安田菜津紀(フォトジャーナリスト)
記事一覧
「在留資格がない方が悪いでしょ」という声に
なぜこれほど、「真相解明」から遠のいていくのだろうか。
3月6日、スリランカ出身のウィシュマ・サンダマリさんが名古屋入管の収容施設で亡くなってから、半年が経とうとしている。
8月10日に入管庁が公表した、ウィシュマさんの死についての「最終報告書」は、「最終」というにはほど遠いものだった。施設の医療の制約の問題など、表面的な問題をなぞるに留まり、そもそもの収容のあり方や制度の見直しには切り込んで
ホロコーストを知るための映画、本、児童書
東京五輪・パラリンピックの開会式・閉会式で「ショーディレクター」を務めるはずだった小林賢太郎さんが、過去に「ユダヤ人大量虐殺ごっこ」など、ホロコーストを揶揄するコントを制作していたことが問題視され、解任されました。
私は小林賢太郎さんの独り舞台を見に行ったことがあり、影や音を駆使して小さな空間を巨大に見せる手法に感銘を受けたことがありました。今回、「彼のような才能をつぶしてはいけない」と小林さん
「撮らずに助けるべきだ」について
警官に抑え込まれるジョージ・フロイドさんを撮影したダルネラ・フレーザーさんが、ピューリッツァー賞の特別賞に選ばれました。
彼女の撮影した動画はSNSを通して拡散され、全米、そして世界で「BLACK LIVES MATTER」のスローガンの元、構造的な差別の問題に抗議活動が広がるきっかけの一つとなりました。
「権威」としてのピューリッツァー賞のあり方自体に疑問はありますが、それについては別の記事
cakesの人生相談連載に思うこと。
「cakes」での写真家、幡野広志氏による相談連載「幡野広志の、なんで僕に聞くんだろう。」で、4月26日に公開された記事に多くの批判の声が寄せられました。
記事は、14歳の中学生から寄せられた相談への回答で、幼馴染が家庭内暴力や金銭搾取を受けているなどといった悩みに対するものでした。
これに対して幡野氏は「キミの友達が悪いとはまったくおもいません。ただ若いだけ。そして環境に恵まれなかったという
「身近ではない」から報じないのかー「JAM THE WORLD」終了に寄せて
6年間、お世話になってきたJ-WAVE「JAM THE WORLD」が、3月31日で幕を閉じることとなりました。番組自体が積み上げてきた歴史は20年近く。リスナーさん、出演者さんには大きな感謝を抱いています。
私が担当している水曜日は、スタッフさんたちと相談をしながら、社会的マイノリティーの方々のこと、福祉の問題に重点的に取り組んできました。
それは、芸能ニュースやスポーツの話題のように、必ず
「なんだ、彼氏のことか」と言われて
10年前の3月、海辺からどこまでも広がる瓦礫を前に、ただ茫然と立ち尽くした。岩手県陸前高田市は、市街地が壊滅的な被害を受けていた。私自身は神奈川県の出身だ。ただ、あの当時、夫の父、母が暮らしていたのがこの街だった。
義理の父は病院の4階で津波にのまれながらも、なんとか助かることができた。けれども義理の母は、震災から1ヵ月後、川の上流9キロ地点の瓦礫の下から発見された。
震災当時、私たちは婚姻届