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企業版キラキラネーム戦国時代に、共感を呼ぶ社名変更とは。例えばMIXI。

海外展開、経営統合、業態転換、多角化。
企業の成長戦略の延長線上の社名変更もあれば。
 
親会社が変わった、悪い印象を払拭したい。
必要に迫られた社名変更もある。
 
いずれの場合も、その会社が再び成長するための、まさに社運をかけた取り組みが、社名変更だ。


社名変更が10年で2倍超 業態変革へ覚悟、市場も圧力(2024/3/23 日経新聞)

記事にはこうある。

  • 19〜23年までの5年間で社名変更した企業数は延べ1630社と、09〜13年までの5年間と比べ2.3倍だった。

  • 大きな変化の一つが、資本効率の向上を企業に求める株式市場の圧力の高まりだ。東京証券取引所が15年にコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)を定め、株主目線の経営が強まり、企業の事業再編が広がった。

収益性が低い事業を切り離せば、切り離した側も切り離された側も、「うちは何やる会社なの?」の行きつく先が、社名変更なんだろう。

社名変更の動機① パーパス経営の浸透

記事にはこうもある。

  • もう一つ、企業の社名変更の動機として専門家が挙げるのがパーパス(存在意義)経営の浸透だ。

  • 対外的な環境変化で、業態にとらわれずパーパスを軸に、新たな次元に変化しようとする企業が増えている。

最近、カタカナに疲れ気味である。
やれミッションだ、ビジョンだ、バリューだ、そしてパーパスだ。いやいや大事なのはフィロソフィーだ。一体全体、こいつらを皆が分かるように伝えられる人はいるのだろうか。かくいう私も、暗中模索である。

社名変更の動機② 海外展開の加速

カタカナといえば、極めつきはこれだ。

  • 最近の社名変更の傾向を分析したところ、海外展開の加速で英語でも表記しやすいカタカナを使った社名が増えている。

  • 特徴的なのが造語だ。世界で使える名前にするには、世界中の商標登録を確認し未登録の言葉を選ぶ必要がある。

  • 一般語を使った名称で取得するのは難しく、2つ以上の単語を独自に組み合わせた造語が増える傾向にある。

企業版キラキラネーム戦国時代

かくして、記事中に登場する、社名変更の代表企業は...

カナデビア、エターナルホスピタリティグループ、artience、SWCC、ロジスティード、プロテリアル、レゾナック...

いずれも、旧社名を聞けば「おお、あの会社か」という、押しも押されもせぬエクセレントカンパニーばかりである。社名変更の意図も由来も、エピソードはどこの会社も深いのである。

ただ、どうしても、一世を風靡したキラキラネームを想起してしまうのは、私だけだろうか。

男くん、心姫ちゃん、紅葉さん...
彼ら彼女らの場合は、漢字が読めない「難読」なわけだが、幸い、意味は通じる。企業版キラキラネームは、社名は読めるが意味が分からない「難解」である。

大事なのは、共感を呼べる社名になっているか。

記事にはこうもあるのだ。

  • 時に数十億円規模のコストがかかる社名変更。新社名が浸透せず「変えない方がよかった」「結局、旧社名で営業している」とこぼす企業も少なくない。

  • どれだけ共感を呼べる社名になっているか意識すべきだ。

  • 社名に蓄積してきた伝統と信頼を受け継ぎつつ、変革の旗印になるような社名選びが欠かせない。

冒頭で、コーポレートガバナンス・コードの記事に触れたが、同コードは何も、株主だけのことを語っていない。株主以外のステークホルダーも同様に大事にすべきだとあるのだ。
独りよがりではなく、共感を得られる社名変更とは何なのか。

例えばMIXI(ミクシィ)

記事は3月22日の日経MJ。見出しは”世界で「みてね」MIXI今度こそ”である。mixiがダメでもモンストで復活、モンストの成長が一服してもみてねで再成長、不死鳥のように蘇るミクシィ、おっと失礼、MIXIである。

2022年、ミクシィからMIXIへ。

私が20代の頃、SNSといえば、Facebookでも旧・Twitterでもない、mixiだった。運営会社はミクシィ。社名の由来は、人(I)が交流する(MIX)。
一世を風靡したが、FacebookとTwitterが上陸したとたん、瞬く間に撤退を余儀なくされた。専門用語でいうネットワーク外部性(ユーザーが多ければ多いほど価値が高い、そして高まっていく)というやつだ。
そのミクシィは、2022年、MIXIに社名変更する。変更理由は公式HPにこうある。

  • 企業として一貫性のあるブランドを浸透させ、国内外での信用を高めるため、ロゴ表記と社名表記を統一する。

共感を呼べる社名変更とは、かくあるものだ。

記事で、創業者の笠原さんはこう言っている。

  • SNSのmixiで味わった悔しさみたいなものはある。

  • コミュニケーションのインフラとなるようなサービスを生み出したいとか、モンストに続く柱を作りたいとか、自分を含めてそういう思いを持っている社員は多い。

だったら、大変失礼ながら、ちょっとマイナスイメージのあるミクシィの社名にこだわる必要はあったんだろうか、とも思ってしまう。
ただ、笠原さんはこうも言っているのだ。

  • 自分は社名変更の議論に関わらなかったが、過去の成功も失敗も受け止め、それでもコミュニケーションサービスを作るという決意の表れと受け取った。

  • 自分もそこに共感していて、いろいろあったけど、もしくはあったからこそ『株式会社MIXI』で新しいサービスを成功させたい。

SNSのmixiも、ソシャゲのモンストも、写真共有のみてねも、その根源は、社名の由来、人(I)が交流する(MIX)ことにある。そこを変更する理由は何もない。
ただ、mixiやモンストで果たせなかった海外での成功を、みてねで果たしたい。そのために、ミクシィからMIXIに、社名変更する。

キラキラではないかもしれないけれど、そんな姿勢は共感できる、応援したくなる。そう想って、スマホを閉じました(おしまい)。

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