奈名絵(ななえ)

ゆるーく、ぬるーく文楽を鑑賞してます。 座右の銘「文楽は、わからないくらいがちょうど良…

奈名絵(ななえ)

ゆるーく、ぬるーく文楽を鑑賞してます。 座右の銘「文楽は、わからないくらいがちょうど良い」

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ヌルい文楽鑑賞のすゝめ

文楽鑑賞。そもそも知識は全くないだけでなく、知識を追加するつもりもなく淡々と国立劇場に通って、早5年が経ちました。なぜか文楽の表現に惹かれて、公演があるたびについ通ってしまう。そんなヌルい感じで楽しんできました。 文楽を見ているというと、「教養あるマウント」みたいな風に受け取られてしまうのですが、教養つけるつもりは一切なく。単純に、表現を楽しんでいます。そして頻繁に寝落ちしてます。文楽の公演中ってなんであんなに深く眠れるのでしょうか。10分くらいですが、脳みそがスッキリする

    • 文楽四月公演 大阪遠征の旅行記録

      四月公演に合わせて二泊三日で遠征しました。観劇記録は他の投稿を載せてるので、演目以外のことを記録しておきます。 マイレージを使って遠征する飛行機派なので、今回も羽田空港から関空へ。最近はすっかり関空がお気に入りです。関空に降り立ち、荷物引き取り場所に行くまでのエスカレーターは左側に列を作る関東のスタイルなのが小さな驚き。 最近お気に入りのホテル日航へ。お部屋が広くて設備が良いのにお手頃価格、そしてふるさと納税の宿泊券が使えます。着物に着替えるのに広いお部屋は有難いです。

      • 「和田合戦女舞鶴」「市若初陣の段」令和六年4月文楽公演 国立文楽劇場

        人形浄瑠璃の大名跡「豊竹若太夫」の11代目の襲名ということで、豊竹座ゆかりの演目。大阪では57年ぶりの上演だそうです。 鎌倉時代の「和田合戦」を題材にしつつ、史実とは異なる脚色を施した作品。鎌倉時代の基礎知識が頭に入っていない私としては、設定を頭に入れるだけでも一苦労でした。事前に文楽劇場のウェブサイトやパンフレットを読んでいたので、観劇時にボロ泣きするほどには楽しめたのですが、その後、床本を読み、パンフレットなどを再読し、そしてWikipediaで鎌倉時代の歴史をおさらい

        • 「絵本太功記」令和6年4月公演 @国立文楽劇場

          大坂の文楽劇場まで遠征してまいりました。「絵本太功記」は何回か見たことがありましたが、通常よりも前段部分が長く、どっぷりお話に浸れそうなので楽しみにしていました。 「時代物」というのは、江戸時代からみた「時代劇」という意味です。題名から豊臣秀吉をイメージするのですが、題名から想像する主役が脇役として出てくる「文楽あるある」のとおり、実際は、明智光秀が主人公のお話です。(作品の中では「武智」という苗字になってます) 「本能寺の変」は言わずと知れた日本史最大のミステリーであり

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        ヌルい文楽鑑賞のすゝめ

          文楽で描かれる価値観に癒されることについて

          先日投稿した記事の続きというか、文楽に対する偏愛を語ってみようと思います。 文楽の演目で描かれるもの…よくあるのが、忠義のために自分の子供を殺す、という話。今の価値観だとありえないですよね。 それから、心中モノ。世間への義理を欠いたり面子が潰れてしまうと、もう生きては行けないから心中する、現世では結ばれないから来世に託して心中する…というのも多いです。 総じて、人間の命が軽いんです。つまるところ。 人権なんて無い時代のお話ですから… そのうえ、人形が演じるので、首を

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          文楽の『シュルレアリズムみ』について

          襲名披露公演を契機に、11代豊竹若太夫さんのインタビューがたくさん出てます。一貫して出てくるエピソードが「文楽ってシュールだ」ということ。私も常々、文楽の『シュルレアリズムみ』に惹きつけられてきたのですが、若いころは小説家を目指していたという若太夫さんならではの言語化には「さすが」と唸りました。 「人形という木片を焦点に共同幻想が生じて、五感を超える世界が展開される」 確かにそうなんですよね。現実をそのまま写し取る技術が当たり前の現代の感覚では、昔ながらの人形と、一人の太

          文楽の『シュルレアリズムみ』について

          着物で文楽観劇

          文楽の観劇を始めて早8年ほどになりますが、その時その時で楽しみ方が変わってきております。最近は着物を着ていくのが楽しみの一つです。 文楽は伝統芸能だけあって、お着物で観劇される方も普通におられるので、随分前から、「いつか着物で観劇したいなぁ」と思ってました。和装の方は、全体の1割くらいでしょうか。 遠い昔に茶道をやっていた頃に着物を着たことがあるので、10数年ぶりに着物で観劇にチャレンジしてからというもの、着物を着ることが文楽観劇の楽しみの一つとなっております。 私は、

          着物で文楽観劇

          「遠征」についてのあれこれ

          お芝居やライブなどのパフォーマンスアートにハマると当然ついて回るのが『遠征』。推し活用語として一般にも浸透しつつありますね。 ちなみに私は、8年前から文楽を見始め、関東在住なので、初めの5年間は半蔵門の国立劇場に熱量低く淡々と通ってました。3年前から急激にハマってしまい、そこで始めたのが遠征。SNSを見ると、大阪の文楽劇場に当たり前のように通う愛好家の方がおられるようです。 過去、宝塚が好きだった頃も多少の経験はあるのですが、友達と一緒に小旅行を兼ねたものだったので、一人

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          令和6年3月文楽入門公演 「BUNRAKU 1st SESSION」よみうりホール 

          国立劇場の新しい取り組み「BUNRAKU 1st SESSION」の観劇記録です。この公演は新たな取り組みで初心者向けの普及公演。普段とは違う形式で様々な工夫があり、とても楽しめました。 公演に先立ち、昨年末よりクラウドファンディングが実施されました。 舞台の背景をアニメーションにすることで大道具の搬送による会場の制約が緩まるので、そのための資金を集めたい、というのが、クラウドファンディングの趣旨。海外公演も視野に入れているそうです。 公演自体は約1時間で、半分はトーク

          令和6年3月文楽入門公演 「BUNRAKU 1st SESSION」よみうりホール 

          令和6年文楽地方公演「桂川連理柵」府中芸術劇場 2024年3月

          前回の地方公演にて「桂川連理柵」がとてもよかったのでリピートしました。 アラフォー既婚男性が14歳の少女と過ちを犯して心中する、というこのお話、現代の感覚でいうと完全アウトな設定なのですが、それを取っ払って浸れるのが古典の良いところ。とはいえ、この心中事件は江戸時代でもセンセーショナルだったそうで、人形浄瑠璃でお芝居になっただけでなく、歌謡になって流行したそうです。 前回、10月公演で初めて見た時は全く基礎知識なく見て、終盤のドラマチックな浄瑠璃とミステリアスな幕切れにす

          令和6年文楽地方公演「桂川連理柵」府中芸術劇場 2024年3月

          『THEフェニーチェ文楽 人形浄瑠璃文楽  HOMURAⅡ~怒群~ 文楽が表現する”怒”の世界』2024年3月2日

          8ヶ月ぶりに関西に文楽公演を見にいきました。 桐竹勘十郎さんの「HOMURA」というシリーズもの。去年も見にいきましたので2回目です。 チラシの画像がピンク色ベースで素敵。春らしくて気持ちが昂ります。このシリーズのチラシは前回も素敵でした。 文楽の主役級の女性が放つ情念ごとに演目をセレクトするシリーズですが、今回は「怒」。怒りのあまり大蛇や鬼になる女性の特集です。 特に人形の『かしら』(顔の種類)のなかでも、カラクリが仕込まれていて、美女から鬼女に一瞬で変わる「ガブ」と

          『THEフェニーチェ文楽 人形浄瑠璃文楽  HOMURAⅡ~怒群~ 文楽が表現する”怒”の世界』2024年3月2日

          「伽羅先代萩」令和6年初春文楽公演 国立文楽劇場

          配信で視聴しました。 またまた読めない題名・・・。「めいぼくせんだいはぎ」と読みます。 題名が読めないせいか、東京で観劇したことをすっかり忘れていました。どうやら2021年に国立劇場で見ていたようです。幼い大名がご飯が食べられなくて痛々しい話・・・というくらいの記憶しかなかったのですが、今回は、チラシ画像のインパクトと、老女形(中年女性)の名手の吉田和生師が「一世一代の覚悟」とインタビューでおっしゃっていたので、とっても期待していました。 乳人「政岡」という女性。大名の

          「伽羅先代萩」令和6年初春文楽公演 国立文楽劇場

          令和6年初春公演「平家女護島」 国立文楽劇場

          配信で視聴しました。 近松門左衛門作の時代物です。平家への反逆の罪に問われ、配流されたまま許されなかった俊寛僧都の悲劇を元にしたお話。絶海の孤島に一人取り残される流刑人の姿を描いたものです。 初めて文楽を見た時の演目なので思い入れがあります。今回で3回目。名作として残っているだけあって、初心者が見ても衝撃があるし、複数回見ても新たな味わいや発見があります。 ▼文化デジタルライブラリーの作品解説 そして、演者さん達にとっても非常に難易度が高い演目のようで、この演目を配役

          令和6年初春公演「平家女護島」 国立文楽劇場

          令和6年初春文楽公演「近頃河原の達引(ちかごろかわらのたてひき)」

          初春公演、遠征する予定でしたが諸事情によりキャンセルし、配信で堪能しました。 近頃河原の達引(ちかごろかわらのたてひき)  四条河原の段  堀川猿廻しの段 まずもって、題名の読み方がわからない。「ちかごろかわらのたてひき」。逢引?と見間違えますが、「達引」です(喧嘩という意味)。どのようなお話か、まったく見当もつかない題名です。(古典芸能ではよくあります・・・)1781年初演という説です。昔のお話で、有名な場面だけ残っている演目のようです。 どういう演目なのか皆目見当も

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          令和6年文楽二月公演「艶容女舞衣」日本青年館

          国立劇場閉場後の初の本公演、日本青年館にて。 二部の「艶容女舞衣」。処女妻お園のクドキが有名な演目で、お園のクドキの場面自体は何回か見てきたものの、演目そのものをしっかり見たのは今回初めてでした。 実は以前に、桐竹勘十郎師の企画の「道行の美学」という公演を見に行き、ボロボロ泣きまくった経験があります。 妻と愛人の葛藤を描いたお話なので、普遍的な要素あり、一方で、さまざまな解釈の余地があり拡張する懐の深さがあるお話だなぁと思いました。 この「道行の美学」は、「いつもお園

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          令和5年12月文楽公演「源平布引滝」文楽鑑賞教室「傾城恋飛脚 新口村の段」シアター1010 2023年12月

          『令和の大巡業』の初回公演(?)、初代国立劇場での公演が終了し関東は劇場を変えての公演。北千住は、長年通勤で使用している駅のため、個人的には愛着がありますが、やはり半蔵門に比べて遠い方もいらっしゃるのでTwitterでは評判を気にしていました。劇場のサイズや見やすさ、そして観劇後のお食事やお茶などのアクセス含め、総じて好意的なご意見が多かったので、嬉しいです。 私にとってはアクセスが良いこともあり、本公演「源平布引滝」は、初日と千穐楽、同時開催の文楽鑑賞教室は週末2日連続で

          令和5年12月文楽公演「源平布引滝」文楽鑑賞教室「傾城恋飛脚 新口村の段」シアター1010 2023年12月