーズでしたが、少し間延びした感じになりました。とくに、ラストの展開が最悪。

元議員、死因は癌。しかし、変・・・。
未知の寄生虫が見つかる。
都の職員も同じ原因で死んでいた。

共通点は数年前の議員の視察旅行。
議員たちは、何故か口をつぐむ。

病原菌のルーツを求めてアメリカまで行くが、そこからは少し政治色の強い展開に
一応ミステリーなので大切な部分は語りません。

議員たちが口を閉じる理由が興味深い。
そこはバラします。

議員の視察旅行で観光地をめぐり、現地のコリアタウンの売春施設で女を買い、犬料理を食い、女児を買った。
議員の視察旅行なんて、遊び気分なのはわかるが、一昔前の農協の慰安旅行じゃないんだし買春ツアーとかありえないし、幼女買春とかどうなのかと。
議員の視察旅行なんておかしいという著者の気持ちはわからぬではないが、そこを強調しすぎては本末転倒だと思う。疫病の理由が野良犬を食ったことにあるという点は、犬を食うなんて許せないと向こうの警官みたいな人も言ってたが、犬好きの僕も気持ちはわかる。犬を食う奴なんか未知の疫病で七転八倒して死んでしまえと思うし、作者にも賛同するところもあるのだが、犬を食べる文化の人を貶めるみたいな気がして、少し後ろめたさも感じた。
野良犬というのはごまかしだと思う。犬なんか食べるから未知の疫病になるのだという考えが根底にあるのだと思うし、僕のような犬好き読者は単純に、犬を食うとか韓国人野蛮だなとなってしまう。そういう意図があるなら、この小説はあまり良くないのかもしれない。

最後の犯人はちょっとびっくりな人でしたが、とにかく視察旅行批判が強く、犬食いのインパクトが強すぎて、これが何のミステリーなのかすらわからなくなってしまった。



2024 5 5
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