未有花

子供の頃の夢をいつまでも持っていたい。やさしく、なつかしい言葉たち。

未有花

子供の頃の夢をいつまでも持っていたい。やさしく、なつかしい言葉たち。

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緑の祭典

   Ⅰ 祭りが始まった それは緑の旗をかかげ 歌うのは風ばかり 踊るのは風ばかり 萌え出た命の露を しとどに湿らせ祭りは始まる    Ⅱ 若葉揺れて 君の髪のように やさしく波打つ風になる 緑の雫ひとつぶ落ちて 君の瞳の涙になる 風は東から幸福を呼ぶけれど 西から吹く風は君を悲しくさせるね 水の中のエメラルド キラリ いたずらな妖精が隠した宝物 君の姿をみつけたよ 若葉光る 木立の中にそっと 静かに輝く星になる 緑の祭りひときわ騒ぎ 君の瞳も輝き出した 眩いばかりの

    • いばら姫

      薔薇よ薔薇 私の体を養分にして 美し花を咲かせておくれ あの人は行ってしまった 私の手の届かないところへ ひとり取り残された私は 希望さえ失くしてしまった 絶望と言う名の牢獄に囚われて 薔薇の臥所で永遠に眠る私はいばら姫 愛しい王子様が現れるまで 薔薇に抱かれて眠り続ける もしも戦争が終わってあの人が生きていたら 彼は私の元へ帰って来てくれるかしら 薔薇に包まれて眠る私をみつけたら あの人はくちづけて私を目覚めさせてくれるかしら 虚しさよおまえの名前は? もう何度

      • 戸惑い(あいうえお作文)

        扉を開けると 眩しい光が飛び込んで来た どよめく喧騒に包まれれば 異国に迷い込んだ気がした * 時計の針がふいに 真夜中を知らせる 堂々巡りの物思いに いたたまれず朝が来る * 友達だと思っていた まさかのあなたからの告白 どっちつかずの距離のまま 今さら恋人になんてなれないよ * 遠くまで来てしまった 町並みも夕闇に沈み どんどん暗くなって行く 石畳の道に途方に暮れる * 登場人物が多過ぎて まったく犯人を特定できず どんでん返しの結末に 未だ真相は謎のまま

        • 緑の夢

          僕の頭の上では さやさやと木々のささやく声 風はやさしく髪を撫でて行き 時折聞こえる鳥のさえずりに 僕の夢は現をさまよう 僕はいつもここで夢を見ている 心地良い木の肌のぬくもりに背を預けて 僕の夢は未だ深い森の中 目覚めてはいけないと誰かの声がして 僕は素直にその声に従っている 果てしない緑に抱かれて 僕は数億年前の樹海を旅する むっとするような森の匂いと 圧倒するような生命力に目眩を感じて 僕の体は大地に崩れ落ちて行く このまま下へ下へと沈んで行けば 僕はまたひとつの

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        緑の祭典

        マガジン

        • フェアリーテール
          47本
        • あいうえお作文
          5本
        • a dream
          48本
        • 夕暮れ詩集
          12本
        • 短歌
          30本
        • 花図鑑
          15本

        記事

          杉の林に静(せい)ひとつ

          杉の林に静ひとつ 靄の立ち込める朝 靄に紛れて時間が漂う 暗闇から聞こえる森の声 林は何を考えている 杉の林に静ひとつ 緑の湿地に隠された 緑の夢と宝物 眠りから覚めた林の向こう 林は何を考えている 杉の林に静ひとつ 小鳥の声だけ響いてる 小鳥はどこに隠れてる かくれんぼうの朝の歌 林は何を考えている

          杉の林に静(せい)ひとつ

          トワイライトイリュージョン

          摩天楼が朱に染まる時 黄昏の時間も止まる ざわめく雑踏もどこか遠くの 出来事のように消えて行く ビルの窓から見た街も幻 トワイライトイリュージョン 歪んだ時間の狭間の中で 誰もがひとときの夢を見る 交差点で影が揺れる時 黄昏の夢も終わる 愚かな蝶のようにどこか虚しい 日が暮れても続く胸騒ぎ 蒼い闇に沈む街も幻 トワイライトイリュージョン さまよう時間の隙間から見た 誰もが何かに怯えている 水銀灯の灯りが点る時 黄昏の魔法は消える 来るべき夜さえもどこか違う ハイウェイに映

          トワイライトイリュージョン

          心象風景(短歌)

          さわさわと風吹き抜ける草原に寝転んでいて私はひとり どこまでも平和な春が続く空さえずる小鳥静かな孤独 手のひらでまぶしい光遮ぎればまぶたに満ちる心地良い闇 雨が降る心に沁みるその音に遠いあの日の涙が落ちる 自転車で長い坂を駆け下りて風になろうよ海を目指して 淋しいと泣いてた日々よさようなら誰でもいつかひとりに還る 前を向いて心の翼広げれば空に飛び立つ私は自由

          心象風景(短歌)

          ため息(あいうえお作文)

          黄昏の街を駆けて行く影法師 目眩にも似た既視感に いつまでも立ち竦んでいた きっと夜はまだ遠い * 退屈な雨の午後 迷宮のような街を眺めていた 陰鬱な気持ちを弄ぶように 霧雨がすべてを隠して行く * 戯れに言葉を紡いで めちゃくちゃに文章を綴る いい加減気付いたらどうだ 厳しい現実というものに * ためらいがちに弾く メンデルスゾーンの夜曲(夢) 祈るようにいつも思っていた 君の笑顔に夢で逢えたらと * 例えばこれが夢で 目覚めればすべてが元に戻っていたらと

          ため息(あいうえお作文)

          花の森にて

          やわらかに色紙の花園で 子猫が蝶々を追って駆けて行く 淡紅色の薫りを放つ花たちは 自慢の花びらを踊らせることにいそがしく まるでそれは雨のように降りしきり この花園を埋め尽くそうとするかのように 花びらは散る また降り注ぐ 小手毬の花影から聞こえるのは やさしい音色のパストラーレ あれは姉さまの弾くハープシコード 夢のように私の心に舞い降りて 昼下がりの眠りを静かに誘う 花海棠の根元でうとうとしていると 赤い花が私を起こしてくれた それは葉陰にひっそりと咲く草木瓜の花 首

          花の森にて

          春はたまごの眠り

          春はたまごの眠り たまごの中でまどろみながら イースターエッグの夢を見ている 復活祭の朝が来たら ウサギが隠したたまごを 子どもたちが探しに行くよ 春になったらイースターバニーによろしくね 春はたまごの眠り もうすぐ生まれる日を待っている 春はたまごの眠り たまごの中でまどろみながら 花冠を編む夢を見ている レンゲ畑の真ん中で 愛する人のために 少女は花冠を編むよ 春になったらあの人に作ってあげよう 春はたまごの眠り もうすぐ目覚める時を待っている 春はたまごの眠

          春はたまごの眠り

          たんぽぽ春のパラシュート

          青い空がおいでって私を呼んでる ずっと夢見ていた旅立ちの日 春の風が何度も私をせかして 早く早くって言うけれど 飛び立つにはけっこう勇気がいるのよ 心臓がドキドキして今にもはじけそう ひときわ大きな風が吹いて 私はようやく旅立つ決心をしたの たんぽぽ春のパラシュート さよならは言わないわ 旅立ちにはいつでも潔さが肝心 これからの私の旅路を みんな祝福してね このまま風にまかせて どこまでも飛んで行くわ ふわり ふわり 漂って 幸せを運んで行くの 花言葉:幸せ・

          たんぽぽ春のパラシュート

          白木蓮の灯(あかり)

          春になると淋しい木々の先に 白木蓮の灯が点る ほんのりと明るい白い花は どんよりとした心を照らしてくれるようで ほっと心が温かくなる こんなふうに心が晴れない日は特に 花のやさしさがありがたい やわらかな春の気配に 何かいいことがありそうな気がして 思わず足取りも軽くなって行く 顔を上げて歩く先にはいつでも 白木蓮のほのかな灯 きょうもまた曇りのない心で 歩いて行けたらいい 白い花がそう教えてくれた気がした 花言葉:自然への愛・気高さ・高潔

          白木蓮の灯(あかり)

          喜び(あいうえお作文)

          呼んでいるのは誰? ロマンスの予感に震えては 言葉にできない想いに 微妙に心は揺れ続けている * よーいどん! ロケットみたいに飛び出そう 幸運は思いがけずにやって来る ビリケンの髪をさあ素早くつかむんだ! * 夜の帳が降りて 蝋燭の灯りが揺れるとき 恋人たちの愛は燃え盛り 微熱を帯びた夜は更けて行く * 酔ったみたいと ロゼのグラスを傾けて 滑稽なほど笑い転げる ビーナスに乾杯 * 妖精のかけた不思議な魔法 ロマンチックな夕暮れに 胡蝶の群れが飛び立って行く

          喜び(あいうえお作文)

          「キー!」

          君がまだ言葉をうまくしゃべれなかった頃 青空を指差しては「キー!」と叫んでいた 最初は何のことかわからなかったけれど 君の指差す方向にはいつも 飛行機が気持ちよく青空を滑って行って ああそうか 飛行機って言いたかったんだね 5歳になった今でも 君は青空を見上げて「ヒコウキ!」って叫ぶ 見上げる視線の先には飛行機の姿 さすがにもう「キー!」とは言わないけれど 君が飛行機をみつける名人なのには変わらない 今では言葉を上手にしゃべれるようになって 時々どこで覚えて来るのか

          「キー!」

          黒猫

          暗闇に光る君の瞳 影から影へ移る君の姿 君は夜に生まれたから そのまま夜を身にまとい ひとり息を殺して闇を行く 夜は君の姿 闇は君の心 影は君の名前 そして沈黙が君の言葉 けれどそんな君でも 淋しい時はやっぱりあるさ そんな時は夜の片隅で この沈黙を破って 一声ニャーゴと鳴くのさ

          相聞歌(短歌)

          ふたたびの春が突然舞い降りて僕の心はにわかにざわめく いたずらに恋は心を乱すけどときめきだけが私の宝石 忘れてた恋が今さら燃え上がりどうしようもなく君が愛しい 忘れない時がどんなに流れても忘れられないあなたのことは 今もまだ僕を愛しているのならすべてを捨てて君を愛する 道ならぬ恋と知りつつ堕ちて行くこんな二人を誰が許すの? この恋を許されないと言うのなら神に背いて堕ちて行くまで もう二度と戻ることさえかなわないあなたと二人恋の地獄へ

          相聞歌(短歌)