妊婦・子連れで私は弱者側になった


京急大井町線 大井町駅のホームにつながるエレベーター

10段も無い階段の為に付いているエレベーター。このエレベーターを初めて見たとき、「こんなん必要か?」と笑い気味に思ったのを覚えている。
今はこのエレベーターが無いと、私は電車に乗れない。

妊娠9ヶ月に入った。そして上の子は2歳になったばかりである。2020年春に妊娠してから、秋に出産、そして今年第二子を妊娠、という流れの中、私は初めて「社会的弱者」という立場を経験した。

弱者側に立って初めて気付く事の多さ

今まで私は「普通に」生きてきた。普通に大学に行き、就職、仕事も出来る方で優秀、色々悩みはあるもののそれは殆ど自分自身の事ばかり。
妊婦や子育て世代への理解は普通にあると思っていたが、今考えると全く無く、子供が熱で仕事を休む主婦パートを迷惑がっていた。
そんな自分が全く狭い世界でドヤっていたのだと痛感したのは、妊娠をきっかけに弱者側に回ってからだった。
つわりの辛さは知っていたが、こんなにツライとは聞いていない。食べられない物の多さ、夜こんなに寝れないんかい!周りに何人も妊婦がいたはずなのに、全く知らなかった辛さのオンパレード。電車では一駅でも座りたい。

そして幼い子を連れての外出のハードルの高さ。ベビーカーは数センチの段差でもつまずく。エスカレーターは使えず、エレベーターはどの駅も行列で、混んでる時間の電車はかなり精神的にツライ(物理的に乗れない事も多数)。エレベーター自体が無い駅もあり、出発前にエレベーターでどうやって移動すればいいのかシミュレーションが必要。
以前は、「ベビーカーを持ち上げれば?」と思っていたが、ベビーカー、めちゃめちゃ重い。軽いのもあるけど、重い方が運転がしやすいのもあるし、新生児用のは重い。無理。
こっち側に立つとこっち側の言い分がめちゃめちゃある。
デパートとかの優先エレベーターに、1階以外(3階とか4階とか)から乗ろうとすると全然乗れない。1階で満杯。途中階でわざわざ降りて譲ってくれる人、ほぼいない。あまりに乗れないからもう出かけたくない。
そして今は子連れ+妊婦のダブルコンボ。

以前の自分を思い出すと、ほんと全くわかってなかった・・と恥ずかしく思う。妊婦に対して冷たい態度をしてきた事もあったと思うし、ほんと謝りたい。
この経験をきっかけに、妊婦子連れ以外でも、車椅子など、大変な人はたくさんいるんだな、という事に初めて目が向いた。知ってはいたが理解していなかった。
正直な気持ちとしては、全員一度妊婦を経験してほしい(男性も)。そうすれば世の中は一気に弱者への理解が進むだろう。でもそれは叶わないので、経験者が語っていくしかない。

人生の時間に余裕と余白を用意しておいてほしい

誰だって毎日すごく忙しいし、大変だ。私も知っている。しかし世の中の全員がいっぱいいっぱいだと、満杯のエレベーターの前で30分以上も絶望したり、もはや外に出る事が恐怖になってしまう人がいる事を知ってほしい。
以前ターミナル駅で大量の人に押し流されて、反対側に渡れなくなっている車椅子の人を助けた事があった。あれもたまたま私がその時、時間に余裕があったから出来た事だと思う。

特別な事は何もいらないけど、余裕のある日は少し早く家を出るなど、少しだけ余白を作って行動してほしい。それだけで誰かを手助けしたり、エレベーターを譲るくらいの余裕が出るはずなのだ。
10段の階段を降りる為に、エレベーターに行列を作っている人の事が見えてくるはずだ。


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