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P-MODEL「IN A MODEL ROOM」

1979年発売。前身のバンドであるMANDRAKEが解散とほぼ同時にP-MODELを結成。メンバーであった平沢進、田中靖美、田井中貞利がそのまま続投し、MANDRAKEのファンであった秋山勝彦が加入した所謂P-MODEL初期メンバーによる記念すべきアルバム第1作目である。更に本作の音楽プロデューサーとして佐久間正英を招いている。
P-MODELは時期によって音楽性が変わる傾向にあるが、初期は田中靖美のキーボード捌きが映えたピコピコしたシンセサウンドを全面的に響かせたテクノポップ色が強い音楽性であった。また多くの曲がMANDRAKE時代からすでに演奏されていた曲とのこと。
このアルバムのコンセプトが「1984年」という小説から来ているので全体的にディストピアを歌っている。

メンバー
平沢進・・・ボーカル、ギター、シンセサイザー
田中靖美・・・キーボード、シンセサイザー、コーラス
秋山勝彦・・・ベース、シンセサイザー、コーラス
田井中貞利・・・ドラム

収録曲
1.美術館で会った人だろ
2.ヘルス・エンジェル
3.ルームランナー
4.ソフィスティケイテッド
5.子供たちどうも
6.KAMEARI POP
7.サンシャイン・シティー
8.偉大なる頭脳
9.ホワイト・シガレット
10.MOMO色トリック
11.アート・ブラインド

美術館で会った人だろ
作詞・作曲 平沢進
初期P-MODELの代表曲。イントロから早速ピコピコサウンドを響かせ、非常に胸を躍らせるアルバムの始まり方をさせてくれる。特に好きなのが間奏部分、ここがピコピコの新境地だ。

ヘルス・エンジェル
作詞・作曲 田中靖美
ベースのズンズンとした低音が全体的に響いててどちらかというとベースの音を中心に聴いてしまう曲。歌詞の「乳脂肪分 二パーセント ドライミルクでチューンアップされる」がお気に入り。個人的にこのアルバムの中で一番好きな曲。

ルームランナー
作詞・作曲 田中靖美
スピード感溢れるナンバー。イントロのシンセとベースがザッザッザッと合わさる感じが特に好き(さっきから擬音語表現が多いな)。歌詞にちょくちょく出てくるスーパーマンとはどういう比喩表現なのか。
最後の平沢の息を切らす声に萌える人がいるとかいないとか。そんな中聞こえるスーパーマンという高い声となんか低い声でぶつぶつ言ってる声も平沢なのだろうか?

ソフィスティケイテッド
作詞・作曲 平沢進
スローテンポな曲。バックで流れるノイズのようなロボットチックな音がタイトルにもなっている洗脳を演出している。心なしか洗脳された人のような歌い方をしている。
P-MODEL及び平沢の曲の中で唯一卑猥なワードが出てくる曲でもある(多分)。

子供たちどうも
作詞 平沢裕一
作曲 平沢進
ジャカジャカきかせるギターのフレーズが全体的に響き渡って心地よいプログレ感ある曲。曲調が明るいのに反して、歌詞がまさに闇の深いディストピアを歌っている。平沢の兄が作詞をしているのも注目点で、平沢兄弟による共作である。

KAMEARI POP
作詞・作曲 平沢進
これまたスローテンポで全体的に落ち着いた雰囲気の曲。朴訥としたシンセサウンドを響かせている。どことなくリズムがスーパーマリオブラザーズの地下BGMに似ている。サビの「HEY!YOU THIS SONG IS POP KAMEARI POP」の語感が好きでやたら脳裏に焼き付く。

サンシャイン・シティー
作詞 平沢裕一
作曲 田中靖美
スピード感溢れるテンポがたまらないナンバー。平沢が喘ぎのそれに近い奇声をこれでもかと言うほど特に上げまくっている曲。また演奏陣のハスキーなコーラスが目立つ点も魅力的。「子供たちどうも」と同じく平沢の兄による作詞。
余談なのだがこの曲はたまに和田アキ子の声に似てる時がある。おそらく「ハッ!」が原因であるw

偉大なる頭脳
作詞 平沢進
作曲 平沢進、安倍文泰
ギターサウンドが全面に出たプログレ色が強い曲。「ラジカセ ラテカセ ミニチュア ビッグ」の裏声による歌声と「記憶の切れめが 死にめ」の田中(おそらく)によるコーラス部分が歌詞含めて語感も良くて特に好き。
平沢のソロでよく聴くソプラノが実は本作ですでに披露されているw

ホワイト・シガレット
作詞・作曲 平沢進
全体的にポコポコしたシンセサウンドが響かせ、これまたいい味を出しており、それに合わせたギターもなかなか。サビのシンバルの音も地味にツボ。
間奏はこれまた田中のキーボード捌きが拝める主役の場だ。
「シガシガ シガシガ シガホワイト シガレット」はつい口ずさみたくなるぐらい耳に残るフレーズ。

MOMO色トリック
作詞・作曲 平沢進
血の歌。ピコピコ音に加えベースのズッシリとした低音が随所響かせている曲。平沢の書く曲では珍しく実名の著名人(多少伏せてはいるが)を批判をしている点にも注目(「ユージ(今野雄二)」と「リノ(かたせ梨乃)」の事、なんでもユージさんは自身の番組でP-MODELを批判していたから。リノはその番組のアシスタント)。

アート・ブラインド
作詞・作曲 平沢進
アルバムの締めは独特なリズムで展開される若干インストに近い曲。おそらくヴォコーダーを通した声で歌われると思われる。ドンドンとしたリズムに電話のコールのような音などが特徴的。一定のリズムだが飽きが来ないから不思議だ。

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