福田 鼠

物書き。小説、ノンフィクション。南米、アフリカを自転車で旅して、建築の仕事をして、現在…

福田 鼠

物書き。小説、ノンフィクション。南米、アフリカを自転車で旅して、建築の仕事をして、現在は大工見習いとして人の住まいを研究しています。

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  • 山小屋の日々

  • 個人的に面白いと思った小説

    読んで面白かった小説を備忘録的にストックします。あくまで僕が個人的に面白いと思ったものです。

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①ウツとアフリカ 阿呆自転車其ノ参(長編 紀行小説)

阿呆自転車3 ウツとアフリカ 福田 鼠 【オーディオブックはこちら】 https://youtu.be/aLPnJ8l3DQE 忙しい方はよかったらオーディオブックでながら聞きして下さい。朗読は素人なので噛むところ多いですが、ご容赦下さいませ。  はじめに 話が始まる前にお願いがあります。  もし、あなたがこの話を読んで、何か感じるものがあれば、アフリカに関する寄付を千円お願いします。  この本は無料で公開しますので、本代を私に払う代わりに、アフリカに寄付して欲しいのです

    • 今日が一番若い日だから、上棟をがんばる[大工さん修行日誌]

      36歳からの大工さん修行。 もうじき三ヶ月が経つんだが、一つ問題を抱えている。 上棟が怖いのだ。 そして、明日は上棟なのだ。 そんなわけで上棟の怖さを克服するための日記を書いてみる。 そんなことしてないでさっさと寝て明日に備えた方が良い気もするけど。 ーーー 上棟とは棟上げとか建て方とか建て前とか呼び方はいろいろあるんだけど。 とにかく家の骨組みを一日で立ち上げる作業のことを言う。 住宅の工事はまず基礎屋さんが基礎を作ってくれて、そこから大工さんが土台の木を敷く。 そ

      • 一ミリの誤差とトゲ[36歳からの大工修行日記]

        大工さんも気付けば11週目くらい。もうすぐ三ヶ月だ。 天井の下地を組んだりも出来るようになってきたし、メートルよりも尺の方がしっくり来るようになってきた。 ちなみに、細かいところは尺で見るよりもmmで見る方が具合が良い。一番小さい目盛りが、五厘=1.515ミリメートルだからだ。 たった0.5ミリの差だと思うかもしれないが、ピッタリ入るのと、0.5ミリ隙間ができたり、0.5ミリ大きくて入らなかったりすることもある。 もう少し正確に言うと、まだまだ下手くそなので、目盛りを読むと

        • 良い住宅は愛着の問題

          写真は自転車ラック。 現場で余った木に穴開けて、余った手すりの丸棒をさしているだけ。 塗装した方が長持ちするけど、まあ、そこは要検討。 大工さん修行しつつ、住宅についてあれこれ考えてみている。 最近、ふと思ったのは、良い家の本質というの利便性とかではないということだ。 アイデンティティの確保ということだろう、と。 自分でもまだよくまとまってないから、アイデンティティとかわけ分からん横文字を使ってみるけど。 本質は利便性じゃないというのは、近年流行りの家事が楽とか、断熱が良

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        ①ウツとアフリカ 阿呆自転車其ノ参(長編 紀行小説)

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          シンプルな人間関係に明確なゴールの仕事[36歳からの大工さん修行日記 9週目くらい]

          [36歳からの大工さん修行日記 9週目くらい] 何だかんだで二ヶ月が経って、いろいろと慣れて来た。日々、楽しい。 写真は現場で余った間柱(30×105ミリの木材。メインの構造を支える105×105ミリの柱の間に立っていてボードを支えるためのもの)で自宅の家庭菜園コーナーを拡張したところ。 丸ノコで欠きこんで四角の枠にしているだけ。 単に土を区切るだけなので、塗装とかはなし。すぐに腐るだろうが、畑の境が分かれば良いだけなので。防腐の塗料って買うと高いし。 間柱も買うと高い。

          シンプルな人間関係に明確なゴールの仕事[36歳からの大工さん修行日記 9週目くらい]

          小屋の覚え書き

          最近、自宅の庭に小屋を作ることをよく考える。 大工さん修行をしてるんだから、やっぱり自分の家を建てたい。とはいえ、自宅はすでに住宅営業時代に建築済み。それなら小屋。 理想としてはこんな感じ。 ・端材や余りで作る ・修理、解体が容易 ・外観が美しい ・ステンドグラスの光が高いところから差し込むと嬉しい ・しとみ戸で大きく開けることもできる ・お茶が美味しい空間 ・コンパクトであること ・断熱などは不要 ・出来ればなにか面白い構造で作りたい あくまで個人的な妄想の域を出ない

          小屋の覚え書き

          大工さんになって二ヶ月で出来るようになったこととまだまだなこと。[36歳からの大工さん見習い日記 8週目]

          36歳からの大工さん転職シリーズ。 かれこれもうすぐ二ヶ月だ。 二ヶ月でどんなことが出来るようになることと、まだ難しいと思うことを書いてみる。 ーーー 丸ノコがちょっぴり怖くなくなる。 丸ノコって、結構怖い。 そもそも最初は安全ボタンを押しながら引き金を引くのが上手く出来なかった。 一発で指が飛ぶくらいのパワーがあるし、刃が噛むとキックバックといって飛んで来る。 若い頃にそれで指を落としかけた。 正しい使い方をして、刃の手入れをきちんとしていれば、キックバックはしないの

          大工さんになって二ヶ月で出来るようになったこととまだまだなこと。[36歳からの大工さん見習い日記 8週目]

          大工さんになったら本を読むことが増えたこと。

          36歳からの大工さん転職シリーズ。 かれこれもうすぐ二ヶ月。 丸ノコでまっすぐ切るとか、まっすぐに木を打ち付けるとか、一年生レベルの技術を徐々に覚えつつある。 難しい。 まあ、大工さんに限らず。 絵を描くには線を思い通りにまっすぐ引ける。 クラシックギターを弾くなら一音一音を綺麗な音を出す。 料理をするなら適切な調味料を適量入れる。 そういう基本的な動作が一番大事で、覚えるのが難しかったりするんだろう。 ーーー 大工さんを始めてから、本を読むことが増えた。 なぜかは分から

          大工さんになったら本を読むことが増えたこと。

          三倍の家を作っても三倍の収入にはならない時代[36歳からの大工さん見習い日記7週目]

          36歳からの大工さん転職日記シリーズ。 かれこれ一ヶ月半が経つ。 まだまだいろんなものがまっすぐにならない。 「大工は下地だぞ。下地が綺麗に作れてりゃ、あとはその通り仕事していけば綺麗に完成する」 70を過ぎたおじいさんに教えられる。 見えなくなる部分が大事なのだ。 今回は道具が良くなって仕事は三倍の速さになったのに、三倍のお金はもらえないということについて考えてみる。 あんまり大工見習い日記らしからぬ内容ではあるけど。 昔と比べると家を作る大工さんの仕事は物凄く時間が

          三倍の家を作っても三倍の収入にはならない時代[36歳からの大工さん見習い日記7週目]

          金と時間じゃない仕事にとって大事なもの[36歳からの大工さん見習い日記 6週目]

          春だから眠いんだか。こちらもやっと桜が咲き始めた。 くたくたで毎日眠いんだか。 昼も夜も寝てばかり。 どこかの筋肉痛がおさまると、別のところの筋肉痛がある日々。 親方に話すと、最初の半年はそんなもんらしい。 「半年ほどしたら、楽になってくるで!」 筋肉がついたり、大工特有の体の動かし方が分かってきて、そんなにしんどくもなくなるそうな。 でも、50歳くらいになると、肩や肘、腰なんかが痛くなるそうな。大工さんの仕事で重いものなんか持つから仕方ないらしい。 若い頃に力任せに無理

          金と時間じゃない仕事にとって大事なもの[36歳からの大工さん見習い日記 6週目]

          余り物の家があっても良いと思った[36歳からの大工さん見習い日記]

          大工さん見習いをしていて思うのが。 随分と無駄に捨てるものが多いのと、新品主義。 捨てるものが多いというのは余りの材料だ。 特に多いのが、面材。 面材というと、板だ。 最近の住宅は板が多い。昔は筋交いという斜めの木で構造を取っていたのだが、最近は板で構造を取る。 これが多く来る。 足りなくてまた運ぶにもカサも大きいし、重いので、少し多目に取るのだが、基本的に余る。 これが、意外と安くない。 一枚数千円するのだが、何枚も破棄する。 材料屋さんが回収すれば良いようにも思うが、ト

          余り物の家があっても良いと思った[36歳からの大工さん見習い日記]

          大工さん目線の良い家とお客さん目線の良い家 [36歳からの大工見習い日記 4週目]

          写真は現場で出た木の余りで作った、子どものための飛行機。まだ、作っている途中。木の余りでおもちゃを作ると、子どもが乱暴に遊んでも良いし、助かる。 「どう? 大工に転職したのもう後悔してきた?」 建て方でかわいがってくれる大工さんがニヤニヤしながらいってくる。建て方の時は8人くらいの大工さんが集まって仕事をするので、建て方の時にしか会わない。 「いや、毎日、楽しくやらせてもらってますよ!」 強がりではない。日々楽しい。 とは言え、毎日肉体的にはつらい。 高いところも怖い。

          大工さん目線の良い家とお客さん目線の良い家 [36歳からの大工見習い日記 4週目]

          大工さんは死ぬのか?危ないのか?[36歳からの大工さん見習い日記 三週目]

          36歳からの大工さん。三週目でございます。 三週になると、いくらかは仕事にも慣れてきて、エアーの釘打ち機や、マルノコなんかの危険な工具にもいくらか慣れてきました。 文明の利器ですよね。片手で一瞬で釘が打てちゃうってスゴイ。片手で釘が打てるってことは、片手で木材を抑えながら打てるってことで、これ、結構すごいことなんですよ。 とはいえ、大工さんって本当に一軒の家が完成するまでにやることが多くて、全然、仕事を覚えてないんですけどね。笑 まあ、焦らず、ぼちぼちやっていきます。 ー

          大工さんは死ぬのか?危ないのか?[36歳からの大工さん見習い日記 三週目]

          なぜ大工さんたちは茶飲み話が上手なのか[36歳からの大工見習い日記 二週目]

          36歳から大工さんを始めた日々の記録。 大工さんをしてみて一番思うのが、お茶の時間の話が楽しい。おもしろい。別に大した話はしないのだが。 それにしても、なぜ大工さんたちはそんなに話が面白いのか? 茶飲み話のプロだからじゃないかと思う。 大工さんにもよるんだろうけど、僕こところは7:40から準備なんかして、仕事が始まる前に朝の一服がある。 お茶を飲む。冬なのでポットなんかで熱いお湯を沸かして、ブレンディーの個包装の粉のコーヒーやらココアやら好きなものを飲む。茶菓子もある。

          なぜ大工さんたちは茶飲み話が上手なのか[36歳からの大工見習い日記 二週目]

          0.1人前と仕事に行くのが楽しいのと速くて綺麗な仕事[36歳からの大工修行日記 一週目]

          36歳から大工さんを始めるおじさんの日記シリーズ。 いよいよ36歳からの大工さんが始まりました。 とにかく親方が優しくて、男気があって、技術も素晴らしい。何の心配もなく働ける。 仕事に行くのが楽しい。 そして、大工さんの仕事は思っていたよりも、筋肉が必要。自転車とランニングが好きな僕でも筋肉痛。ただ、これは動作に慣れると大丈夫らしい。 覚えることも多い。 釘やビスの長さなんかも場所によって違うし、打つピッチも違う。 道具の使い方も難しい。 丸鋸もネイルガン、釘を打つ機械も危

          0.1人前と仕事に行くのが楽しいのと速くて綺麗な仕事[36歳からの大工修行日記 一週目]

          A老人とシェルパの石の積み方<山小屋の思い出>

          若い頃四シーズン山小屋にいたころの楽しかった思い出のお話シリーズです。 今回はA老人とシェルパさん。 A老人は、小柄な、信州なまりのきついおじいちゃん。最初、僕が山小屋に行った時の支配人をしていた人である。 老人なので、口数が少ない上に、たまにしゃべっても声が小さくて、活舌が悪い上に、信州なまりが強くて、何を言っているんだかよく聞き取れない。それで、指示がよく聞き取れなくて、ちょくちょく怒られた。 山小屋の仕事は過酷だ。日々の生活がストイックだし、病院もない。力仕事もある。

          A老人とシェルパの石の積み方<山小屋の思い出>