熱性けいれん診療ガイドライン 2023 改訂のポイント (工事中)

2022年12月に「熱性けいれん(熱性発作)診療ガイドライン 2023」が公開された. 2015年の旧版のガイドライン公開から7年超を経た改訂となり, その期間中に発表された様々な知見, あるいは提唱などを踏まえた内容となっている.

大小さまざまな点について変更されているが, 今回個人的に思った改訂ポイントについて以下で述べていくこととする.

主な改訂ポイントの概要

1. 熱性けいれんという病名に一部で熱性発作という病名が併記されるようになった
2. 単純型・複雑型熱性けいれんという概念は元々てんかん発症に関連する因子の一部を取り上げて提唱された分類であること, 3要素を同一に扱うことには課題があることが強調されるようになった
3. 熱性けいれん重積の定義に用いられる持続時間が2段階で設定されるようになった(薬物治療開始を考慮すべき基準(time point 1: t1)を5分, 長期的な後遺症にも注意すべき重積状態の基準(time point 2: t2)を30分と定義した)
4. 熱性けいれんの遺伝・遺伝子という項目が追加された
5. 熱性けいれんの再発頻度と再発予測因子の「熱性けいれん家族歴」に同胞が追加された
6. 熱性けいれん後のてんかん発症関連因子として「3歳以降の熱性けいれん発症」が追加された
7. 髄液検査を積極的に行うことを考慮する条件として「遷延性の有熱時発作」が追加された
8. 有熱時発作を認め受診した児において, 急性脳症との鑑別を要する際は, 血清AST, ALTなどの生化学検査および血糖値などを考慮することが新たに言及されるようになった.
9. 熱性けいれん重積状態の初期治療薬としてロラゼパム静注, またはミダゾラムの口腔投与の選択肢が追加される. また参考投与量の記載も追加された.
10. 脳波検査はのちのてんかん発症の予測に有用である可能性があることが記載されるようになった(予防における臨床的意義が確立されていないことは変わらず)
11. 脳波検査は熱性けいれん再発の予測に有用である可能性があることが記載されるようになった(予防における臨床的意義が確立されていないことは変わらず)
12. 熱性けいれんを起こした小児での脳波異常の特徴についての記載が追加された
13. 脳波異常がみられやすい熱性けいれん患者の臨床的特徴について言及されるようになった
14. 熱性けいれん後の脳波検査時期について, 「発作後7日以降」と具体的な期間が明記されるようになった
15. 「どの患者に脳波検査を行うか」について明記されなくなった
16. 急性脳症との鑑別に脳波検査が有用である旨の記載が「脳波検査」の項目・要約でみられなくなった(CQ2-2の解説文では言及あり)
17. 熱性けいれんの既往児についての予防的な抗てんかん薬使用に関して, 要約で「熱性けいれんの良性疾患という観点と高い有害事象の出現から」という点が強調されるようになった
18. 予防的な抗てんかん薬の継続的内服に関して, トピラマートの内容が追加された.
19. 熱性けいれんの既往児の発熱時の解熱薬に関して, 要約で, 一般的な解熱目的での解熱役使用に関しては, ほかの発熱性疾患と同様に行ってよいことが強調されるようになった
20. 熱性けいれんの既往児の発熱時の解熱薬に関して, システマティックレビューから推奨の決定の過程などが詳細に記載されるようになっていた.
21. ワクチン接種時の発熱率に関して, 最新の情報が反映され, ワクチンの種類や回数別での発熱率の一覧が追加された
22. いずれのワクチン接種後にも発熱する可能性は考慮すべきである旨がより強調されるようになった
23. 熱性けいれん発作後から予防接種までの期間に関して, 基本的には期間をあけずに接種可能なことがより強調されるようになった.
24. 熱性けいれん発作後から予防接種までの期間に関して, 経過観察期間を設ける「必要な場合がある」と限定的であることが強調され, 2~3か月という具体的な期間の記載がなくなった.
25. 参考資料3として 海外の様々な熱性けいれんに関するガイドラインについての概略が掲載されるようになった

1. 熱性けいれんという病名に一部で熱性発作という病名が併記されるようになった

(以下工事中)

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