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【なかがわよしのの61曲カヴァー企画】「The Rockafeller Skank」Fatboy Slim

馬車馬のように夜通しで踊ったあの夜のことを光一は明確には覚えていない。いつもなら酒を片手に女漁りをするのだったが、その夜だけは音楽に身を捧げた。ミラーボールがまわっていたのか覚えていない、でも踊りまくった記憶だけはある。女から肩を叩かれてナンパされても無視して踊っていたんだ。その理由を記すことほど野暮なことはない。光一は時計を見ることも忘れて、気持ちよく跳び跳ね、冗談半分でツイストし、両腕を突き上げたりした。あの夜に限っては女と寝ることより音楽が気持ちいい気がしてしまった。

だから音楽が鳴り止んだのも突然で無理もない。DJのサイレン音が延々と鳴り響き、ステージ上手からモクモクと煙が雪崩れてきて、爆発音のあとに火が見えた。「光一くん、逃げよう!」とその腕を引っ張ったのは、ナンパしてきた女。なぜ自分の名前を知っているのか、悩みながら脱出したので、記憶は曖昧。死ななくて良かったとさえ危機感が欠如。

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https://open.spotify.com/playlist/5rB5QR6w01DrYgGc8klsln?si=LIeuWnfoTW2zE-il6s7jDQ

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