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TVで教育虐待と受験について解説しました<文字起こしをつけました>

HOME広島ニュースに出演しました。
【子育てと学ぶ】教育熱心と虐待は紙一重?中学受験は三重苦?子どものストレスに要注意(カミコとマナブ)

13:21~6分半ほど解説しています。倍速で聞けると思いますので、3分くらい。よろしかったら、ご覧ください。

画像ほど、毒々しい感じの内容ではありません(笑)
30分程度お話ししたのですが、使われたのは6分半ですので、4分の1以下でした。ちょっと残念。社会的マルトリートメントの話などは入っていませんでした。


以下、文字起こしです)臨床心理士に聞く!教育虐待?教育熱心?

*受験と教育虐待の関係について武田信子先生に話を伺っています。
教育虐待っていうのはどういうものなんですか?

簡単に言うと、教育やしつけを名目として虐待をすることです。
スポーツであれ音楽であれ勉強であれ、
本人がもうやりたくない、もう無理だという風に言っているにも関わらず、
さらにもっとやりなさい、もうちょっとやりなさい、
もうちょっとちょっとちょっとちょっととっていう風になっていく感じで、
どんどんどんどん子供が追い詰められていってしまうというのが
教育虐待の特徴です。

*教育虐待と中学受験に関係はあるのでしょうか。

受験によって努力の過程で子供の心が壊れてしまう。
本当はそこで考えて何か別の方法を探さなければいけないんですけれども
とにかくいい環境の学校に入れたいという親心で
多くの子供たちが苦しんでいるという状況が、現実的にはあると思います。

*頑張っても頑張ってもなかなかいけないようなところを目指させるということになると、これは虐待に繋がっていきますね。
教育熱心と教育虐待の違いは何なんですか?

子供がNOが言えるか言えないかだと思います。
最近私がよく使う例で言うと、
お子さんに、これ美味しいから食べなさい、心こめて作ったから
とかって言って食べさせると、
子供は美味しそうと言って食べ始めるわけです。
もうお腹いっぱいっていうふうに言うと、
もう1品作ったからって、
そこに出てないもっと美味しいもの見せるわけです。
そうすると、一生懸命にその子は食べますよね。

子供がもう無理って言ってるんだけど今度はデザート出すわけですよ。
子供はそれが親の愛情だと思うから、僕のために私のために作ってくれたんだから全部平らげなきゃって思って、頑張って食べるわけですね。
それで途中でお腹痛いって言ってトイレに行って戻ってくる。
そうすると、もう1つどうぞみたいな感じですよね。

これは、どこまでが愛情でどこから先が愛情じゃないかとか
どこまでが熱心でどこから先が虐待かってすごく言いづらい。
ただもうトイレに行くっていう時点で苦しめてますよね。
愛情と言っているものが、
本人がもう苦しいと思ってしまった時点で虐待に変わりうる。

教育熱心と虐待は紙一重です。
子供は親の期待に答えようとできない自分をせめてしまいがちです。
学力が足りない。もっと勉強すれば親の期待に答えられるのに自分ができないからこんなに苦しいんだ。だからもっと我慢して強くならなければならない。そのぐらいに子どもは親の愛を一生懸命受け止めとうとするんですよね。
その最中には、加害者も被害者も気がつかないというところがこの問題の大きさにつながってるだろうと思います。

*親から気づかぬうちに行われる教育虐待。
しかし武田先生は日本の教育自体がより広い概念での教育虐待、エデュケーショナル・マルトリートメントだと継承を鳴らしています。

エデュケーショナルは、教育的な、
マルトリートメントは、ひどい扱い、という意味なんですけれども、
教育とか試験とかっていう理由で、
親以外の人からも、学校の先生であるとか塾の先生であるとか街中の人が
みんな、子供たちに対して、あなたのためにねって。

あなたがアナウンサーとして、素晴らしいアナウンサーになるために言ってあげるのよみたいな感じで、みんなからずっと言われ続けたら、それはめげますよね。

*いや、間違いないですね。

つまり日本社会の価値観が、教育という名前の下に
みんなが子供たちを抑えつけて勉強させようとしている。
そういう状態ですね。

*子供のためという大義名分のもとに勉強を強いる日本。
武田先生は子供のためにも見直す時期に来ていると言います。

学校やクラスにはいい先生はいらっしゃるし、
そんな教育ではない教育をしておられる方も相当数いると思います。
だけれども不登校が29万9000人。
断続的な不登校とかそういうことも入れるとおそらく100万人とか
そういう人数が学校に行けていない状態だと思うんですよ。
それで自殺も数百人ということになってくると
子供たちが本当に日本で幸せに暮らせてるのかどうかということを
振り返って見る必要がある時期に来てしまっているんではないかな
という風に私は思っています。

************
最近、他の民放からもまたお話があったのですが、タイミングが合わず……

遅かれ早かれ、この概念は広がっていくと思いますが、
言葉の印象から誤解を受けているところもあるので、
この番組の文字起こしや、これまでに書いてきた noteなどを読んで、
理解していただけるといいなあと思っています。

※ こんなことを聞かれるかなということで、事前の質問事項をもとに、書いておいたメモもここに残しておきます。

Q 教育虐待にはどんな特徴がありますか?
 虐待というときイメージされる一回や二回の激しい行為ではなく、じわじわと積み重ねられ、その結果として、複雑性トラウマ:PTSD(心的外傷後ストレス障害:Posttraumatic Stress Disorder)をもたらすような心理的な教育虐待も、日本やアメリカ、アジアやアフリカの都市部のような競争的な社会には特徴的です。
 親も子もそれが自分たちの人生に必要なことだと思い込んでいて、加害も被害も認識しにくい。特に親自身が、さまざまなトラウマやプレッシャー、ストレスを抱えているときに子どもを自分の代理に仕立てて競争してしまう。しかもそれが子どもにとって愛情である、「良かれと思って」いる、ということが特徴です。

Q 教育虐待が起こってしまう背景は?
 他の人よりも、経済的に裕福でステータスの高い位置にいくことに価値があるという価値観 そこそこに食べていけてみんなと仲良く暮らせればいいというような価値観もあるけれど、それでは甘い。上に行かなければ、と思う。そして自分の子どもの幼少期から競争、比較、評価をする。
 というのも、育てた責任が育てた者(親や教師といった大人)に行くため、育てる人にプレッシャーがかかっているからです。 

Q 中学受験と教育虐待の関係性は?
 子どもが経済的にも生活能力の上でも価値基準についても、親に依存していて、NOが言えない状態で、競争が強いられる。

Q教育虐待をしてしまわないために、どのようなことを気を付ければ良いですか?
 日頃から、子どもが自分の顔色をうかがって忖度しなくていいように、お互いに対話できるデモクラティックな関係を作ること。

Q教育虐待を受けた子はどうなりますか? 
 結果的に成功すると、感謝されることはありますが、精神的に病んでしなうほどまでだと、不安を抱えた人になります。物事がうまく行かないときにうつ状態になりやすかったり、成功しない、完璧でないと自分を責めて、いつも上を目指して苦しんでいる人になりやすいと思います。
 一方で結果的に成功できないと、ずっとそのために自己肯定感が低くなったり、いじけるというかおどおどするというか、何事にも自信をもってチャレンジすることが難しくなります。また、自分が大人になったときにリベンジしようとして、次の虐待を生む可能性もあります。

 加害に至るにはワケがあり、そのワケを一般市民が理解しなければ、虐待はいつまでもなくならないでしょう。

※ 写真は、室伏淳史さんに提供していただいています。

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