クループの重症度評価とWestleyスコア

・Westley scoreは1978年によってWestleyらによって作成されたクループの重症度スコアであり(*1), 特に臨床試験でのクループの重症度を評価する上ではよく用いられている(*4, *5).


・Westley scoreではクループの重症度を意識レベル, チアノーゼ, 喘鳴(stridor), 空気の入り(air entry)および陥没呼吸の5つの因子で評価する(表1).
これらのスコアを合計して重症度を判断する.

(表1: Westley score)

・合計スコアは2点以下が軽症, 3-7点が中等症, 8点以上が重症と規定されている.


・Wesley scoreの5つの評価項目はいずれも症状・診察所見によるものであるため観察者によってスコアにある程度ばらつきが生じることが示されている(*3).
・個々の因子としては, 喘鳴(stridor)や陥没呼吸は比較的ばらつきが小さく信頼度が高い可能性が示唆されている.


・Westley scoreによって軽症から重症まで分類されるが, これらは治療効果を評価することを目的とした臨床試験でよく用いられる一方で, 個々の因子, 合計スコアがどの程度臨床転帰と関連するかについてはほとんど知られていない.
・それぞれの因子について評価したYangらに報告では以下のことが示唆されている:(*2)
 ・チアノーゼと意識障害は重症クループの児においては臨床的意義が乏しい可能性がある.
 ・陥没呼吸とair entryは臨床転帰の予測における主要な因子である
・またYangらに報告ではWS scoreと転帰に関しては以下についても報告している.(*2)
 ・最初のWestley scoreは病院滞在期間と相関性がみられた
 ・最初のWestley scoreが2点未満では帰宅できる可能性が高かったが, Westley scoreが5点以上ではさらなる治療のために入院となる割合が高かった.


Westley scoreは重症度判定のツールとしてはよく知られてたものである一方で, 実臨床においては用いるには評価が十分に定まっていない点もある印象がある. そのため筆者は, その他の重症度の分類においてよく知られているAlberta Medical Associationのguidelineの分類(表2)も併用して重症度の評価を行なっている(*6).

(表2: Alberta Medical Associationのガイドラインでの重症度の評価)

Reference

1) Westley CR, Cotton EK, Brooks JG. Nebulized racemic epinephrine by IPPB for the treatment of croup: a double-blind study. Am J Dis Child. 1978;132(5):484-487.
2) Yang WC, Lee J, Chen CY, Chang YJ, Wu HP. Westley score and clinical factors in predicting the outcome of croup in the pediatric emergency department. Pediatr Pulmonol. 2017;52(10):1329-1334.
3) Khemani RG, Schneider JB, Morzov R, Markovitz B, Newth CJ. Pediatric upper airway obstruction: interobserver variability is the road to perdition. J Crit Care. 2013;28(4):490-497.
4) Ausejo M, Saenz A, Pham B, et al. The effectiveness of glucocorticoids in treating croup: meta-analysis. BMJ. 2011;319(7210):595-600.
5) Parker CM, Cooper MN. Prednisolone Versus Dexamethasone for Croup: a Randomized Controlled Trial. Pediatrics. 2019;144(3):e20183772.
6) Guideline for the diagnosis and management of croup. Alberta, ON, Canada: Alberta Medical Association. 





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